ハル


「オレはまだてめーを認めていねぇからな!!」

『うん。別にこっちもあなたに認められたいだなんて思ってないから。思い上がってるんじゃないわよ、このニコチン野郎。』

「んだとテメー!!」


こんにちは、ただいまイライラMAXな菜也です。おつかい帰りの途中、偶然にも獄寺に会ったのですが…開口一番「てめぇ…10代目の何なんだ!?」と喧嘩腰で言われて現在まで至っております。


「この前のボンゴレ入隊試験の時もそうだ! テメェどうやってあの場を切り抜けやがった!?」

『いやー、運良く爆発に直撃しなかっただけッスよ。そんでアンタらがバカやってる間に帰っただけッス。』

「なっ…誰がバカだ!! ついこの間も10代目を2回も足蹴りしやがって!! 果たすぞ!?」

『何を果たすの? 約束? 私君と何か約束したっけ。』

「このっ…上等だゴルァ!! 消してや…
ーん!? 10代目!?」

『…………わぁ…何あの人…センス悪い。』


急に10代目ー!! と叫びながら何処かへ去る獄寺。その行き先を見れば、何やら変なやつに沢田が襲われていた。
顔は見えないが、とにかく頭はおかしい奴だと思われる。というのも、武士の甲冑みたいなのを着ているくせに…頭にはヘルメット、手にはアイスホッケーの道具を持っているからだ。

『こーんな真夏に…絶対アレ暑いわ。』

シュールなその光景から目が離せず見守っていると、獄寺がその謎の人をダイナマイトで吹き飛ばす。
運が良いのか悪いのか…そこは橋であり、爆風によって吹き飛ばされたその人は川へと落ちる。交通の多い道路だったら死んでたぞ。


『……女?』


川から助けてと叫ぶその人は、驚いたことに女の人だった。…おそらく同年代くらいの子だろうけど、まさかあんな変な格好している人の正体がコレとは。

『…なんか、せっかく可愛い顔してるのに勿体ない。』
「失礼だぞ、お前。」
『あれ…リボーン君もいたんだ。
って…そうよね。沢田が死ぬ気モードになってるんだし、いる筈だよね。』

いつの間にいたのやら…。私の隣でにっと笑うリボーン君はいつも通り黒いスーツに身を包み、二足歩行している。
ちなみにさっきの溺れかけてた女の子は死ぬ気モードの沢田に助けられたようだ。


「久しぶりだな、あれから元気だったか?」
『どうかな。君達に会わずに過ごしていた方が平凡で平和な毎日を送っている気がするよ。』
「そうか。刺激的な毎日が送れて良かったじゃねぇか。」
『…………。』


良くねぇよ、そう言いたいのは山々だが、口で勝てないのはなんとなく分かっているため敢えてのスルーだ。

『で、
沢田を襲っていたかと思いきや、今度は裸の沢田を目をハートにして追いかけているあのクレイジーガールは誰?』

「なんだ、ハルに嫉妬してんのか?」

『欠伸が出る程クソつまらない冗談ね。』

「言葉遣いがキタねぇぞ。」

『赤ん坊に言われたかないわ。』

私とリボーンが見る先には、
「ツナさん、ハルを抱きしめてくださいー!!」と沢田を追いかける女の子…
そのハルという女の子から必死に逃げる沢田…
そしてドン引きで固まっている獄寺の姿が。


『……またあの娘もマフィア関係の子?』

「ちげぇぞ。
今のところツナのファミリーは獄寺と山本、菜也…お前らだけだぞ。」

『あっそ。
……で? 沢田達はまぁ…一般人じゃないけど、人間なのは分かった、多分。
でもリボーン君、君は?』

「オレは殺し屋だぞ。」

『…どうして赤ん坊のなりをしてるのに…話せて、歩けて、戦えるの? 他の皆は〈何故か〉気にならないようだけど…私は〈普通に〉気になるよ。リボーン君はさ…何者なの?』

「…………。」


隣に立つリボーン君を見るが、いかんせん、私の目線からでは足元くらいにいるリボーン君の 顔を見る事が出来ない。だから、どんな顔をして何を考えているのか予想だにつかない…。


『私達と同じ、妖怪…ではないの?』


正直言って、リボーン君からは妖気が感じられない。でも…妖怪だったなら、リボーン君の謎の現象は理解できるのだ。
そんな私の考えもこの赤ん坊には容易く読めているのだろう…私の目を真っ直ぐ見て「残念ながら、俺は妖怪じゃねぇぞ」と言う。


『………………』

「妖怪じゃねぇ。もしかしたら…妖怪よりも質の悪ぃ化物かもしれねぇな。」


自分で聞いておきながら、珍しく自嘲するかのように言うリボーン君に私はなんて返せばいいか分からなかった。こういう時になんて言葉をかけるべきなのか…

慰めの言葉かー
同意の言葉かー
理解の言葉かー

何を言ってもこの場は不釣り合いなような気がして、だから…


『……化物……ねぇ。
そういえば、化物と妖怪の違いってなんだと思う?』


ーだなんて…
気にしてない、どうでもいい、
そんな感じで話題を変えることしか、私にはできなかった。


(「…そもそも妖怪にも〈化物〉だなんて概念あるのか?」)
(『あるよ。うちの家ではさ、誰かが「化物だー!」って言ったら「いや、オレらも既に化物だぜ」って自虐ネタ言うのがテッパンだから。』)
(「…おもしれぇな。」)

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