この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 虫嫌い

時は真夏の昼。
1番1日の中で暑い時だ。

ミーンミーンと鳴るセミは風情がある・・・


『とでも言うと思ったか。うるさくて適わんわコンチクショー。』

「何の話だよ」


リクオと私、お父さんの3人で縁側に並ぶ。
傍にはスイカの残骸。そう・・・皆で仲良くスイカを食べたのだ。


『っ・・・うわぁっ!!』

「えっ!!?何なに!?」

「どうせ虫が来たんだろ?」


私の突然の慌てぶりに驚くリクオに対して、平然と言い当てるお父さん。


「姉ちゃんは虫恐がりすぎだよ。」


・・・なん・・・だと・・・?
リクオの言葉に私はかなり衝撃を受ける。
だって・・・!!


『私の虫嫌いが酷くなったのって・・・リクオのせいなんだけど!?』

「・・・えっ? 何でボクーーー!?」

『何でって・・・アンタ昔私に虫ぶっかけたじゃないの!!バケツいっぱいに虫を入れて!!木の上から引っくり返して、私にかけたじゃん!!』

「ええーーーーっ!?覚えてないよ!?」
こいつ・・・っ!!

「あったなぁ、ンな事。
あん時は大変だったんだぜ? 鯉菜の悲鳴が聴こえて駆け付けたら、虫まみれになっててなぁ・・・珍しく大泣きしてたよ。」

『そこまで説明しなくてもいいわよ。』

「虫払ってもなかなか泣き止まなくてなぁ?そのまま鯉菜はいじけちまうし・・・リクオはリクオでいじけた鯉菜に大泣きしちまうしよ。
本ッ当・・・大変だったわぁ〜・・・・・・」

『「ご・・・ごめん・・・」』


珍しく遠い目をして溜息をはくお父さんに、リクオと一緒に謝る。お父さんがこんな目をするの・・・そうないぞ。そんなに大変だったのか。


『まぁ、私の虫嫌いはリクオ君のせいで格段とレベルアップしたというわけよ。』


お分かり? と聞くと、ごめんと苦笑いしていうリクオ。別にもう怒ってないからいいけどね。





(『だから、部屋にGとか出た時は退治してね。』)
(「・・・そこは自分でやってよ」)




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