この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ 惚れ薬-続き-(鯉伴side)

『綺麗な目…見ていたら吸い込まれそうだわ』

「………」

『クールに装ってても義理堅いところがまた魅力的ね…』

「…別に装っちゃいねぇが……」

『リクオは昼と夜じゃ随分と違う…』

「……そうだな」

『でも私は昼と夜…どっちも好きよ。昼は駆け引き上手でゾクゾクするし…夜は勇ましくてドキドキするわ』

「…………お…おぅ…」

『リクオは昼の私と夜の私…どっちが好き?』

「…どっちも同じだろ。」



べったりとリクオにくっ付き、妖艶に口説き続ける鯉菜。こいつは今惚れ薬の効果で、異性に惚れまくりな状態だ。(ただしイケメンに限る。…我ながら恐ろしい娘だ。)


『いやぁね。…全然違うわよ?』

「…なぁ、姉貴。一応女なんだから男にあんまくっつくなよ。」

『…どうして?』

「どうしてって………胸、当たってんだよ…。」


若干顔を赤らめて言うリクオ。鯉菜は今リクオに後ろから抱き着いている。あれじゃぁ確かに背中に当たるよな。
…まぁ、リクオなら許してやるか。


『当たってるんじゃなくて、当ててるんだけど?』

「姉貴ィィイイ!??」


なんと…確信だったかこの娘! 尚更恐ろしい…!
しかしこんな事を許さない者が1人…


「お、お嬢!! 若がお困りです!! 早く離れてください!!…若も何照れてるんですかー!?」


雪女の氷麗ちゃんだ。可愛いねぇ…よっぽどリクオが好きなんだろう、鯉菜に嫉妬してらぁ。
 

『クスッ…いいじゃない別にィー。リクオは氷麗のモンじゃないでしょ?』


リクオの首に腕をまわし、『ねー?』と首を傾げて同意を求める鯉菜。


「……。」

「何だんまりしてるんですかー!!早く離れなさーい!!!」


何だコレ…どこの昼ドラだよ。


『あ、そうだ…リクオ、
そろそろお風呂入ってきたら? 私が背中を流してあ・げ・る♪』

「リクオ様ーーーー!!!???」

「オレまだ何も言ってねぇだろ!?」

『返事なんかしなくても、Yesだもんねぇ?』

「何でだよ! オレに拒否権はねぇのか!」

『あら…姉とお風呂入りたくないの?』

「…何で一緒にオレがお風呂に入りたい前提!? いやいやいや、何をそんなに驚いてんだよ!! つぅか何そんなに爆笑してんだこのクソ親父!! アンタのせいだぞ!?」


飛んできた醤油をキャッチする。
おいこら、醤油を投げるなよ…溢れたら染みになるだろうが。それにしても、いやぁ…こんな面白い修羅場そうそうねぇだろ。鯉菜と氷麗に挟まれ、両者から責められるリクオが可哀想でかなり笑える。


『あっ、じゃあこうしましょう!
私と氷麗とリクオの3人でお風呂に入りに行こう。ねっ、それならいいでしょ? 氷麗』

「ふぇええ!? わ…わわわ若と…お風呂ぉぉお!?」 

『いや、私もいるから。勝手に除けないでくれるかしら。燃やすわよ。』

「はっ! そうでした…すみません!
じゃなくてっ、混浴はいけません!!駄目です!!いくら姉だとしても、リクオ様との混浴は許しませんよ!?」

『むっ…何でよ氷麗だって本当はリクオと一緒に風呂入りたいくせにー!!』


おいおい…何か本格的に喧嘩しだしたぞあの二人。


「…止めなくていいのかい? リクオ」

「いい。むしろ今のうちに風呂入ってくる。」


こっそり抜け出るリクオに問えば、そう返される。…オレは鯉菜の元へ向かうとするかねぇ。


「そんじゃオレは鯉菜に背中を流してもら…」

「親父は今からオレと一緒にお風呂だよなぁ?」
 

そんなオレを後ろから羽交い締めにしてくるのは勿論リクオ。


「…おーい。
口は笑ってんのに目は笑ってねぇぞ? リクオ」

「……何でだろうなぁ? その理由、
今からじっっっっくり教えてやるよ…!」

「ちょっ…え…何でだァァあああ!!!?」



この後…
お風呂場にて、二度と惚れ薬を鯉菜に飲ませるなとリクオにこってり絞られたのは言うまでもない。




(「親父のせいでとんだ迷惑だぜ…」)
(「悪かったって。そう怒るなよ」)
(「…頼むからもう二度と薬盛るなよ!!」)
(「あぁ。……………善処する。」)
(「…どうやらまだ懲りてねぇようだなぁクソ親父!!」)
(「あだだだっ…!!本当悪かったって!!」)




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