バーズ&ツインズ


「よく画面を見てください。
お友達の後ろにいるアレは私に忠実な双子の殺し屋でしてね…」


バーズに言われて画面をよく見てみると、確かに京子ちゃんとハルちゃんの背後にはそれぞれ黒曜中の制服を着たヴォル○モートがいた。
バーズ曰く、彼らは刑務所にいる10年間ずっと拘束具を外して貰えなかった程の凶悪な連続殺人犯らしい。


「見てください。もうあなた達のお友達で遊びたくてしょうがない様子だ…ウジュ」

「あの子達に何をする気!?」

「んー? 何もしやしませんよ。
あなた達が私に従ってくれさえすれば…ね。」


ニヤニヤと下品な笑みで言うバーズに、獄寺が胸倉を掴んで文句を言う。だが獄寺がバーズに触れた途端、画面に映っていた双子の殺人犯は動き出す。


「離れていても私は彼らに指示できる。お友達の命は私が握っているんだ。お前らにガタガタぬかす権利はないんだよ、2度と触れるなボケが。」

「くっ、くそっ!」

「ウヒョヒョ、それでは始めましょー。うーん、そ・お・だ・なー。では、お仲間でボンゴレ10代目をボコ殴りにして下さい。」

「(そ、そんなぁ!
いやでも…ボンゴレ10代目がオレだって知らないはずじゃ…。)」

「そこの沢田君を出血するまで殴れと言ったんですよ。」

「(ば、バレてるー!!)」

「さてはあの眼鏡ヤロー、目を覚ましたな…。」


ボンゴレ10代目が沢田だとバレてる以上、誤魔化しは効かない。しかも言うことをきかないと京子ちゃんとハルちゃんの命が危ないということか。


「まぁ…断られても私は困りませんがね。」

『…? どういう事、それ。』

「私のもう一つの趣味は人を驚かせることでしてね。驚いたときの無防備で無知で無能な人間の顔を見ると興奮して鼻血が出そうになる。
例えば彼女の髪が突然燃え上がったらどんなステキな顔をするだろう。」

『なっ…まさか…!』


慌てて視線をモニターにやれば、そこには京子ちゃんとハルちゃんの髪にライターを近付ける双子の姿があった。その姿に汗と涎を垂らしてるこのバーズはかなり性癖の悪いド変態野郎だ。
だが京子ちゃんが大好きな沢田がそんなこと許せるはずもなく−、


「ウジュ…言ってたらやりたくなってきちゃいました〜。さぁ、決定的瞬間ですぞー。」

「まって!分かった!
山本、獄寺君、オレを殴って!!」

「ツナ!」

「10代目!?」


自分を殴れと目を瞑って震える沢田に、獄寺と山本は「できない」と戸惑う。ちらっとバーズを見ればその様子を楽しそうに見ているし、リボーンの方を見れば彼は未だグッスリ寝ているではないか。
なるほど…今回はリボーンの助けなしで乗り切るしかないということか。そう思っていると、「ふげっ」という鳴き声と共に地に誰かが転ぶ音が聞こえてきた。


「アネキ!なんてことを!!」

「私はもともとツナを殺すために日本にきたのよ。こんなもんですんでラッキーと思いなさい。」

「た、確かに………ん?
(あんま痛くない……ありがとう、ビアンキ!)」

「ふん…嫌われ役は慣れてるわ。」


沢田を殴ったのはビアンキさんだったようで、でも照れ隠しにフイッと顔を逸らすところが何だかお母さんに似てる…。照れてるな、かわいい。
だがそんな一安心も束の間。次のミッションを語ろうとするバーズに「まだあるのか」と戸惑う一行。次で最後だと言いながらバーズが取り出したのは…


「お次は…このナイフで沢田さんを刺して下さい。」

「「なっ!」」

「えーっ!!」

「…っ!」

「ウジュジュジュ…皆さんの今の驚き顔実に良かったですよ〜。ナイフの柄の所までぶっすり刺して下さいね。ウジュ…
いかんいかん、鼻血が出てきちゃいました。そんじゃー決めて下さい、やるかやらないか。」


勿論そんな要望に皆はやらないと断るわけで…


「それはありがたきお返事!それでは次のドキドキいきましょう。じっくりこの子からいきましょーか? いやーかわいいですな、天使のようだ。」

「京子ちゃん!!」

『…あれは…硫酸…!?』


画面に映る京子ちゃんの後ろには、硫酸の瓶を持つヴォルデモ○ト。どうやら京子ちゃんに硫酸をかけるつもりらしい…。
「やっちゃって」と命令するバーズに、息を飲み込む皆。
選べるわけがない…獄寺や山本にとって沢田は身をていしてでも守る大切な友達だ。ビアンキさんにとっても今は沢田も京子ちゃん達も大切な友達だろう。
でも…


『分かった、私が沢田を刺そう。』

「ええっ!!」

「なっ…奴良!?」

「てめー何を言ってやがる!」

「…本気なの、菜也。」

『本気ですよ、ビアンキさん。
沢田もごめんね。悪いけど…』


顔を真っ青にする沢田。
私を止めても京子ちゃん達の命が危ないため、あまり強く出られない獄寺と山本。
私を心配するビアンキさん。
皆はどちらも大切だから決められないかもしれないけれど、でも…私は違う。


『悪いけど、私の中での優先順位は決まってるんだ。沢田…アンタのことは嫌いじゃないけど、でも私にとっては京子ちゃんとハルちゃんの方が大切な友達なの。
だから、刺させて貰うよ。』

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