ふざけたテスト


「う、うわぁっ! ちょっと待って!!」
「ハハッ、良い肩してらぁ」
『……(まだ遊びだと思ってる……)』


ヒュんヒュんと飛んでくるナイフ…
そしてそれを躱しながら逃げる私と山本と沢田。私と山本はボンゴレの入隊テストでこんな事をやる羽目になったのだが、沢田はただの理不尽な成り行きである。リボーンの「ボスとしてお手本を見せてやれ」という言葉で私たちと一緒に生死を賭けることになったのだ。

『…可哀想』
「何でオレを見て悲しそうな顔するのー!?」
「にしても、最近のオモチャはすげぇな! 本物そっくりだ!」
「あのナイフまだオモチャだと思ってんの!?」

…なんだ、結構余裕そうじゃないか。
ツッコミしながら避けるなんて器用なやつだな。

「今度はボウガンだぞ。」
「げっ、先回り!?」
「やるなぁ小僧!」
『(めんどくさくなってきた…)』

いつになったら終わるのだろうか。
ただ躱して走って逃げて…その繰り返しならぶっちゃけ帰りたいものだ。明鏡止水を使ったら楽なのだが、いかんせん…ここには沢田と山本、獄寺もいるから使えないのだ。


『(帰りたいわー…)』

「ガハハハハハ!! 見つけたぞーリボーン!!」

「今度は何だ?」

「う、嘘だろ…」


突如聞こえてきたアホ丸出しな笑い声。
その声の主を見れば…

ー 何だあれ。

牛柄の全身タイツを着た5歳くらいの男の子がいた。しかも髪の毛が凄いアフロだし…よくよく見たら牛の角みたいなのが頭から生えてるし…

『……牛の妖怪…?』
「まさかのランボを妖怪扱いー!?」
『…!! まさかっ…牛鬼さんの隠し子!?
ーいや、牛鬼さんの子ならもっと静かで利口な子供に育つ筈だから…絶対違うわ。』
「さり気なくランボをバカにしてるー!!」
『…ねぇ、さっきから沢田うるさいんだけど。』
「ひぃっ! ごめんなさい!!」

ツッコミを一々いれてくる沢田に静かにするように頼めば、全力で謝られた。
一方、
ランボと呼ばれた変な男の子は「ボヴィーノファミリーのランボだもんね! 5歳なのに中学校に来ちまったもんね!」と何故か自己アピールを必死にしてくる。ホント…何なのあの男の子。可愛いのか不細工なのかよく分からないわ。


「リボーンさん、あのガキどうします?」
「無視だ。それより続行するぞ。」
「う、うわぁあっ!!?」
「おっと…」
『うわっ』


リボーンはどうやらランボのことをスルーするように決めたようで、再びボウガンで攻撃を仕掛けてくる。そこで攻撃を躱しながらも、チラッとランボを横目に見れば…

『…は? なにあ…っれぇえ!!?』


ドドドオン


ランボから飛んできたのは、いくつものミサイル。何で5歳の子供がミサイルランチャーなんかを持ってるんだ! そう喉から叫びそうになったが…よくよく考えたら、私達の目の前には武器を持つ0歳の赤ん坊がいるからまだランボの方がマシである。


「ふー…こりゃあ舐めてっと試験に受からねぇわ。お互い頑張ろうぜ、奴良!」
『……ソウデスネ。』


沢田がリボーンに止めるように怒鳴っている一方、山本はと言えばまだ遊びだと思って楽しんでいる。そして一息つく暇もなく、次にリボーンが取り出したのはサブマシンガンで…これまたランボのミサイルと一緒に攻撃される。
まぁ…このくらいなら明鏡止水を使わなくても何とか躱せるし、大丈夫かな。
そう思った自分を…私はこの後直ぐに殴りたくなる羽目になった。


「最後はロケット弾だぞ。」

「死ね」

「サンダーセット!!」


いやいやいや、ツッコミどころが多過ぎるだろうコレは。
まず、リボーンのロケット弾は良しとしよう。
だが何で獄寺も加わってダイナマイト投げようとしてんの!? しかもさっきまでランボがいた所には知らない兄ちゃんがミサイルランチャーを持って立ってるし!? ランボ何処に行ったの!? つぅか避雷針の如く雷を引き寄せたけど…アンタ何者だ!! 何で雷に直撃したのに無事なんだ!!


「おいおい、こりゃあ……」

『…これはないでしょ…』

「ええええええ!!?」


私達を襲うロケット弾、ダイナマイト、電撃、そしていくつものミサイル…
大爆発が起きる中、沢田の悲鳴が響き渡る。


「じゅ、10代目ー!! ご無事ですかー!!」
「あそこにいるぞ。」
「ふぅー…今のは危なかったぜ。」
「山本が引っ張ってくれたから…
た、助かった…」


辺りに広がる黒煙で皆の姿が見えないものの、聴こえてくる声々に山本も沢田も無事なのだと分かる。

『(今のうちに帰ろうかな…)』

身を守るため咄嗟に明鏡止水を発動した私は、沢田とは違い、山本に助けられる事はなかった。
だからだろう。
そういえば奴良は!? 無事なんだろうな!? と心配そうに騒ぎ始める山本と沢田。その声から逃げるように、私は明鏡止水を解かずにそっとその場から離れた。


『…ホント…誰なんだあれは。』


最後にチラッとランボがいた所を見れば、そこにいたのはやはりチャラい兄ちゃんで…ポツンと一人寂しげに沢田達を見ていたのだった。




(「奴良がいないぞ!?」)
(「まさか…死んだのか!?」)
(「安心しろ。アイツならさっき帰ってったぞ。」)
(「え、ええええ!? 何時の間にぃ!!?」)
(「ハハハッ! 全く気付かなかったぜ」)

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