夕闇の守護者
『…さっきの…ホログラム…?』
「違ぇぞ、初代ボンゴレのジョットだ。
にしてもよく帰ったな。」
『あ…うん、ただいま。
…つーか今どうゆう状況? これがチョイス?』
「いや、チョイスには負けたんだ。だがまぁ…ユニが現れてな。詳しいことは後で話してやる。」
リボーンと少し会話をして、視線をツナへと戻した。詳しいことはよく分からないけど、ツナはボンゴレリングの真の力を引き出せたことで白蘭を追いつめている。
さっきまでボロボロだったのに、今までの疲れを感じさせない動きだ…
『そういえば…皆はえらく疲れてるね、ヴァリアーも骸達も。そんなに厳しい戦いだったの?』
「まさか! 僕はまだ余裕ですよ…クフフ」
「あれ、お前骸じゃん。脱獄したんだ、悪ぃー!」
「褒め言葉として受け取っておきましょう」
六道骸はこの時代のままだ…なんというか、10年たったらこんな風になるんだなぁって感じ。
ちなみにヴァリアーは…うん…あんまり変わんないかな? 1人蛙の被り物をした見かけない人がいるけど。
『…って、あれ!?
スクアーロとディーノさん、怪我凄いよ!?
大丈夫なの!? 治すよ!?』
「ほっとけぇ"!!
…って、う"お"おぉぃ!! 人の話を聞けぇ!」
「ははっ 情けねぇ姿見られちまったな…
でもサンキュー、おかげでもう痛くねぇよ。」
「お前らダッセーなぁ…菜也に感謝しろよ。」
『何で凍夜兄ちゃんが自慢気なの…。』
大怪我したスクアーロとディーノを治療しながら話を聞けば…
なんやかんやでここにいる皆の死ぬ気の炎が白蘭に吸いとられたらしい。つまり、ヴァリアーも骸達も獄寺達も…取り敢えずここにいる皆はガス欠状態ということだ。
ツナが白蘭に敵わなかったのも納得がいく。
皆の死ぬ気の炎を吸いとったなら、そりゃ白蘭はその分強くなるに決まってるよね。
でも、
それなら急いでここに来てよかったー
「ガァァアアアア!!!」
「…あ"ぁ? 何だあれはぁ…」
『…凍夜兄ちゃん…』
「あぁ…おいでなさったな…」
ゾロゾロ軍をなしてやってきた人ならざる者。
宝船に急いでやってきて貰った甲斐があった…遅れてたらここにいる皆が危なかったかもしれない。
「なっ…もうガス欠だってのに…!」
「どうすればいいんだ…!?」
「くそっ どうするもこうするも…10代目は戦ってんだ、オレ達もやるしかねぇだろ!!」
「いいや、お前達は休んどけ。なぁ、菜也?」
そう格好よく私に言ったのは勿論、凍夜兄ちゃんで…
『えぇ、あれは私達の獲物よ。人間の分際で妖怪に喧嘩売ったこと…あの世で後悔させてやるわ。』
「…オレ達も人間の血入ってるけどな?
まぁいいけど、そんじゃ…始めっか。
夕闇の守護者の使命らしく、派手に暴れようぜ。」
『…私よりも凍夜兄ちゃんの方がさ、夕闇の守護者似合ってるよね。』
「オレは奴良組当主だから。お前は奴良組とボンゴレを繋ぐ、夕闇の守護者なんだよ。」
獄寺達や喧嘩大好きヴァリアーの異議を無視して、私達は再び雑談をしながら走った。実験は失敗してるのか成功してるのか分からないけれど、いずれにせよ、彼等にはもう理性はない。あるのはただ、殺意のみだ。
「妖怪の術や特徴はちゃんと取り込めたらしいな。 …にしても、この実験台になってる人間って…」
『……ミルフィオーレ…の人達…?』
「ふはは…よくぞ気付いたな、その通りだ。
我々は妖怪の力や特徴を取りこむ実験に成功した。そいつらは皆理性を失ったように見えるだろう?
だが正確には違う!
普通の一般人を基に実験した場合、彼等は敵味方関係なしに無作為に攻撃をした。しかし、ミルフィオーレの者を基に実験した場合、彼等は敵と味方の区別がちゃんとついたのだよ。」
「成る程…それで仲間を実験台にしたってか。」
「仲間…?
馬鹿言うな、彼等はただの被験体に過ぎない。」
声を高々にして言ってるのは、きっとあの時のミルフィオーレの科学者だ。お父さんを改造して、お母さんと戦わせた…アイツ。
今回実験台になったミルフィオーレの人達は被害者に過ぎないかもしれないけど、でも…
『被験体には同情しない…
だが、救えられそうな妖怪は救出しよう!!』
「あぁ…意義なし!
後はどうせ敵なんだ、派手に暴れろ!」
「ちょ、待って下さい! 救えられそうって…どうやったら分かるんですか!?」
『耳を澄ませ! 聲を聞け!!
畏れが強いやつは分離させたらきっと治せるから!』
「分離ってどうやるんスか!?」
「畏れを武器に乗せろ! できねぇなら菜也のところにソイツを誘き寄せろ! アイツは人だけを斬る紅葉刀を持ってるからな!!」
本当、まさかこんなところでコレが役に立とうとは思わなかったよ。正直言って、私はまだ畏れを刃に乗せる戦い方を習ってない。だから紅葉刀があって本当にラッキーだ。
この刀のおかげで、何人かの妖怪を化け物の体から救出することができてる。
でも、私達はやっぱり任侠者だからか…
「にしても数が多いな…少し封じるか。
呪いの吹雪"風声鶴麗"!!」
敵を凍らして、
『むっ…私だって!
明鏡止水"桜花爛漫"!!』
桜が咲き乱れるように爆発を乱発させて、
「むむっ じゃあオレは…
呪いの…明鏡止水? "乱れ雪桜月"!」
『はぁ!? 何その呪いの明鏡止水って!』
「だって雪女とぬらりひょんの合わせ技だし!」
勿論、救出も忘れてないけれど…ついつい暴れすぎてしまうのは多目に見てほしいものだ。
ただし、例外アリ。
お前には手加減も容赦も必要ないだろう。
「くそっ! くそっ!! くそぅっ!!!
私の実験作が!! 何故だっ!!」
『そんなの…
本物にコピーが敵うわけないのと一緒でしょう?
それと、これは今までの礼よ。』
「妖怪の力…とくと味わいやがれ。」
『「明鏡止水"桜"!!」』
二人同時にやった奥義は、今までやった中で最も熱く長く燃え続けた…。
白蘭を倒したらしいツナは「やり過ぎなんじゃ」と言ってきたけど、両親と仲間の仇が目の前にいるのに手加減するほど私は大人じゃないのだから…。
(「ツナ、よく倒したな」)
(「…うん…、…ん? あれは…?」)
(「あれは前に話した妖怪と人間を無理矢理合体させた化け物だ。"自分達の領分だ"つって、菜也と凍夜達が相手してるぞ。」)
(「……すごい…アレが妖怪の…、圧倒的だ…」)
(「対妖怪用匣がなければ、藤組も余裕で勝てたらだろうな。…どうだ? ツナ。あんな強ぇのと同盟組んでると思うと心強いだろ。」)
(「…まぁ…敵を一掃してオレ達の出番がなくなりそうだよな…。つぅかオレはマフィアのボスなんかやらないって言ってるだろ!リボーン!」)
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