この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ お便り83

【鯉菜さんは、痴漢されたことがありますか】

『あるよ』

「!? そうだったの!?」

『うん…ケツ触られたり、逆に汚ねぇブツを擦りつけられたり…』

「……電車で?」

『うん…でもさ、いざとなったら「この人痴漢です!!」なんて言えないんだよね…
だってさ、周りの人がそれで無反応だったらどうすればいいの?』

「…た、確かに…! でも…そこは何とかしないと…」

『してるよ
手ぇ振り払ったり、体よけたり、場所移動してるけど…それでも続ける人もいるし…
まっ、助かるのはまだ布の上からしてくる点かな!』

「こらっ! サラッと変な事言わない!!
ていうか…今はそうかもしれないけど、もしかしたらいつか…そのっ…ぬ、布の中まで触ってくる人がいるかもしれないよ?」

『…流石にそれはヤバイよね、本当。
その時はもう車両変える…か、電車を変えるわ』

「うん…そのくらいした方がいいよ。
………てゆうか青を隣に置いてたら大丈夫じゃないの?」

『いや、青って案外鈍いんだよね。
一回青と一緒にいるときに痴漢されたんだけど…青に何回も目で合図したんだけど全く気付いてくれなかった…』

「………青のやつ…」

『逆に感がいいのは牛頭だね』

「…へ? 牛頭?」

『牛頭と馬頭が護衛してくれたある日…痴漢されてたら牛頭がいち早く気付いてくれて、助けてくれたんだー
あん時はもう…惚れるかと思ったわ
助けてくれた後に「オメェ…嫌って言えねぇのかよ、小心者」ってイラついた顔で言わなかったら…多分惚れてたね』

「………牛頭っぽいっちゃあ…ぽいね」

『でしょ?』




prev / next

[ back to top ]


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -