体育祭前日


「今年の棒倒しの大将は、沢田にする!!」


体育祭前、各学年のA組が集まった教室で話されるのは棒倒しのこと。
並盛中学の名物と言っても過言ではないこの棒倒しは、1年から3年の各組がクラス毎に協力して戦うのだ。そして私達のクラスはA組で…今目の前の教壇で熱烈に語っている了平さんもA組だ。


「多数決で決めるぞ!! 賛成の者は手を挙げろ!!」


そう言って意見を求める了平さんだが、「ダメツナかー…」となかなか渋って手を挙げない者達に「手を挙げんか!!」と目を見開いて命令している。挙手制と人権って言葉を彼は知っているのだろうか。


「うちのクラスに反対するやつぁいねぇだろうなぁ!?」


お前もか、ニコチン野郎。
ギロっと鋭い目付きで睨みつけなら、そうクラスの皆に脅しをかけるのは獄寺で……
そんな獄寺に逆らう勇気のない皆、もしくは、獄寺のファンクラブ会員は手を挙げて賛成する。

そんなこんなで(本人は激しく嫌がっているが)棒倒しの大将は沢田に決まり、会議は終了した。


『じゃっ、
会議も終わったことだし私先に帰るね!』
「えー、寄り道しようよ。」
『ぁー、また今度誘って! 今日は用事あるから。バイバイ!!』

せっかくの花ちゃんからのお誘いを断り、小走りで家への帰路をたどる私。ウキウキ気分で帰る私を待つ家には今……


『ただいまー!!』

「おかえりなさーい!」

「おかえり、菜也ちゃん。息災かい?」

「よっ、久し振りだな菜也!」


お母さんは勿論、
鯉伴爺ちゃんと凍夜兄ちゃんもいた。


- 23 -


[*前] | [次#]

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -