この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ お便り2

【パパは、娘さんが組員の誰かと付き合うことになったらどうしますか。】

「…何だこの質問は。」

「父さん…」

『紙…破けてるよ』

「鯉菜…お前、誰かと付き合ってんのか!?どいつだ!」

『あばばばばば……!!』

「ね、姉ちゃん!?大丈夫!?
父さん落ち着いて!!このままだと姉ちゃんの首折れるから!!ていうか肩揺らしすぎて姉ちゃん顔面蒼白だから!!…吐かないでね!?」

『…あ、ありがとう…リクオ。もう少しでゲロ噴射祭りが開かれるところだったよ…。
つぅかお父さん…これ、もしもの話だから。付き合ってないから。付き合ったらどうするかっていう万が一の話だから。だから落ち着いてお答えください。』

「…そう、だな。
まぁ…うちの組なら良い奴が多いしな、少しは安心できる…かも、しれねぇ。それに鯉菜が選んだやつなら大丈夫だろう…多分。」

『多分ですか。』

「安心しろ。ちゃんとオレが確認してやるよ。お前さんに相応しいやつかどうかとか…相手がお前さんをちゃんと一番に考えてっかどうか、とかな。」

『…感動すべきところなんだろうけど…何だろう、この気持ち。』

「何でぃ。子離れした感じがして淋しいのかい?」

『いや、そうじゃない。
お父さんが確認したら、私誰とも一生結婚できない気がする。』

「奇遇だね…ボクもちょうど今同じことを考えてた。」

「…お前ら2人して失礼だな。
オレぁおまえさんたちの幸せを一番に考えてんだぜ?でも世の中にゃぁ平気で人を騙すヤツがいるだろう。
だから、そういうことをしない奴かどうか…オレぁ勿論、若菜や親父、奴良組の皆で見極めてやるって言ってんだよ。」

『「……お父さん…」』

「な、何だよ…何で2人して涙ぐんでるんだ」

『だって…お父さんが…!!』

「あの父さんが随分と大人になったなって…!!そんな事が父さんの口から出るなんて思いもしなかったから…っ」

『奴良組No.1過保護で親馬鹿で超絶面倒くさいお父さんが…ついに子離れし始めたから…!!感動したよ…!』

「…おいこら…てめぇら…」

『皆ぁぁあ!!今日は宴よぉおおお!!!!』

「父さんが成長したことを…祝おう!!」

「…てめぇらそこに直れぇぇえええ!!!!!」




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