熱血漢


『ふぁ〜…』
「ねぇ、菜也ちゃん、花ちゃん!」
「なぁに? 嬉しそうな顔をして」
「今日の放課後空いてる? ツナ君とお兄ちゃんが勝負するらしいから、応援しに行こう!」


笹川京子、並盛中学校のアイドルと言っても過言ではない可愛い子。そんな彼女のたった1人のお兄さんを分かりやすく説明するならば、「極限!!」「がおおおお!!」「気合だー!!」の三原則で充分だと思う。
…え? 分からない?
そうだなぁ…要は、


「極限!! 準備はいいか、沢田ツナ!!
遠慮はするな、全力で来い!!」

『相変わらずの熱血漢だねぇ…』


本当に京子ちゃんと血が繋がってるのか疑いたくなるくらい、熱い「漢」なのである。ちなみに京子ちゃんのお兄さんは笹川了平と言い、私達の一個上の先輩だ。最近死ぬ気モードで色んな噂が飛び回る沢田を気にかけていたようで、遂に今日、沢田をボクシング部に入れようと動き出したようだ。

『本当にボクシング大好きだよね、お兄さん』
「うん! ツナ君をいつも入部させたいって言ってたし…今日は特に嬉しそう!」

お兄さんが嬉しそうだからか、京子ちゃんもそう嬉しそうに話す。そんな中、戦いのゴングが鳴って勝負が始まったのだが…あっという間に右ストレートを食らって倒れる沢田。この流れからすると、きっとリボーンが沢田に死ぬ気弾撃って、死ぬ気モードの沢田がお兄さんを倒して終わりだろう…
だが予想は裏切られー


『!!』
「なぁっ!? お兄さんに死ぬ気弾を撃ったのか!?」


理由は知らないが、何故か沢田ではなくお兄さんを死ぬ気弾で撃ったリボーン。唯でさえいつも熱血なのに、死ぬ気モードになったら尚更鬱陶しくなるんじゃ…
そう思ったものの、復活したお兄さんはいつも通り。何一つ変わらないその様子に、『あぁ、いつも死ぬ気だから変わらないのかな』なんて適当に自己完結する。

「次はお前の番だぞ、ツナ。」

リボーンが言い終わるやいなや…沢田はやはり死ぬ気モードに突入する。

「死ぬ気でボクシング部の入部を断る!!」
「ほぅ…? 理由は聞かん。何故なら…
男は拳で語るものだからだ! ボクシング部に入れ沢田ぁ!!」
「イヤだ!!」

お兄さんのパンチを死ぬ気モードの沢田は躱す。勿論、避けられるとは思っていなかったお兄さんはそれで火がつき…


「入れ入れ入れ入れ入れ!!」

「やだやだやだやだやだ!!」


物凄いスピードとパワーのラッシュを繰り出すお兄さんだが、それを全て躱す沢田も凄い。最早沢田が凄いのか、人間死ぬ気になると凄いのかはよく分からないけれど…取り敢えず2人とも凄い。
そして最終的に勝負はー

「断る!!」

「ぐはぁっ!!」

お兄さんをリングから出す程のパンチをお見舞いした沢田の勝ち。
吹き飛ばされたお兄さんは窓ガラスにぶつかり、色んな所から血を流す。だが、彼はそんな怪我で弱るタマじゃなく…


「益々気に入ったぞ沢田ぁ!! お前のパンチはプラチナ級だ!! いつでもボクシング部に歓迎するぞ!!」

「もうお兄ちゃんったら…嬉しそうなんだから!」


血を流しながらも未だに迫るお兄さんに、沢田も少し引き気味である。てゆうか京子ちゃんはお兄さんの怪我の心配しなくていいの?


「オレもお前が気に入ったぞ。
ファミリーに入らねぇか?」

「ちょっ、何勧誘してるんだよリボーン!!」


そんなこんなで…
沢田は無事にボクシング部入部を断り、お兄さんはリボーンに目をつけられて終わったこの勝負。
取り敢えず思うことはー



『ボクシングって痛そう……。』


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