ボイコット


「よしっ そろったな。
リボーンの一番弟子であるオレが全体をしきる家庭教師をすることになった。よろしくな。」

「ちなみに今回オレはその上の役職"家庭教師の精"だからな。ディーノがへぼい時はオレが制裁を下すから安心しろ。」

「妖精になっちゃったよ!!」

『安心よりディーノさんに同情しかできない。』


修業休憩日が終わり、今日から始まる匣兵器の修業。ここに集まった全員に、ディーノさんは一人一人課題を出していった。

ツナは1人で、昨日暴走した匣を正しく開けること。
獄寺は、匣初心者の了平さんとランボの面倒をみること。
クロームは、匣×幻覚強化および格闘能力をビアンキさんとイーピンに手伝って貰ってアップすること。


「そして山本武、」

「うす! 待ってたぜディーノさん!
へへっ 何やんだ?」

「…お前はパスだ、待機。
つーかお前には手出せねぇんだ。お前に下手なこと教えればあいつにぶっ殺されるからな。」

「…? あいつ?」

「お前の才能の一番の理解者は本気だぜ。今回の修業で山本武、お前すげーことになるかもな。」


誰なんだろう…
皆が皆、そう不思議に思っていれば、となりから「げっ」という声。凍夜兄ちゃんだ。


「ディーノ…まさか、アイツここに来んの?」

「あぁ、来るぜ! お前にも会えるって楽しみにしてたぞ。」

「ぜってーオレ会わねぇ! お前、オレがここにいることバラすなよっ!?」

「ははっ 悪い! もう言ったわ!」

「凍え死ね。」

ピキピキピキィ

「うわあぁっ!? おいっ、やめろ!」

『凍夜兄ちゃん! 何ディーノさん凍らしてるの!』


ワァワァと騒ぎになりつつも、ディーノさんは最後の私の修業について指示を出す。
まず、妖怪の力を完璧に引き出せるようにすること。そして、匣兵器と死ぬ気の炎を使った戦い方を完璧にすることだ。


「勿論、修業をみるのは凍夜だ。」

「当たり前だ。」

「ちなみにツナ達はまだチョイスまでの期限があるが、菜也は奴良組の奴等の連絡待ちなんだろ? いつ連絡が来るか分からないぶん…最初から全力でやれよ。」

『…はいっ!』

「そんじゃ、移動するぜ菜也!」


そんなこんなで始まった修業…
各自修業に取り組み、顔をあわす時と言えば休憩時間の時くらいだ。
そして今…
昨日のモヤモヤが遂に爆発した。


「ハル達にも、ミルフィオーレやビャクラン、ボックスなど、今起きていることをちゃんと説明してください。」

「私達も一緒に戦いたいの!」


京子ちゃんとハルちゃんが、教えてくれとツナに言い寄ったのだ。しかし、ツナ達も教える気がないようで…「もうすぐ終わるから信じて待っててくれ」と返している。

まぁね。どっちの気持ちも分かる。

既に巻き込まれているのにも関わらず、未だ仲間外れの除け者にされている二人。一方、恐ろしい現実を見せたくなくて、何事もなかったようにしたいツナ達。


「分かりました。では私達もそれなりの措置をとらせていただきます。ツナさん達が真実を話してくれるまで、ハル達は家事をしませんし…」

「共同生活をボイコットします!!」

「え!? えええーー!??」

『……』


ボイコットをすると言う二人に…
クローム、イーピン、ビアンキさん、そして、女装したフゥ太、ジャンニーニ、リボーンも味方した。
…あれ? 女性陣そっちなの?


「ぬ、奴良〜…」

「菜也と凍夜も勿論こっちだろ?」

「…オレは菜也に合わせる。」

『えぇ〜…』


お前はこっちだよな? …と、まるですがり付くような目を向けてくるツナ。そして、銃を構えてコッチに来いと無言で言ってくるリボーン。

まぁ…ここでの問題はアレですよね。


『私は京子ちゃん達の意見もよく分かるし、かといってツナ達の気持ちも分からんでもない。だから、敢えて中間をとらせていただきます。
もちろん!
中間という立場なので、自分の身の回りのことはちゃんと自分でやるよ。
…これならいいでしょ?』

「…仕方ねぇな。」


ここでのポイントは、ツナ達のために家事をやらないことだ。京子ちゃん達がボイコットして家事をやらなくなったとしても、ここで私がツナ達のために料理や洗濯をこなしてしまえば、彼女達の立つ瀬がない。「困らないし、放っておけばいいや」となって、ボイコットの意味がなくなってしまう。


『それじゃ、修業の続きと行こうか。』

「おぅ。」


私と凍夜のスタンスは名付けて、ゴーイングオンマイウェイだ。
そしてこれ以降…
料理洗濯を上手くできずにいる彼らを目の前でよく目撃することになりつつも、その手助けをしないという心苦しい状況に何度もあった。





(『できたよ、凍夜兄ちゃん』)
(「サンキュー」)

(「…ごくっ」)
(「…旨そうな臭いだな…」)
(「極限に腹が減ったぞぉ〜…」)
(「チッ…多目に作って少し寄越せよ…」)

(『…それはできないんだよ、悪いけど』)
(「オレたち見張られてっからさ…リボーンに。」)

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