障害物競争


『はぁ〜……
今度は障害物競走か、面倒臭いなぁ。』


男子だけの棒倒しは体育祭のトリであるため、最後にある。そして今からは女子の部の障害物競争だ。

『でもこれが終わったらご飯だね!』
「…この後にご飯だっていうのにさ、障害物競争の最後にコーラ一気飲みかメロンパン食べるって……どうよ?」
『確かに…食後にして欲しいよね。』
「そうゆう問題?」
『え? 逆にどうゆう問題?』

花ちゃんに「アンタの胃袋のデカさを忘れてたわ」と言われる始末なんだけど…
えー…どうゆう答え求めてんだよ、花ちゃんは。

そんな事を話していれば、あっという間にやってきた私の番。
適当にやって、さっさと終わらせよう。
そう思っていた私だったが……


「よーい……」

パーーーーーン!!


ピストルが鳴って、最初の関門のキャタピラに来れば…


『え……ぅぇえぇぇぇぇぇぇ!!??』


なんということでしょう……!!


「うおぉおぉおぉぉぉぉぉ!!!!」

少し離れた私の右側には…キャタピラで土埃をあげながら前進するおじいちゃんが。
そして、

「ぬあぁあぁあぁぁぁぁぁ!!!!」

少し離れた私の左側には…キャタピラで冷風を起こしながら前進する凍夜兄ちゃんがいた。


『ひ、ひぃぃぃいいいい!!??』


妖怪なんか見えなきゃ良かった!! なんか物凄く二人共怖いんですけど!! 明鏡止水をちゃっかりやってるから、周りには「何かすげぇ土埃起こってっけど!?」「しかも何か寒くね!?」という不思議現象で済んでいるが…


『ちょ、なになになにーっ!!??』

「菜也! 見ろ! オレは走り二重跳びができるぞ!!」

「ふはっ! 甘いなじいさん!! オレは走り二重あや跳びができるぜ!!」


次の関門の走り縄跳びでも何故か私を挟んで何かを競う2人。一体誰と何を争ってるの!?


『……………(網くぐりは楽だな)』

そして3つ目の網潜り。
背がそんなに高くない私には結構簡単であるが、

「クソッ! 髪が穴にハマった!!」

「ぶはっ! 鯉が網にはまってやがるぜ!
って、くッ…マフラーが…引っ掛かった…っ!!」

おじいちゃんは髪(頭?)が網の中にしっかりとハマってしまい、凍夜兄ちゃんはマフラーが網と絡んで首が締まっている。
……今度ネックウォーマーを買ってあげよう。

そんな2人を助けるわけもなく、ひょいひょいと先に進み…ようやく最後の砦であるコーラ一気飲みもしくはメロンパン食いに辿り着く。


「コーラ2本かメロンパン、どっちがいいですか? ちなみに途中で変更はできません。」


メロンパンは勿論ぶら下がっており、手を使わずにジャンプして食べなければならない。
一方、コーラは2本を全部一気飲みである。

『(私チビだしな)…コーラにします!!』

係の人にコーラを2本渡されて一気飲みをしようとすると、

『……ごふっ!?』

「ど、どうしました!? 大丈夫ですか!?」

『す、すみません…大丈夫です…。』

急にコーラを口から吹き出してしまった私に、タオルを差し出しながら心配する係員さん。
驚かせてごめん、でもありがとう!
そして…


「このメロンパン、旨いな。」

「…確かに美味しいけど。
特別美味しいわけでもなく、普通にどこにでも売ってる味だと思うぜ。」


私の目の前でメロンパンを食ってるアンタ達は私に全力で謝れ!!






(「…あれ、メロンパン2つ減ってない?」)
(「? 本当だ。でも今回は…1人しかメロンパン選ばなかった筈だよな。」)
(「……おかしいわね…さげるの忘れてたかしら。」)
(「かもしれねぇな、さげとこう。」)
(『(うちの祖父と従兄がごめんなさい係員さん!!)』)

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