M・M


城島犬を倒して歩くこと10分。
沢田の提案で休憩がてら軽食をとることに決まった。どうやら山本がお寿司とお茶を持参していたらしい。そのため、近くにあった滅びたフードコートでそれらを用意していのだが…


グツグツ…

「ん……!?」

「弁当が……伏せろっ!!」

ボンッ!


突如沸騰して爆発したお茶とお弁当。ビアンキさんのポイズンクッキングなら何が起きてもおかしくはないが、これは山本持参の安全なご飯だ。言うまでもなく、こんなことが起きるのは異常事態。
要は…敵の襲撃以外あり得ない事態だ。


「ん……この音…、そこか!」

ドカン!

「ダッサイ武器。こんな連中に犬や柿ピーは何を手こずったのかしら。
しっかしあんた達マフィアのくせにみすぼらしい格好してんのねー。やっぱ男は金よ、付き合うなら骸ちゃんがいいわ。」


獄寺が投げたダイナマイトの先には黒曜中の制服を着た1人の女の子がいた。手にはクラリネットを持っており、どういう仕組みかその音が武器になっているらしい。ビアンキさんが「電子レンジと同じ仕組みね」と詳しく説明してくれたのをフンフン頷いて聞いてたけど、ぶっちゃけよく分からなかったのはここだけの秘密です。


「わかったら何だって言うの。人間がこの音波を浴びたら沸騰してボンッ!…よ。アハハハ!」

「ヒイイイイイ!」

「マジかよ」

「何て女だ!」

『(…何で吹いてる本人は平気なんだろう)』


音波が武器ならば近付くのは難しい。そう思い、私達は近くの瓦礫を盾に潜んでいたが…ビアンキさんただ1人が表へと出た。しかも両手に乗せられてあるのは、一見豪華な料理が乗った大皿。一見とはもちろんそれらがポイズンクッキングだからに過ぎない……相変わらず変な煙と気持ち悪い虫が沢山わいている。


「私が行くわ。あんた間違ってるもの。
大事なのはお金ではなく、愛よ。
ポイズンクッキング大型料理! 食べ放題!!」

「またダッサイ技ね…いいわ、来なさい。
アンタの脳みそからチンしてあげる!
バーニングビブラート!!」


相手がクラリネットを吹く中、ポイズンクッキングを盾にして突撃するビアンキさん。全く怯まないビアンキさんが相手の元へ辿りつき、仕上げのショートケーキ(これも勿論ポイズンクッキング)を決めようとするがそれも失敗。
クラリネットがヌンチャクのように変容し、ビアンキさんが殴り飛ばされてしまったのだ。


「何が愛よ!お金に勝るものがあるわけないじゃない。さぁ、とどめの一吹きよ!!」

「やばいよー!」

「おいっ…」

「待て山本。もう…触れたんだ……」


口にクラリネットをくわえてとどめを刺そうとする奴に対し、山本が慌てて止めに入ろうとする。そんな山本を止めたのは獄寺で『何で止めるんだろう』と疑問に思っていれば、敵から悲鳴の声があがった。


「ひぎゃああぁぁぁ!!」

『クラリネットが…ポイズンクッキングになった…』

「まさかあの技って!」

「そうっス。結婚式の時に姉貴が修得した、触れたもんをポイズンクッキングにする究極料理…」

「千紫毒万紅(センシドクバンコウ)!!」


ポイズンクッキングになったクラリネットを口にし、相手の女の子はその場に倒れてしまった。
そんな彼女のもとへ「大丈夫?」と駆けていくビアンキさん…言わずもがな皆「マジで!?あのビアンキさんが敵の心配を!?」と驚いたのだがー、


「よかったわ。お昼寝の邪魔されなくて!」

「リボーンのやつ、いないと思ったら……!」

「じゃあ姉貴が戦ったのはリボーンさんの眠りを守るため…!?」

『確かに…ある意味愛の勝利だね。』


ビアンキさんが走り向かったところはスピーと眠っているリボーンのもと。うん…ビアンキさんが敵の心配をするなんてあり得ないもんね!納得だわ。

流石ビアンキさん、やっぱ怖ぇーなんてそれぞれ感想を言っていると、今度は聞き慣れない第三者の声が聞こえてきた。


「あの強欲娘のM・Mがやられたのは実にいい気分だ。」

「だ、誰っ!?」

『今更だけど、さっきの子ってM・Mていうんだ。』


現れたのは不細工な顔をしたオッサン。オッサンなのに彼も黒曜中の制服を着ているということは、きっと彼も六道骸の一味なのだろう。
「落ち着いてください、お友達が狙われていますよ」
そう言って敵が取り出したのはノートパソコンで、画面にはライブ中継である2人の姿が映し出されていた。


「京子ちゃん! ハル!!」

『人質かっ…!』

「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。
…うーん……これじゃあ見にくいですね。
あちらをご覧下さい。」


近くにある廃墟となった壁にモニターを映すオッサン。京子ちゃんは花ちゃんと一緒におり、了平さんの話をしていることから病院帰りなのだと窺える。一方のハルちゃんは耳にイヤホンをして英単語の勉強をしている。


「てめー、何を企んでやがる!」

「あんたが次の刺客ね」

「まーまー落ち着いてくださいと言ってるじゃないですか、ちゃんと説明しますから。
私の名はバーズ。
その名の通り鳥を飼うのも趣味でしてねぇ…ご覧の映像は私のかわいい鳥達に埋め込まれた小型カメラから送られているものです。」


まだ何を企んでいるのかは分からないが、この2人を人質に私達をゆするのは間違いないだろう…。
城島犬や柿本千種、さっきのM・Mとは違い、こいつが今までで1番手強い相手になるかもしれない。


『(京子ちゃん…花ちゃん…それにハルちゃんまで…)』


まだ下手に動けないが、それでもあの3人が本当にピンチになった時は躊躇するまい…
その想いを胸に、私は手にある長刀をぎゅっと握り締めた。

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