この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 海水浴

「おい、いい加減…服脱げ。」

『イ・ヤ』



どうも皆さんこんにちは。
初っ端から何セクハラ会話をしてるんだとお思いの方、失礼致しました。


『悪いのは全て横にいる半裸親父です。』

「半裸って…オレが変態みたいじゃねぇか。」

『変態じゃない。そんなエロい胸板して!!』

「お前のが変態だろ!!なに人の胸板を真っ赤な顔してチラ見してんだよ!!」 

「2人ともまだ騒いでんの?てか姉ちゃんも諦めて脱げばいいのに…暑そう。」

『暑いよ…めっちゃ暑いよ…
でも脱ぎたくても脱げないんだよ、あんなモン見せられた後じゃぁ…ねぇ…』


私の視線の先には毛倡妓。
しかし、いつものセクシーin着物な毛倡妓じゃなくて…


『なにあの爆乳。大きいだけじゃなくて美乳だし…スタイルいいし…なんの嫌がらせよ、クソぅ』


布の少ない水着をこれまたセクシーに着こなした毛倡妓だ。
そう、私達は今海水浴に来ているのだ。
 

『氷麗もお母さんもいない…来てる女はよりによってボンキュッボンな毛倡妓ただ一人…。』

「仕方ないよ。氷麗は海を北極にしてしまいそうって言うし…」

「若菜は今少し夏バテ気味だしなぁ…」

『分かってますぅー、分かってるけど…
何あの神乳!!隣に並んだら私の至ってノーマル乳が貧乳になってしまうじゃん!!むしろ絶壁になってしまうじゃん!?』

「「気にし過ぎだって…」」


パラソルの下にスタンバってる私とお父さん、リクオ。海には多くの人間に混じって、鴆、毛倡妓と首無、黒田坊や青田坊、河童、黒羽丸とトサカ丸、猩影、牛頭と馬頭、牛鬼…などなど人間に扮せる妖怪が各々で海を楽しんでいる。


『暑いなぁ…そして眩しいなぁー…』

「日光がすげぇな…」

「海に反射して…空も海も眩しいね」

『あぁ、確かに。そっちも眩しいね…でも鴆や牛鬼、猩影の胸板も眩しいよ〜』

「「そっちかよ!!」」


それにしても暑い…
一応下はビキニになっているものの、その上に半袖のロングパーカーを着ているため…くっそ暑い。


『暑い…暑過ぎる…萎えチン…』

「だから脱げばいいのに。」

「つぅかお前はチ〇コついてねぇだろ」

『任せとけ』

「「何を!?」」


パラソルの下でダラダラと親子3人で話していれば、


「あれ…鯉菜ちゃんじゃない?」

「本当だ!!鯉菜ッチじゃん!!」

「何でパーカー着てんのー?」

『…あはは…焼けたくなくて、つい…?(やべぇ、クラスで1番キャピキャピ女子軍団が来た…)』


現れたキャピ女子3人組に、私のテンションは一気に下落。
嫌いじゃない…皆いい子なんだけど、私にとっては元気過ぎてついていけないのだ。私の精神年齢もうババアだからね?相手はキャピ中学生だからね?
温度差激しいのも無理はない!!
そしてそんな温度差を無視してくるのもキャピ女子の強さであり…


「よおーっし!!
皆で鯉菜りんのパーカー脱がしちゃおー!!」

『…はっ…?』

「それー!脱げ脱げー!!」

『ちょっ…待っ…』

「ついでに日焼け止めも塗っちゃうよー!!」

『……冷たっ…』

「(あの鯉菜が…)」

「(振り回されている…凄い人達だ…)」


なんやかんやで結局水着姿にはなった私。そんな私を何故かカメラで撮るものが1人。


『…山ちゃんやい、何故今撮った?』

「え? だって鯉菜ポンの写真…高く売れるンだもん〜♪」

「しかも水着姿だもんね!これは高くつくよ!!」

『いやいやいや、本人の知らぬ所で何を売り買いしてるんだアンタらは!!』

「大丈夫!!悪用するような人じゃないから!!ちゃんとそこは人を選んで売ってるから!!」

『そうゆう問題じゃないからね!?』


そして嵐のように去っていくキャピ女子達。
アイツら…私になにか恨みであるのか? 嫌がらせしかしてないぞ。


『………日焼け止め…全然塗れてないじゃん』

「…背中にニコちゃんかかれてるよ。クリームで」

『……リクオ、背中塗ってくれない?』

「うん、いいよ」 

「じゃあ…そろそろお昼だし、オレぁ皆を呼んでくるぜ。」


横になり、リクオに日焼け止めクリームを背中に塗ってもらう。そしてしばらくすれば、ボール遊びやらスイカ割りをしていた皆がこちらにやって来た。


「「「んなっ…!!!??」」」

「あら♪ やっぱりその水着、お嬢にとても似合ってますね〜!!」

『そう? 選んでくれてありがとうね、毛倡妓』

「「「(毛倡妓…ナイス!!)」」」

『あ、リクオも日焼け止めありがとう!』

「どういたしまして。また塗って欲しくなったら言ってね!!」

『ありがとう♪』

「「「……ッ…(リクオ様が羨ましい…!!)」」」

『…なんか皆、ぎこちなくない? どしたの?』


リクオやお父さん、毛倡妓を除き、どこかソワソワしている皆にそう問えば「お嬢の水着姿に皆緊張しているんですよ♪」とニヤニヤと笑いながら代弁する毛倡妓。そして、その言葉に慌てふためく男性陣。


『…ふぅん…?
毛倡妓の方が胸デカくて美乳でエロいし…そんな事ないと思うけどなぁ…。あ、自分で言ってて悲しくなってきた。
やっぱ服着ようかな…(ボソッ)』

「「「着ちゃ駄目です!!」」」

『え? あっ…』


ボソっと呟いた私の言葉に、全員ではないものの殆どがそう返してくる。凄いハモリ具合だな。さらにパーカーを没収されマトリョーシカの如く何重にもしてバックの中に封印される。


『…まぁ…いいけどさ…』


帰る時、あの服取り出すの大変だなぁ…なんて思いながら皆でご飯を食べ始める。

この後
皆で仲良くご飯を食べ、かき氷をデザートとして頂き、スイカ割りをし、ビーチバレーなどをして夕方まで遊ぶこととなる。何故か四六時中ずっと誰かが私の傍に居たが…人間に紛れて暑い真夏の中、皆でワイワイと騒ぐのも悪くはない。

 


おまけ

ボディガード1
(「ねぇねぇ、お姉さん一緒に…」)
(「オレの娘に何か用かい?」)
(「姉ちゃん、スイカ割りの準備できたよ!」)
(『本当?じゃあ行こっか!』)

ボディガード2
(「なぁお姉さん、今からオレらと…」)
(「お嬢、今からかき氷を食べるそうですよ」)
(「買ってきますが、何味がいいですか?」)
(『青と黒だけじゃ大変でしょ、手伝うよ』)

ボディガード3
(「お姉さん、可愛…」)
(「お嬢に何か用ですか?」)
(「ひぃっ!!デカっ!!」)
(『…ん?猩影何してんの?ビーチバレー始まるよ』)

まだまだボディガードありますよ(笑)




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