この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ ホワイトデー

「若菜と紀之っぺ、氷麗ちゃんへのお返しは買ったし…残るは鯉菜だな。」


3/14と言えば、ホワイトデー。
バレンタインデーに女性からチョコを貰ったお返しに、今度は男が女性にプレゼントをする日だ。
というわけで、オレは今お返しにあげるものを探している。


「あいつは何にしようかねぇ…」


せっかくプレゼントするなら、ワッと喜ばせる物にしたい。
あいつはまだ子供だし、やっぱ人形とかおもちゃがいいか?
それとも無難にお菓子にするか…。


「どうしようかねぇ〜………ん?」


どうしたものかと唸っていれば、ふと視界に入ったある物。


「……これよくねぇか?
つうか…これしかないだろっ!!」


ガバッとソレを掴めば、肌触りのいいソレ。鯉菜にあげたことを想像するだけで、オレの口元はにやけてしまう。

結局ソレを購入したオレは、にやけてしまう口元を必至に押さえながら帰路へと着いた。









「鯉菜いるか?」

『あ、お帰りお父さん!』

「お父さん、お帰りなさーい!」


帰宅後、居間へと向かえばポケモ○をテレビで見ている鯉菜とリクオを見つけた。まだ3歳のリクオは姉である鯉菜にべったりだ。


『どこ行ってたの?』

「ん? ちょっくら買い物にな…。
それより鯉菜、バレンタインのチョコありがとうな。これぁお返しだ、受け取ってくれるかぃ?」

『!!』


ひょいと買った物を鯉菜の目の前につき出せば、鯉菜は目をまん丸にして驚いた顔をした。そしてソレを恐る恐る受け取ったかと思いきや…


『何これ…!!
めちゃくちゃ可愛いっっ!!!!』

「ボクにも見せて見せてー!」


よかった。どうやら気に入ってくれたようだ。
満面の笑みでソレを見つめる鯉菜の様子に、オレはホッと胸をなで下ろした。

オレが買った物は、ふわふわのウサギのぬいぐるみ兼リュックだ。一見ただのウサギのぬいぐるみのように見えるが、その背中には物が入れられるようにチャックが着いており、ちゃんと背負うことができる。


『あれ…何か入ってる。』

「…あ、チョコだー!!
お姉ちゃん、一個頂戴!」

『いいよ、皆で食べよう!
てか普通に旨っ!!』


食べるの早っ!!
皆で食べようとか言いながら既にもう1個食べてやがるし…つぅかリクオももう食べてる。お前らはどれだけ食い意地はってるんだ。


『美味しい〜それにこれ可愛い〜♪
お父さん、ありがとう!』

「ハハッ、どういたしまして。」


ギュッとウサギのぬいぐるみを胸に抱く鯉菜…めっちゃ可愛い。ぬいぐるみよりも何千倍も可愛いだなんて考えるオレはきっと親バカなのかもしれない。いや、これは誰がどう見ても可愛いと思うだろう。


そして、それから数日が過ぎたが…



「あら、お買い物ですか?」

「えぇ、夕飯の買い出しに行ってくるわ!」

『私はお母さんのお手伝い〜』

「ふふ、お嬢は偉いですね!
2人とも、お気を付けていってらっしゃいませ!」



買い物の手伝いや散歩などの外出時、鯉菜の背中にはいつもうさぎのぬいぐるみの姿が見られるのだった。







ーーーーーーー
遅れましたがホワイトデー話です。
ホワイトデーの存在をすっかり忘れてました…。




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