まとめ


花開院家跡を探索した後、私達はアジトへ戻った。そしてミーティングを開いている今、議題は勿論、探索結果の事。


「まず分かったことは、陽炎の遺したこの手紙のこと。そして、最下層にあったデータだな。」

「データについてだが…中を調べたら全て実験結果についてだった。これはミルフィオーレの科学班がやってるみたいだ。予想通り、奴等は、妖怪の血を継がずとも妖怪の力を得る方法を人体実験で模索してる。」

「オレらは花開院家の屋敷の方を調べたが…やっぱり誰一人いなかったな。どこの部屋も荒らされたままだったから、きっと襲撃にあってからそのままにしてるんだと思うぜ。」

『そのことだけど、データの中に1つ報告書を見付けたよ。内容は花開院家襲撃成功について。どうやら、御門院家とミルフィオーレが共同して襲撃したみたい。そしてその後地下に実験地下室を作って、そこにミルフィオーレの科学班が住み始めたみたいよ。』


段取りよく進む報告会。
互いに分かったことを報告し、現状把握するのが目的だ。それと、何でもいいから敵の情報を掴むため。


「敵はどこに行ったと思う。」

『…柳田のところ、とか?』

「でもその柳田ってやつの居場所もわかんねぇんだよな?」

「あぁ…今奴良組で捜索してる。」

「…あれ? そういえば…奴良組の方は皆無事なんですか?」

「んー…うん、まぁ無事かな。奴良組にも直接襲撃があって直ぐに応戦したんだが…いかんせん、敵は対妖怪用匣を持っててな。分が悪いんで、表向き解散という名の逃亡。実際は、各自散らばって敵の情報を探っている。」

『リクおじさんとかは…?』

「親父とおふくろは一緒に、全国から妖怪と人間両方の血を持って戦える奴を探し回ってる。鯉伴とぬら爺は弱小妖怪の保護のため、コッソリと潜んでいる筈だぜ。」


凍夜兄ちゃんの話にひと安心。奴良組も壊滅したとかだったら本当にどうしようかと思ってたよ。
それにしても…妖怪と人間、両方の血を持つ者ってそんなに沢山いるのかな。確かに、生粋の妖怪に比べれば、私達は対妖怪用匣に抗えるけど…


『お母さんと陽炎でさえ駄目だったのに…大丈夫なのかな…』

「確かに、叔母さんも陽炎も、そしてこの時代のお前もいた。そしてそれでも敗れた。
だが…それは、対妖怪匣の存在を知らなかったからだ。知らなかったうえに、生粋の妖怪である他の皆は次々とやられてしまった。
…それに…仲間想いな藤組だ。
もしかしたらお前達3人は、畏れを失っていく仲間を人質に取られていた可能性もある。」


凍夜兄ちゃんの話に成る程と納得したところで、リボーンがまとめに入っていった。

まず1つ、
敵がどこにいるかという情報については、奴良組の皆の連絡を待つこと。

そして2つ目、
(皆から遅れているらしい)私は今日から修業を始めること。

そして3つ目はー


「お前達はこれからバイクの練習だぞ。そんで明日から修業再開だ。」

「げっ…」

『運転免許ないのにバイクとか、これはもう立派な悪行ですなぁ。』

「ハッ オレ達には10年後の免許があるんだよ。」

「奴良はバイクの練習しなくていいのか?」

「菜也は8分の1とは言え妖怪の血を継いでるからな…その気になればバイクと並走できんじゃね?」

『うっそだぁ〜』

「本当だって。親父もおふくろも、それにイタクさんだって新幹線と並走したんだぜ?」

「「「「『新幹線とぉっ!??』」」」」


吃驚だ。
本気になればそんなこともできるのか…。
"妖怪…奥深いぜ…!"だなんて呟いてる怪しげな獄寺は見なかったことにして、取り敢えずこの場は解散。ツナ達はバイクの練習をしに行き、私は凍夜兄ちゃんと修業に入った。


そしてその夜、
了平さんとバジル君、私の歓迎会が行われた。
どうやら1番最後にこの時代に来たのは私みたいだけど、2人もわりと遅くツナ達と合流したらしい。

その時の京子ちゃんとハルちゃんの様子は少しおかしくて…


「ねぇ菜也ちゃん…」

「ツナさん達は一体何を隠してるんでしょうか…」

『…隠してるって…、
…あぁ…それはまぁ、なんというか…』


真剣な顔でそう聞かれては、適当にはぐらかすこともできない。かと言って、マフィアのことはツナに口止めされてるから教えられない。


『…妖怪任侠の世界で色々とあっててね…。例えば妖怪退治に陰陽師が攻めてきたり、他のヤクザの妖怪が襲ってきたりとか…? それに捲き込まれてるみたいな…
…私が教えられるのはここまでかなぁ。』


どうせ私の正体は知ってるんだ。このくらいまでは別に言っても許されるだろう。でも、それ以上の追及は避けるため、そろっと席を外した。

これはそのうち一悶着ありそうだ。






「…へぇ…それでお前、リボーンやラルとばかりつるんでたんだ。」

『リボーンだったら何とか上手く誤魔化してくれそうだし、ラルにはそもそもあの2人もあまり近寄らないじゃない?』

「確かにな。…隙あり!」

『ぅあっ!』


痛い、マジ痛い。あと冷たい。
凍夜兄ちゃんは氷で作った鉾や刀で、私は長刀で戦う練習。死ぬ気の炎を武器に宿しながら戦うという初挑戦で、なかなかに難しい。


『げっ、しかも見えないし…手が痺れるし。』

「夕闇の炎だからな。」

ドオオォォン

『…なんかスゴい音したけど、何したの?』

「オレじゃないオレじゃない、どうせツナ達だろ。敵襲でもなさそうだし。」


修業中断、向かうは音のしたところへ。
凍夜兄ちゃんに連れられながら着いたところには、大きな穴が空いた部屋。穴が開くってどれだけ激しい運動したんだ。


「壁は壊れてるし、床はビジョビジョだし…どうしたんだ?」

「来るのが遅ぇよ。10代目の匣兵器が暴走したんだ。」

『暴走とかすんの?』


ツナの匣兵器は動物の形をしておらず、それどころかツナを殺しにかかったらしい。そんなこともあるのかと内心驚いていれば、後ろからパカパカという音と共に第三者の声が聞こえた。
見れば、白馬に乗った王子様。
なにイタイこと言ってんだって思うでしょ?
でも本当にイケメン爽やか系男が白馬に乗って現れたんだよ。


「元気にしてたか? 弟分」

「ディーノさん!!」

「すげー…馬乗ってるぜ」

「オレンジの炎…大空の炎か」

『…10年後のディーノさんもクソイケメンやないかい』

「横見てみ? もっとイケメンな顔があるぜ。」

『わー本当だー(棒)』


わぁ、横から冷風が来る〜寒〜い。
ちなみにディーノさんは10年経っても、へなちゃこ体質のままだった。部下がいる前ではキリッとしてるのに、部下がいないと相変わらず駄目な体質。しかも未だに本人はその自覚なし。


「おっ 菜也じゃねぇか! 元気か?」

『は、はいっ!
ディーノさん見て元気になりました♪』

「ははっ 嬉しいこと言ってくれる! 可愛い妹分にまた会えて嬉しいよ。」

『そんな可愛いだなんて…!
ちょ、凍夜兄ちゃん痛い。肘で頭グリグリしないで。』

「おいおい凍夜…相変わらずだな。あんまり苛めると嫌われるぞ?」

「うっさい似非金髪へなちょこ王子。オレの妹に触るな、へなちょこ菌が伝染る。」

「ひ、酷ぇ!! お前オレに恨みでもあんの!?」


ディーノさんの登場で一気に盛り上がる場。
彼はどうやら皆の修業をサポートするために来たらしい…と言っても、彼自身は雲雀さんを相手に修業するらしいけれど。
ディーノさんと雲雀さん…どっちが強いのかな。


「それじゃ、明日になったら指示出すからな!
今日はゆっくり休めよ。」


そう言って、ディーノさんは匣の中へ白馬を戻した。あれも匣兵器をだったんだなぁと思いつつ、お休みを言って自分の部屋へ。

明日も凍夜兄ちゃんと戦って戦闘慣れだ。

筋肉痛のためか…微妙に痛む脚や腕に湿布を貼り、私は眠りへと落ちた。

- 90 -


[*前] | [次#]

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -