この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 大人になったね?

とある日の夜…


『あぁ…やっぱ梅茶サイコー。美味しい』
「ふふ、鯉菜は梅が本当好きね!」


居間でお茶会なぅ。お茶会と言ってもカフェ的なお洒落感は全くなく、むしろ渋いものですけどね。梅茶とおかきをいただいてるだけなんですけどね。


『…何だか騒がしいね。リクオがお風呂からあがったのかな。』

「本当ねぇ…段々こちらに足音が近付いてるわ。リクオはいつも元気ね!!」


のほほんとお母さんと梅茶を啜りながら、おかきをつまむ。


「おねーちゃーーーーん!!!!」

「リクオ様ーーーーー!!!!??」


今度は何してるんだろうか。ドドド・・・という足音が近づくにつれ、私の期待は大きくなる。
今日は何をしてねーちゃんを笑わせてくれるんだ!?


「おねーちゃん! 見て!!」


バーンと襖を開けて現れたリクオは何故か全裸。いくらお風呂上りで体が温まってるとはいえ、風邪ひいちゃうぞ。


「ボクも皆みたいに毛ぇ生えた!!」

『…毛?』


リクオが指差す先を見れば…


『…ぶっ!!
アハハハハ!! はっや!! 成長早すぎでしょリクオっ…プハハハハ!!』

「あらあら…本当ねぇ、っふふふ!」


なんとビックリ。
黒のマジックで股間に毛を書いているではないか!!確かに皆は大人だから毛ぇ生えてるもんね!!


「…なに騒いで……っぶはっ!!
リクオ…オメェ、…くくくっ……!」


私とお母さんの笑い声を聞きつけたのだろう、お父さんが部屋に入ってくる。
が、一瞬でリクオの姿で瞬殺! これは誰だって笑うだろ!!


「あ、リクオ様! こんな所にいたー!!
もうっせっかくお風呂に入ったのに何してるんですか!? 洗いに行きますよ!?」

「ええー!! せっかく生えたのにー!!」


ぷーっと頬を膨らませてリクオ、全裸だけど可愛い。
この後お父さんに連れられ、渋々と再びリクオはお風呂場に向かうのだった。


ーーーーーーーーー


『…っていう可愛い思い出が…』

「わああああああ!!?? もうヤメテ!! 姉ちゃんヤメテ!?」


あれから何年経ったのだろうか。
顔を真っ赤にしつつ、耳を塞ぐリクオ。今ではもう成長して大きくなった…。


『いいじゃない。昔の話なんだし。』

「あれは可愛かったわね〜ふふふっ」

「ありゃ傑作だったな!
ククッ…今思い出しても笑えてくらぁ」


本日も4人で仲良く、梅茶とおかきをいただく。


『…そういえば、あんな事もあったなぁ』

「ちょっ!?もう話さくていいからぁぁぁ!!!?」



《あとがき》
この話、兄の幼少期の話を母から聞いた・・・実話です!(笑)
幼少期の兄よ・・・いいネタをありがとう(笑)




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