過ち


『あ、皆もう集まってる…早いな。』


今晩は雲の守護者の対戦。
つまり、雲雀恭弥とゴーラ・モスカの戦いだ。
ヴァリアーは準備万端。一方こちらは…沢田以外の者は全員揃っている。沢田は修業してるらしい。

チェルベッロに案内された先には、色々と改造されてある運動場が。どうやらここが今日のフィールドのようだ。


「雲の守護者の使命とは、何ものにもとらわれることなく独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮き雲です。故に最も過酷なフィールドを用意しました。」

「四方は有刺鉄線で囲まれ、8門の自動砲台が30メートル以内の動く物体に反応します。また地中には重量感知式のトラップが無数に設置され、警報音の直後爆発します。」


つまり、限られたスペースの中、地雷と銃撃に気を付けていて戦わないといけないということだ。まるで戦場だ。
なのに雲雀本人と言えば全く恐れる様子はなく、それどころか…


ガギッ

ゴギャッ

ドオオン

「…………」

「な…」

「え…」

「これいらない」

「……へ?あの…」


これぞ瞬殺と言わずして何と呼ぶ。
モスカの右腕をもぎ取り、あっという間に勝利を収めた雲雀さん。バトル開始から10秒も経ってないよ。


「さぁおりておいでよ。そこの座ってる君。サル山のボス猿を咬み殺さないと帰れないな」

「なぬ!」

「なぬじゃねーよタコ。それ以前にこの争奪戦、オレらの負け越しじゃん。
どーすんだよボースー」


ザンザスを猿呼ばわりか…凄いな雲雀さん。
しかも、雲雀さんは暴れたりなくてザンザスに喧嘩売ってるし。
しかもしかも、
ザンザスも雲雀さんを挑発し始めたし!ザンザスのあの顔、絶対になんか企んでるよね!


「足が滑った」

「だろうね」
 
「嘘じゃねぇ、そのガラクタを回収しに来ただけだ。オレ達の負けだ。」

「ふぅん そういう顔には見えないよ」

「安心しろ 手は出さねぇ」

「好きにしなよ どのみち君は咬み殺される」  

雲雀さんの攻撃をただただ避けるザンザス。
珍しい…あーゆータイプって普通応戦するだろうに。ベルもレヴィも手を出さないってことは…やっぱ何か裏があるのかな。
と言ってもレヴィは「ボスを愚弄しおって!」と今にも襲いかからんばかりに怒ってるけどね。

そんなこと考えている間にも、雲雀さんとザンザスのやり取りは続いており…


「チェルベッロ」

「はい XANXUS様」

「この一部始終を忘れんな、オレは攻撃してねぇとな。」

「!?」


何やらザンザスが変なことを言い出したぞと思っていれば、ソレは再び動き出した。

モスカの暴走

敵味方見境なく、ミサイルなどを発射して暴走するモスカ。地雷もあるし、ガトリングもあるし、そのうえモスカによる無差別攻撃だ。


「……フフ…ぶはーっはっは!!
こいつは大惨事だな!!」

「あいつ……笑ってやがる」

「あの野郎はなっから勝負に関係なく、事故を装って皆殺しにする気だったんだな! だから雲雀を挑発したんだ!」


ザンザスを除き、慌てふためきながら逃げる皆。モスカを鎮める手段も分からず、ただ逃げ回っていた時…彼が現れた。


「あれは……」

「じゅ……10代目!!」


死ぬ気モードの沢田が、現れたのだ。
骸戦の時に手に入れたらしいグローブを今はもう完璧に使い熟していて、暴走するモスカをいとも簡単に壊していく。
モスカの残りの腕をもぎ取り、
胴体を殴り、
そして最後に…モスカを縦に真っ二つにした。

モスカの中に、
人が入ってることなんか知らなかったから。
だからこそ、容赦のない攻撃をしていた。


「な、中から人が…!!」

「え……こ、この人…9代目!?
ど、どうなってんだ……?
なんで……モスカ……から……!?」

「そんな…何故ここに!?」


モスカの中から出てきたのは、縛られて身動きの取れない9代目。どうやら9代目は糧とされていたらしく、ゴーラ・モスカの動力源となっていたようだ。


「ど、どーして…!?」

「どーしてじゃねーだろ!
てめーが9代目を手にかけたんだぞ」

「お……オレが? あ……」

「やべーな、応急処置でなんとかなる傷じゃねぇ。」     


救急箱を持って駆けつけるリボーンだが、どうやら容態は酷いらしい。胸部全体に血がにじみでており、口からも血が流れ出ている。

そんな血を流す9代目と己の手を見比べ、沢田は顔面蒼白になる。そして、そんな彼にザンザスは無惨にも追い撃ちをかけていく。


「誰だ?
ジジイを容赦なくぶん殴ったのは…」

「…っ!」

「誰だぁ?
モスカごとジジイを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ」

「!! お…オレが…9代目を……」

「……ちがう……」

「「「!!」」」


ザンザスの言葉に堕ちかけた沢田だったが…
それは小さくしゃがれた声によって防がれた。


「悪いのは……私だ……」

「9……9代目!!」

「やっと会えたね…綱吉君……
すまない……こうなったのは全て私の弱さゆえ…私の弱さが…XANXUSを長い眠りから目覚めさせてしまった……」


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