おにぎり


「「「今日は家庭科でつくったおにぎりを男子にくれてやるー!!」」」

「「「やったーー!!」」」


勝手な事言わないで欲しい。
何で作ったおにぎりをそこらの馬鹿な男子にあげなくならないんだ。

『自分で食べるっつの。私のおにぎりは私だけのものよ。』
「どんだけ食い意地はってんのよアンタ。」

花ちゃんにそう辛口コメントを頂きながらも話していれば、隣にいた京子ちゃんの元へいつの間にやら沢田が来ていた。
…積極的だなぁ。

「ツナ君、食べる?」
「えっ!?」
「抜け駆けか!? やるなぁツナ!!」

そんなツナを肘で突っつく山本だが…ふむ、何やら沢田の様子がおかしいぞ。いつもなら泣いて喜びそうなのに、今は顔が真っ青だ。その様子に終いには「あっ、鮭嫌いだった?」としゅんとして言う京子ちゃん。そんな彼女に慌てて沢田は否定するも…やはりなかなか食べようとはしない。
その様子を見かねてか…


「10代目がいただかないんなら、オレ貰っちゃいますよ?」
「そりゃいいな。一個貰うぜ?」
「どうぞ♪」
「!!」


獄寺と山本は3つあるおにぎりの1つを手に取る。
……あり? なんかそのおにぎり…変じゃね?
紫っぽい煙出てるし…それに何か…

『…………。』

京子ちゃんや、あなた一体何を作ったの!?
何でおにぎりにゴキやら毛虫やら色んな虫が入ってるの!?

ようやく沢田が躊躇っていた理由が分かった。
だが、他の皆が気づかない理由が私には分からない!! 普通気付くでしょ!!
そんな事を思っているとー


「た、食べたら死ぬんだぞ!!」
「!? 10代目!?」
「ツナ!?」


おにぎりを食べようとした獄寺と山本の手を叩き、それを阻止した沢田。ついで、リボーンがどこからか撃ったのだろう…突然死ぬ気モード(?)になった沢田は京子ちゃんのおにぎり全てを食べ始める。
……絶対不味いだろうなぁ。


「うまい。」

あぁ、沢田の舌はどうやらリボーンしなかったようである。

「足りねー!!」
「……あれ!?」
「オレのおにぎりは!?」
「…あっ! ツナのやつが食べてる!!」

どうやら3つだけじゃ足りなかったようで、色んな人のおにぎりを次々に食らう沢田。
あいつきっと後から他の男子にボコられるな。あんなに女子から嬉しそうにおにぎりを貰ってたのに…ご愁傷様だ。

「まだまだまだー!!」
『!!』

心の中で合掌を唱えていれば、こっちへと向かってくる沢田。


「寄越せ!! おにぎり!!」

『だが断る!!』


バキッ


こちらに手を伸ばしている沢田にあまりにも隙があったので…つい顔を足蹴りしてしまう。そんな私に獄寺が何やら吠えているが、知ったこっちゃない。


『これは私のおにぎりなの!!』

「寄越せ!!」

『自分で作りなさいよ!!』


ドスッ


今度は溝うちを狙って攻撃するが、死ぬ気モードの沢田には効かないようで……


「大人しく寄越せーっ!!」

『い、いやぁぁぁぁぁっ!!』


死ぬ気弾を撃たれていないものの、私も沢田よろしく死ぬ気モードで逃走するのだった。





屋上にて

(『…ハァ…ハァ、やっと撒けた…』)
(「ボーッ♪」)
(『ぁ…雪ん子……』)
(「ボーッ!」)
(『はいはい、お待たせ。お腹空いたよね、おにぎりだよ!』)
(「ボーッ♪♪」)
(『ふふっ、あんまり目立たないようにしてね! 見つかったら大変だから。』)


*雪ん子…従兄の凍夜兄ちゃんに、小さい頃貰った雪の結晶の妖怪。白くてフワフワして丸い。鳴き声は「ボーッ」。触ると冷たい。

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