新年早々


『ふぅ…やっぱり我が家が1番だなぁ。おじいちゃんおばあちゃん家もいいけど。』

「そうねぇ…私は奴良組でも今のこの家でも居心地がいいけど、菜也はこっちの方が長く住んでるものねぇ…。」

「オレは菜也と同じだな。
奴良組も楽しくていいけど、こっちの方がお前達を独占できるし?」



1月4日。
色々なことがあった1年も何とか無事終わり、遂に新たな年を迎えたのが四日前。
リボーンや沢田達に色々と巻き込まれた日々は嘘だったかのように…年末年始は奴良組本家で楽しくリラックスして過ごした。本家は妖怪達で相変わらず騒がしかったけれど、リボーン達によって面倒事に巻き込まれてた私にとってはとても平穏だった。



『はぁ…にしても、冬休みが終わったらまたリボーン達に絡まれるんだろうなぁ…』

「まぁいいじゃない? 暇よりかは慌ただしい方が。」

「パパは反対だぞ、ボンゴリアンマフィアなんて! 妖怪任侠でさえ危ないのに、マフィアなんか尚更駄目だ!」

『お父さん、ボンゴレだから。ボンゴリアンじゃないから。』



そうそう。
沢田達とリボーンが我が家に来たことで、私がマフィア関係に巻き込まれていることは明らかになってしまった。
きっかけは…
「鯉菜、オレ達と協定組まねぇか?」
というリボーンのすっ飛んだ台詞だ。
それを言われたお母さんは勿論、何の事だ、と惚けたのだが…
「惚けても無駄だぞ。お前が藤組の頭であることは分かってるからな。(正確には妖怪任侠一家なんだろ?)」
…妖怪であることをバラされたくなったら協定を組め、という暗黙の脅しに、お母さんは舌打ちをしながら了承したのだ。



「つぅかよ…あのリボーンってガキが知ってるなら、綱吉君や山本君達も、うちが妖怪任侠であること聞かされてるんじゃないのか?」

「…それはないと思うけど。
約束を違うことはしないタイプ…な気がするし。」

『…うん…バレてはないと思う。あいつら嘘つくの下手くそだし。もし妖怪だって知ってたら、その真実を知らないふりなんてできないよ。』



お父さんもこの一件を知っており、そして私がマフィアと関わるのを1番反対している。まぁ、親馬鹿だから…当たり前っちゃあ当たり前だけど。
だが結局…
妖怪であることを知られたくない私のために、お母さんは藤組が沢田率いるボンゴレマフィアと協定関係になることを了承したのだ。
勿論、妖怪一家であることはふせて…。



『(でも、いつかはバレる…のかな…)』

prrrr....prrrr....



嘘なんて長続きはしないことは分かっているのだが…そんなモヤモヤした気分に頭を悩ましていれば、着信が鳴り響いた。
花ちゃんかなぁ、なんて何の根拠もなく考えながら電話に出るとー



『はい、もしもし…………ゲッ、リボーン…』

「ゲッとは何だ、新年早々撃ち殺されてーのか?」



トラブルメーカーのリボーンからの呪いの電話だった。
新年の挨拶を簡単に電話越しにし、単刀直入に用件を聞く。その用件とは、ボンゴレ式の新年ファミリー合戦なるものだった。
同盟を組んでるファミリーが集まり、ゲームをして得点を競うというもの。ボンゴレ式バースデーパーティとは少し違い、個人ではなくファミリー団体戦みたいなものらしい。



『ふーん…取り敢えず並盛の川のところに行けば良いのね?』

「そうだぞ。ただし、お前は今回ボンゴレの一員としてじゃなく、藤組の一員として参加しろ。」

『は?』

「ディーノも呼んだからな。
ボンゴレvsキャバッローネvs藤組で勝負するぞ。せいぜいできるだけ強い奴を集めるんだな。」

『ちょ、ま、』

「ちなみに負けたファミリーは罰金として一億円を各ファミリーに払って貰うぞ。」

『ふざけん…』

「不参加は罰金として三億円だ。じゃあな。」



ブツッという音の後に聞こえるツーッツーッという無機質な音。ミシリと鳴りそうな程強くスマホを握りしめる私にお父さんは「スマホ壊すなよ」なんて言うけど…そんなの今はどうでもいい。



『……お母さん…』

「? どうかした?」



問題は…どうお母さんを怒らせずにゲームに参加するよう説得するか、である…。


- 36 -


[*前] | [次#]

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -