お昼休み


ピンポンパンポーン♪

《えぇ…皆さん、静粛に! 棒倒しの件については昼休憩の間に話し合いたいと思います。なので、各3年の代表はテントに至急お集まり下さい。》


障害物競争が終わったと思いきや、グラウンドに響き渡る連絡事項。

「? 何かあったのか?」
『B組とC組の棒倒しの代表が試合に出られなくなっちゃったんだって。』
「何だ、欠席か。」
『欠席っていうか…A組の棒倒しの大将が闇討ちしたっていう噂が今広がってる。』
「お前何組?」
『A組』
「お前ん所の大将怖ェな…」
『……ん〜、どうなんだろう……』


C組の大将は獄寺と了平兄さんの喧嘩に巻き込まれて戦闘不能になったのを見たけど…B組は恐らくリボーンの仕業だ。
変なおじいさんのコスプレをして「B組の大将を襲った奴は、沢田綱吉の命令でやったと言っていたぞ」だなんて目撃者をやっていたが…、沢田がそんな事を命令するわけがない。

そんな事を思いながらもー

取り敢えずなんとか障害物競争を終えた為、お母さん達がいる所に凍夜兄ちゃんと一緒に向かっているなぅ。
そして着いた先には…


「……鯉菜よ。」
「なに?」
「何故妾のお皿にだけこんなに油揚げが乗っているのだ?」
「足りないならまだあるよ?」
「そうではない…!」
「お、お姉様! 落ち着いて!!」


お母さんとお父さん、おじいちゃんは勿論…羽衣狐さんと狂骨さん、白蔵図さんまでいた。


『…あの油揚げの量は最早嫌がらせだね。』

「ハハッ、確かに。
……にしても、この光景見たら父さん驚くだろうな。そんで苦笑いしそう。」

『? リクおじさん? どうして??』

「んー? まぁ、昔ひと悶着あったからさ…
結局最後には共闘した仲だけど、かと言って同盟とか組んでるわけじゃないからな。」


そう苦笑して「ほら、食べようぜ」と私を促す凍夜兄ちゃんもだけど…私の周りは皆、昔何があったのかを教えてくれない。
いざこざがあったのは分かるけど、具体的な原因とかを全くもって教えてくれないのだ。聞いてもはぐらかされるのが常で、ハッキリと教えてと言えば「もう少し大人になったらね」と返されるのがオチだ。


『…私だってもう大人なのに。』
「? 何の話してんの? つぅかお前はまだ中坊じゃん。」


ケラケラと笑いながら私の頭をポンポンする凍夜兄ちゃんは、確かに大人だしカッコイイけど…


『障害物競争であんなことする大人がいてたまるか!!』
「それ言うなら…じいさんとかどうなるんだよ。」
「ん? オレがどうかしたかい??」
「菜也が、『おじいちゃんのせいで障害物競争で一位取れなかった』って泣いてたぞ。」
『へっ!? そんな事言ってないでしょ!!
てかおじいちゃんも本気で受け止めないで!! 凍夜兄ちゃんの嘘だから!!』


周りはほのぼのと家族団欒してご飯を食べているのに、私のところだけ一際賑やかで少し恥ずかしい。
しかも特に目立つのがおじいちゃんと白蔵図さん。
他の皆は普通に洋服を着ているのに対し、おじいちゃんは(カッコイイけど)和服。白蔵図さんは…人間に変装したつもりなのだろうけど、とてもセンスの悪いストリートファッションをしているから悪目立ちだ。


「…なんか、あっちの方騒がしいな。」

『え? どこど…こ………』


凍夜兄ちゃんが示す先を見れば、そこには沢田達がご飯を食べていた。
……家族構成が全く読めない面子だな。
多分、母親はあのショートヘアーの優しそうな人だろう。でもお父さんっぽい人は見当たらない。
その代わりと言ってはなんだが…この前川で溺れてた変人のハルさん、5歳児の牛柄ランボ君、そして謎の外国人美女がいる。


「! なぁ…なんかさ、
人が次々と倒れてるけど大丈夫か?」

『……大丈夫よ、きっと。』


沢田の周りにいた学生に、チョコレートを何故かプレゼントしたその外国人美女。
親切だなぁなんて思っていれば、チョコを食べた人が次々にお腹をおさえて倒れたではありませんか。
…毒でも盛ったのか?
何にせよ…沢田の周りにいる人は高確率で只者じゃないから、関わらないに越したことはない。


『(あの美女もマフィアだったり…まさかね)』


……なんて鼻で笑っていた私だが、
後々、彼女がマフィアでなおかつ獄寺の腹違いの姉、リボーンの4番目の愛人であることを知る羽目になる。





(「菜也、ごめんな。本当はパパも障害物競争でお前を応援したかったんだが…明鏡止水が使えないからできなかったんだ。」)
(『…いや、逆にありがとう。あれでお父さんまでいたら私もっとパニックになって退場してたよ。』)
(「そもそもアレは応援じゃなくてただの邪魔よねぇ。」)
(『(そう思うならどうして止めてくれなかったのお母さん…!!)』)

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