▽ M生徒続出（リクオside）
四国のヤツらとの戦いが終え、平穏に学校に通っていたある日ー
「あれ…姉ちゃんだ。」
昼休みになり、屋上へとお昼ご飯を食べに行こうとすれば、前方に姉を発見した。
「…!?」
でもよく見たら数人のガラの悪い男子生徒に囲まれていた。上靴の色を見れば3年生だった…姉ちゃんの同級生だけど、何やら険悪な雰囲気だ。固唾を飲みながら、陰に隠れて見守る。もしアイツらが何かしようとしたら…僕がでないと…!!
「おい奴良〜、オメェ1年の〈良い奴〉って噂の姉なんだよな〜?」
僕のことだ…! 自分の事が話題に出て少しドキッとする。まさか妖怪なのがバレた!?
「パシリを自らやってくれるんだってな〜」
「てことはよぉ…お姉様であるお前も…パシられたいんじゃねぇのー?」
「オレら今お腹空いてんだけどぉ…風邪入ったみたいでダリーんだよなぁ」
「だから〈良い奴〉の奴良さんよぉ…代わりに購買に行って来てくんねぇか? ギャハハ」
5人の不良生徒に囲まれ、お昼を買ってこいと言われる姉ちゃん。僕のせいで…姉ちゃんがこんな目に遭ってたなんて…。罪悪感に駆られながらも、姉ちゃんがどうするのか隠れて見守る。すると…今まで黙って下を向いてた姉ちゃんが口を開いた。
『ﾊｯ…〈良い奴〉ねぇ…。
そうよ。奴良家は皆〈良い奴〉なの。』
ニヤッとして顔をあげた姉ちゃんの顔を見て、冷や汗が出る。あれは…何かしでかす気だ!!
『でも私の考える〈良い奴〉と、弟が考える〈良い奴〉の定義は違っててねぇ…。弟は相手を喜ばすために何でもするけど、私は…相手の事を思って、相手の為になることをするのよ。』
そう言って、自分より背の高いリーダーであろう不良生徒の胸ぐらを掴む。
「ぐあっ…!?」
勢い良く胸ぐらを引っ張られ、次いで足を引っ掛けられてひっくり返るリーダー(仮)。トドメに姉ちゃんは番傘を相手の喉元に突きつける。
『風邪くらいでお昼ご飯も買えないなんて…そんなんじゃ大きくなってから社会に通用しないわよ? …とっとと自分で昼メシ買ってきな、ドカスが!! ついでに私は杏仁豆腐が食べたいな(ﾎﾞｿｯ)』
｢｢｢｢｢は…はいぃぃ!!｣｣｣｣｣
ドタバタと姉ちゃんの元から走って去っていく不良達に苦笑いする。姉ちゃんをパシるなんて…そんなことできる人この世にいるのだろうか。
…つうか最後姉ちゃん何か頼んでなかった?
「姉ちゃん!」
『あら、リクオ。お昼ご飯?』
「うん!今日はつららが弁当を持ってきてくれてるから」
『…つららか。凍ってないといいな。』
「ハハハ…美味しいけどね…」
2人で苦笑いしながら屋上へと向かい、つららと青と共に4人でご飯を食べる。そして、もう少しで食べ終わるところでドタバタと校内から騒がしい音がする。
「…こっちに来てない?」
『………来てるね。』
段々と音と振動がでかくなり、ついにバンと屋上のドアが開く。入ってきたのはさっきの5人の不良品等達だ。
「お待たせしやしたぁあ!!」
「杏仁豆腐なかったんで、ゼリー買ってきました!!」
「新発売のパンもあったんで、それも買ってたっス!!」
ええええええーーーー!??
これむしろ…姉ちゃんが完璧にパシッてるよね!?なのに何でそんなすっごいキラキラした顔で帰ってきてんの!?
『…ありがとう! ありがたく頂戴するわ。
じゃあ、次の授業、私移動教室だから先戻るね。』
そう言って屋上を去る姉ちゃん。
一方、
「っくぅ〜! 噂通りだな!!」
「あの時のオレ達を見下す目ぇ見たか!?」
「良いなぁ! オメェなんか転ばされてたじゃんか!! 胸ぐらまで掴まれやがって…羨ましいぜ!!」
「シビレたわぁ〜!!」
「今度は他校のフリして喧嘩ふっかけようぜ!!」
…なにこれ。何この人たち…コワッ!!
もしかして…これが姉ちゃんの噂の元!?
〈何人もの男子生徒をSMプレイでパシる先輩〉って…コレ!?このこと！？
「あ、あの〜…」
ワイワイと盛り上がっている5人に恐る恐る声をかける。
「姉がなんか…すみません。君たちにお昼ご飯買わせたみたいで…」
申し訳なさそうに謝れば、5人の先輩達は互いに顔を見合わせて急に笑い出す。
「お前が奴良さんの弟か!」
「悪いな、驚かせて! 別に奴良さんをパシろうなんて思ってねぇよ」
「ただ、1回奴良さんをパシろうとした奴がいて、そいつが返り討ちにあったらしいんだが…」
「何か逆にそれがクセになったとか言うからよぉ…オレ達もやってみたんだよ。」
「確かにこれはクセになるな…お前イイなぁ! あんな姉がいて!!」
最近これが流行ってんだぜ〜という先輩達にめまいがする。
なんてこった…姉ちゃんのせいで、どんどんＭに目覚める男子生徒が増えていく!!
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
ずっと書こうと思ってて忘れてた、噂の真相を書けてスッキリ(´▽｀)
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