ただいま
私も柳田や御門院家を倒し、ツナ達も白蘭を倒した。でも私の家族や山本のお父さん、ユニやγも、亡くなった人は帰ってこない…
それにー、
『ねぇ、白蘭達を倒すことが過去に帰ることに繋がるって言ってたけど…本当に帰れるの?』
「そうだよ…この戦いで沢山の人が傷付いて…山本のお父さんも奴良の家族も、他のパラレルワールドでも…多くの人が死んじゃって…
勝ったは勝ったけど、もうこんなメチャクチャで…本当に…勝った意味なんてあったのかな…?」
『え…大有りでしょ。私とかまだ100回ほど柳田達を生き返らせて殺したいくらいだけど。』
「100回は多過ぎだ! それと勝った意味は大有りに決まってんだろ、よくやったな沢田!! コラ!!」
声のした方を見れば、そこにはユニを除いて亡くなった筈のアルコバレーノが復活していた。コロネロやマーモンもいて…その他見たことない赤ん坊もいた。
「事情は全て分かってるぜ、おしゃぶり状態のオレ達にユニが炎を通して教えてくれたからな。」
相変わらず、アルコバレーノのというのはよく分からないけど…ユニはアルコバレーノの復活のために命を捧げ、こうしてコロネロ達はおしゃぶりを通して再誕したということだ。一体どういう仕組みなんだ、妖怪みたいだな。ビックリ。
しかも、これだけではない。
アルコバレーノの再誕だけでも驚いたのに、予期せぬ驚きはもう1つあった。
「白蘭が倒された今、持ち主を失ったマーレリングの力も無効化されました。」
「つまり、白蘭のやった悪事は昔のこともキレイサッパリ跡形もなく、なくなるんだぜコラ!」
「それって…ミルフィオーレに殺された人達や山本のお父さん…奴良の家族も!?」
「恐らく死んだこと自体がなかったことになるだろうな。」
『…え? そうなの…? 嘘…』
取り敢えず仇はとったけど、まさか死んだこと自体がなくなるなんて思いもしなかった。信じられないけど、それが本当なら凄く嬉しい…
「でも…もしまた白蘭みたいなやつが現れたら…」
『確かに。こっちは山ン本がこれからも何度も復活しそうだな…』
「それも心配ありません。それを防ぐために、ユニは命をかけて我々に奥義を託したのです。」
『奥義…?』
聞けば、
ユニはアルコバレーノに3つの任務を託したらしい。
1つ目は、過去のマーレリングを封印すること。
2つ目は、一緒に戦った仲間達の未来の記憶を過去の彼らに伝えること。
「お、おぉぉ…?
何か頭ん中に変な映像が流れてきたぞ…」
「これは…鯉菜様!」
「…未来の…記憶…、だよね?」
そして3つ目は…
ドサッ
『痛っ!…ここは…』
「菜也? お前っ、何か所々傷があるじゃん!
マイラブリードーターがっ! 傷をっ!!」
『お父、さん…』
「菜也様! たった今未来の映像が頭の中で流れたのですが…あれは本当なのですかっ!?」
『陽炎…!
うん…本当だよ、でももう大丈夫だから。』
「よかった…何よりも菜也が無事で…
本当に良かった!
辛かったよね、よく頑張ったね…!!」
『お母さんっ…うん…私、頑張ったんだよ…?
柳田と御門院家も倒して…10年後の凍夜兄ちゃんも山ン本を倒して…
それにね! アルコバレーノが、また山ン本が復活しないように、山ン本を封印してくれるんだって!』
「…山ン本を…? 地獄にいるのに…?」
『うんっ!
だからもう…きっと大丈夫だよ!』
3つ目は、柳田や山ン本がまた騒ぎを起こさないように彼らを封印すること。そんなことできるのかなって疑問に思ったけど…おしゃぶりから再誕したりする何でもアリな彼らだ。「やる」って言うからにはできるのだろう。
いずれにせよ、
コレは私達にとっては凄く助かるし嬉しいことで…
「そっか…今度こそ本当に終わったんだ…
終わらしてくれて、ありがとう、菜也。」
『…ううん、未来の藤組2代目候補として当たり前のことをしたまでだよ!』
「おっ、言うね〜! 流石はオレと鯉菜の子だ。」
「つぅかアンタまた私に殺されてたね。ザコっ」
『お、お母さん…?』
「はぁ? 今回は引き分けだっただろ?
むしろ人間のオレに引き分けしてたお前は10年で弱くなってたんじゃね?」
『ちょ、お父さんも止めなよ、お母さんに勝てないのは分かりきってんだから…』
「そもそも達也も少しは自分の中の身くらい守れるようになんないから、あんなアッサリ捕まって化け物にされてんでしょう? いつまでも私が護ってやると思ってンじゃないわよ。」
「とか言いつつオレのこと好きだからこれからも護ってくれるんだろ?」
「お前が死ぬ時は寿命か私がアンタを殺す時。」
「菜也、今の聞いた? 直訳するとアレは…"誰にもオレを死なせない"ってことだぜ。」
「菜也、お母さんと一緒に今度ネズミーランドに行こう?」
『行きたい! 行く行く!』
「待って、何でオレは誘わないの? ねぇ?」
真面目な話をしていても直ぐにおふざけモードになるこの流れが、とても久しぶりに感じた。
もちろん、お父さんやお母さんに腹が立ったり喧嘩することもあるけれど…
二人がこうやって楽しく話してる姿を見られるのが嬉しくて、ホッとして、楽しくて…
『お母さん、お父さん!』
「「ん?」」
『今度…、ううん、今から!
四つ葉のクローバーを探しに行こう!』
「四つ葉のクローバー?」
「おっ 懐かしいな! 昔探した覚えがある。」
『これからも藤組や奴良組の皆が元気で過ごせるように、探しに行こう! 陽炎もほら! 皆で沢山見つけよう!』
「そうですね…じゃあオレは皆に声をかけてきます!」
「一番早く見つけた人と、一番多く見つけた人には私からご褒美をあげようかな。」
「よっしゃ、じゃあオレが一番早く一番多くの四つ葉見つけよう。」
未来で味わった哀しさや虚しさ、怒りを塗り消すかのように…
お父さんやお母さん、組の皆との時間を取り戻すかのように…
しばらくの間、私は皆との幸せな時間を大切にかみしめた。
(「…そういえば、その指輪…」)
(「結婚指輪か!? 父さん許さんぞ!」)
(『ボンゴレリングだから。それとこっちは、指輪になったコンパクトver.匣兵器だから。』)
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