星の王子様


「うっせぇー! お前は着いてくんな!」

「ハハッ、まぁそう言うなって!
…ん、あれ奴良じゃねぇか?
おーい、奴良ーっ!!」


ゴロゴロと鳴る黒雲を見ていれば、後ろから聞こえてきた2人の声。またもやトラブルメーカー達が現れたぞと嫌々振り返ると、そこにいたのはやはり山本君と忠犬獄寺君。沢田とリボーンがいないなんて珍しい。


「オレら今からツナん家に行くんだが、奴良も一緒に行かねぇか?」

『えぇ…私は別に、』

「10代目ー!!」

「あ、待てよ獄寺!
ほら、奴良も急がねぇと置いてかれるぞ!」

『ぅわあっ!?』


嘘ぉーん…私まだ行くって言ってないよね。むしろ断ろうとしてたよね。それなのに何ですかこの手は、山本君。

何故私の手を掴む!
私を巻き込むな!!
一人で行け!!!

そう心の中で唱えるも勿論効果はあるはずなく、結局沢田家にお邪魔することになった。そして家にあがるやいなや、獄寺は凄い剣幕で沢田の元へ向かう。


「10代目〜! 何でオレに教えてくれなかったスか!? ランキング小僧がきてるって!!」

『(ランキング小僧…?)』

「獄寺君! 山本!!
それに奴良さんもっ!?」

「そこで偶然獄寺と奴良に会ってな。面白そうだから着いてきたぜ。」

『私は強制連行されただけだけどね。』


取り敢えず、トタトタと階段を上って沢田の部屋へ入ればあら不思議。沢田の部屋の中心には可愛い男の子が立っており、その男の子を中心にテレビや机などあらゆる物が宙に浮かんでいた。しかも物に混じって、ランボやイーピン、ハルちゃんまでも浮いてるし。


『……何の妖怪?』

「まさかの妖怪扱いーっ!?」

「チャオっす菜也。あいつはランキングフゥ太っつって、あいつは百発百中のランキングを作るんだぞ。ちなみに今がフゥ太のランキングモードだ。」

『めちゃ当たる占い師的な感じ?』

「まぁそうだな。
遠い宇宙のランキングの星と交信してるって噂でな、ランニングする際には奴の体内に凝縮されたエネルギーが地場を狂わせて、奴の周りの引力を無力化させるんだ。」

『理解できないけど…彼がよく当たる占い師で、占いする時は周りの物が浮き上がるってことは分かった。』

「充分だが、そのドヤ顔はうぜぇからやめろ。」


ヘヘンとリボーンにドヤ顔をしてやれば、横から聞こえてきた私の名。その声の元はフゥ太君で、どうやら私のことを占っているそうだ。


「菜也姉は…気配を消すのがうまいランキングで8万6千150人中13位だ。」

『(まぁ…ぬらりひょんの血を少し継いでるから、かな。)』

「えーっ!? 嘘ーっ!!?」

「へぇー奴良ってすげぇのな!」

「ちっ…間違ってんじゃねぇのか? そのランキング。」

「あと、将来有望な殺し屋ランキングでは5万2262人中7位。将来有望な医者ランキングでは4万5304人中1位だね。」

『あり得ない…』

「てか殺すのか助けるのかどっちなんだよ!!」

「確かにな。」


沢田のツッコミは最もだ。殺し屋でも医者でもランキング高いって…どんな矛盾だよ。
だいたい私医者なんかに興味ないんだけどなぁ…アレかな、治癒の力が将来目覚めるのかな。未来の私はもしかすると、お母さんやおじいちゃんみたいに治療できるようになっているのかもしれない。

一人そんなことを窓際で考えていれば、ポツポツという音が響いてきた。
…雨だ。あーぁ、雨降る前に帰ろうと思ってたのに。もういっその事、沢田の家で雨宿りさせて貰おうかな。


「ランキング小僧!
オレの聞きたいことはただ1つ…10代目の右腕に相応しいランキングでオレは何位なのか!!
できるのかっ!?」

「簡単だよ。ハヤト兄の順位は……」


……獄寺の忠犬っぷりは本当凄いな。
それにしても、もしそれでかなりランキングが低かったらどうするんだろう。ショックじゃないのかな。


「圏外」

「なにーっ!!?」

『ぷっ、ランキング圏外なんてあるんだ。』

「ランキング圏外だなんて言ってないよ。」

「えっ、じゃあ……?」

「大気圏外だ。」

『アハハハッ! 地球の外とか…ドイヒーッ!!
アハハハハハハハッ!!!』

「ちょっ…奴良さん笑いすぎっ!!」


表情筋もお腹も痛い!!
何が可笑しいって…圏外だと告げるフゥ太君の顔が至って真面目なところだ。可愛い顔してやることはえげつないっ!!ちなみに獄寺はあまりのショックに石化している。

その後、色んなランキングが引き続き行われたが…雨が降っている事にフゥ太が気付いたことでランキングは強制終了。
フゥ太曰く…


「雨なんか嫌いだよ…
ランキング星との交信が乱れて、ランキング能力も
デタラメになっちゃうし。」


とのこと。
はてさて、雨はいつから降っていただろうか。


『(私のランキングの時にはもう雨降ってたっけ?
…降ってたよね、きっと。私が将来有望な殺し屋とか医者なんてあり得ないし。)』

「(オレの圏外っていう結果も嘘だよな!)」


どれが本当でどれが嘘か…
それを知っているのはランキング星だけである。

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