跳ね馬ディーノ
「何だお前ら、迎えなんてオレぁ頼んでねぇぞ?」
「別に誰もボスを迎えになんか来てねぇよ」
「気が付いたらここにいたんだよ、なぁ?」
「駅前のホテルからかよ!」
こんにちは、菜也です。
今私は沢田の家の前にいます。
え?沢田ん家に遊びに来たのかって?
違う違う。学校に向かってる途中です。沢田ん家は学校の通り道なだけです。
でもね…
『何で黒スーツ着た軍団が沢田の家の前で群がってるのよ…』
まぁ、どうせマフィア関係だろうけど。
そんなことを思っていれば、私に気づいた沢田が慌てて話しかけてきた。
「あれっ! 奴良さん!?
お、おはよう、いつからここに?」
『さっきから。
ここ通りたいのに黒スーツ邪魔すぎて通れないんだけど。』
そう言う私にアハハと力なく苦笑いする沢田。
アハハじゃなくてね、通してくれないかな!
学校遅れるじゃん?
「おっ、ガールフレンドか?」
『は?』
「ええっ!!? ち、違います! クラスメートです!」
突如私と沢田の会話に入ってきたのは、金髪なイケメン王子。何この王子様です☆って感じの雰囲気。服装はだらしがないカジュアルなのに…顔とかスタイルが最早俳優、てか王子だよ。
ジャンルは違うけど、凍夜兄ちゃん並にイケメンだよ。
『初めまして。
沢田と同じクラスメートの奴良菜也です。
沢田は、た・だ・の・クラスメート、です。』
「ハハッ! わりいわりぃ、オレはディーノだ。よろしくな、菜也!」
「(凄い『ただの』って強調された…)」
ディーノさんか…
何てかっこいいんだ。にしても、この黒スーツ軍団はどうやらこの人の部下達らしい。
オレの部下が通せんぼしてすまねぇな、なんて謝ってくれたけど、イケメンだから許し…ゲフンゲフン。これ以上は言うまい。
そして、
私がディーノさんで目を保養しているとー
「おはようございます!!10代目!!」
「獄寺君!!」
「早めに目が覚めちまったんで、散歩してたらここに着いちゃいました!」
『ストーカーかよ。キモっ。』
煩い奴がやってきました。
テメェ何でここにいやがる!だなんてキャンキャン朝から吠える彼はカルシウムをちゃんと取るべきだと思う。マジで。
ちなみに、
「スモーキンボムか…会うのは初めてだな」
「てめぇは…跳ね馬ディーノか」
なんてやり取りは聞かなかったことにしよう。
ディーノさんはともかく、こんな姑みたいなやつが名の売れたマフィア?なんて私は認めないぞ!
そんな現実逃避をしていれば、見慣れたもう1人がやってきた。
「ようツナに獄寺! おっ、今日は奴良もいんだな〜! 早くしねぇと遅刻するぜ?」
沢田と獄寺の肩に腕をまわし、ディーノさんに「どもっ」と軽く挨拶を交わすや否や…そのまま歩き出す山本。結局、私はそんな3人の後ろを少し離れたところで歩き、学校へとのんびりと向かったのだった。
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