この手に掴んだ幸せを(短編) | ナノ

▽ お便り21

【鯉菜さん、“彼シャツ”ならぬ“父着物”やってください。鯉伴さんは一応カメラを持っていてください(笑)】

『……おおっ!これは何といいお便りだ!!』

「あれ…てっきり嫌がると思ったのに。意外だね。」

『え? 嫌じゃないよ、むしろ嬉しいよ、萌えるよ。』

「…姉ちゃんの萌え基準よく分かんないよ!」

「なぁに騒いでんだぃ?お前ぇさんら。」

『お父さん、脱げ。』

「!?」

「姉ちゃん!? ド直球過ぎだよ!!」

『いいからお父さんの着物貸してよ。』

「談話室の依頼なんだよ、だからその服貸してあげて」

「いいけど、どんな依頼なんだよ。」

「姉ちゃんが父さんの着物着るって依頼。」

「…? 着てどうすんだよ。まぁ、いい、ほれ。」

『………サンキュ。
にしてもいい胸板してますなぁ〜(ニヤニヤ)』

「だろ♪なんなら触ってもいいぜ?」

『あら、いいの?じゃぶふっ!!』

「アイタッ!!」

「姉ちゃんは早く着替えてきて。それと父さんは今のうちにカメラ用意してきて!」

『ちぇーっ』

「…何でカメラ?」

「念のためだって。」

「ふーん? じゃあ取ってくらぁ。」


10分後


『…やっぱお父さんって背ぇ高いよね!ブカブカだよ〜!!』

「「!!!!」」

『あっ…お父さんの匂いがするぅー』

「(何て破壊力なんだ…!!)」

「(くっ…ボクも大きくなったら彼シャツして欲しい!!)」

『凄く丈が長〜い♪ もはや布団みたい!』

「「(そうか…これが萌えか…!!!!)」」

『……さっきから2人ともどした?フリーズしてるよ』

「はっ!!と、父さん…!!」

「……はっ!? し、しまった!!カメラ!!」

パシャシャシャシャシャ…

『えっ。まさかの連写!?怖っ!!』

パシャシャシャシャシャ…

「姉ちゃん!!」

『なに?』

「両手をグーにして擦って!!」

『? …………こう?』

「そう! そんな風にして、擦って嗅いだら一瞬いい匂いがするんだよ!!」

『!? マジで!?やってみる!!』

「リクオ…!?(ボソッ)」

「父さん、連写用意…!!(ボソッ)」

『コシコシ……クンクン……』

「(これは…っ!!)」

「(やった…!!ぶりっ子ポーズ成功…!!)」

パシャシャシャシャシャ…

『……? なんも匂いしないよ?』

「あっれー? おかしいな…もしかしてアレ迷信だったのかも!!」

「(やべぇ…癒しの写真ができた…!)」

『なぁんだ…そっかぁ。
まぁいいや! 着替えてくるね!!』




「…父さん」

「リクオ…ありがとな。良いのが撮れたぜ。」

「どういたしまして。
…言っとくけど、焼き増ししてね。」

「分かってらぁ。」




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