この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ 眠れません

「あなたが清継君ね!?」


目的地に着いたと思いきや…いきなりそう言ってきたのは元気な女の子。この子が菅沼品子ちゃんか。
でも残念ながらそれは清継ではなく、私の愛しの弟だぜ!!


「大丈夫かしら。メガネはメガネでも頼りなさそうなメガネ男子って感じだけど?」

『いや、こっち。』

「え、こっちの天パの方?
あらあ…これはこれで…………不安。」

『アハハハハハハ!!』

「ちょ、笑い過ぎだぞ奴良姉!!
大体、天パのどこに問題あるんだ!?」

『アハハハ! 違うって! 天パが問題なんじゃなくて、アンタが問題なんだよ! あはは!! 君、見る目すごくあるねー!!…ふふッ』

「…姉ちゃんがこんなに笑ってるの…久しぶりに見た。」

「え、えぇ…。私もです…。」


やばい、超おなか痛い。こんなに笑ったの久しぶりだ。横でリクオと氷麗が言っているが…そんな事は今はどうでもいい。誰か私の笑いを止めてくれ! このままじゃ窒息死する!!
取り敢えず…
なんやかんやで互いの自己紹介を終え、部屋にあがる私達。そして部屋に入れば、部屋中に貼り巡らされた札が目に入る。


『…すごい数の札だね。これでも効かないの?』

「えぇ。毎日お祓いにも来てもらっているのに、毎日出るんです。」


そう答える品子ちゃんに、少しおびえだす皆。
怯えて騒ぎ出す皆をよそに…私はリクオの腕を突っつき声を掛ける。


『…だってよ、リクオ。』

「え?」

『お祓いしても効果なし。理由は二つ考えられるわ。ただのお祓いの力が弱いせいか…もしくは、』

「…もしくは?」

『………やっぱ私、人間の方が嫌いだな(ボソッ)』

「姉ちゃん…? それ…どういう…」

「こちらです。」


リクオの言葉は品子ちゃんに遮られる。
そしてそのまま案内されるがまま着いていけば、神主さんと品子ちゃんのお母さんに会った。今まで何も被害にあってなかったのに、今回は腕を掴まれたと言う品子ちゃんに皆の顔が更に恐怖に染まる。


「もう次は何されるかわかんない。…私、怖いんです。お願い…私を邪魅から守って!!」







夜になりー
女子は品子ちゃん含め全員同室で寝ることになり、男子は部屋の周りを警備することとなった。
にしても…この部屋ホラーだな。
そんな事を思いながら、電気を消して皆で寝る体制に入る。
…てか皆寝てね? 寝息聞こえるぞ。


『……皆寝るの早いな。』

「お姉さんも…寝られないんですか?」


ひとり言に返事が返ってきて、少し心臓が跳ねる。


『…基本、自分家以外は寝つきが悪いのよ。そうゆうカナちゃんは…怖くて寝れないとか?』


ニヤッとして言えば、意地悪…とポソッと呟くカナちゃん。いやぁん、かーわーいーいー。


『ごめんごめん…でも、早く寝た方がいいわよ。明日も忙しくなりそうだし。目ぇ瞑ってたらそのうち眠りについてるわよ。』


ニコッと笑っておやすみを言う。邪魅が出るから早く寝た方がいいよと心の中でアドバイスをし、私は目を閉じた。まぁ、そんな事言っても寝られない時は寝られないよね。

そして暫らくしてー

うつらうつらとしていれば、何かの気配を感じる。目を開けて隣にいるカナちゃんを見れば、目に涙を溜めて怯えていた。
あぁ…邪魅がでたのか。
一応鉄扇は枕の下に隠してある。向こうが攻撃してくるようならば、こちらも応戦しよう。
そう思い、念のため鉄扇に手をやる。
…だが、


「どこだああああああ妖怪いいいいいい!!」

「ひゃああああああああ!!!!」


…うん、その必要はなさそうだ。ドタバタと入ってくる清継と島。あまりの煩さに寝ていた女子が起き始める。


「暗くてわからん」


そう言って電気をつけたのは巻ちゃん。


『……皆がいる所で夜這いは駄目でしょ〜』


その巻ちゃんの豊富な胸には島が挟まっており、一方の清継は鳥居を押し倒している。もちろん、本来なら清継と島には弁明の余地がないが…幸いなことにカナちゃんに助けられる。


「違うの…皆、おばけが…
おばけがいたのよおお!!」





(『(つらら・・・まだ寝てる)』)
(「すー すー」)
(『私も寝よう・・・』)




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