玉章とリクオの戦いが…ついに始まる時が来た。


「リクオくん、やはり僕らは似ているね。
お互いの〈おそれ〉をぶつけようじゃないか…百鬼夜行大戦の…始まりだ。」


着物の袖を締めたり、足袋の紐をキツくしたり、各自戦う準備をする。


『こういう準備って、出入り前にするもんだと思ってた…』

「…まぁ、その時々だな。」


準備をして空気が張り詰める中、ほのぼのしているのが二人いるのは気のせいだということにしていて欲しい。
そして両者とも動かず、「どちらが先に動くか…」と呟くカラス天狗。
え? これそういうのなの? 早くわぁーとやっちゃえよ! でもこんな大道路でやらなくてもいいんでない?って私は思いました、あれ、感想文だよコレ。


『お、やっと動いた…。』

「え、若…!?」

「何で若が先陣を…!?」


大将が先陣を切ったことに戸惑う奴良組と、しめしめと馬鹿にしてくる四国の奴ら。


『大将が先陣を切るのってそんなに変なの?
普通かと思ってた。』

「…する奴もいるが、普通はあんましねぇな。」

『お父さんは?』

「そん時の気分次第。」


皆がわぁわぁ戦い出してる中、全く動かない私とお父さん。何で動かないんだこの人。


「…おめぇ、何で動かないんだ? 怖いのか?」


一緒のこと考えてたーー! これがシンクロ!?


『いや、忘れ物したことに気付いたんだよね』

「忘れ物? ……刀はあるし、鉄扇と銃か?」

『うんにゃ。それはある。』

「じゃあなんだい。」


はよ言えやと急かすお父さん。せっかちだなぁ。


『犬神。』

「…散々あんな事言っといて忘れたのか。」


言うなよそれを! ガラスのハートなんだから!!


「うぉぉおおおお!!!!」


犬神を取りに戻るか後回しにするか悩んでいれば、こっちに襲いかかる敵がきた。
……っくしょー。


『…何でアイツ来なかったんだよおお!!』


叫びながらズバズバと次々に斬る私は、誰がどう見ても八つ当たりにしか見えない。


「そのうち来るんじゃね?
出入りがあってることは知ってるだろーし。」


そしてお父さんも私に続き、雑魚敵を斬る。


『お父さん?
気のせいかな…私の後ついて来てない?』

「だってパパだもん♪」

『もん♪ じゃねーよ♪』


あ、今向こうの方で火柱があがった。今頃リクオによって焼き鳥が完成したんだろーなー。
って、あれ…つらら遠くね?
リクオとめっちゃ離れてるじゃんか…これが原作通りなのかどうか分かんないけど、


『間に合わなかったらマズイな…仕方ない。』

「鯉菜?」

『鯉菜ちゃん、行っきまーす。
明鏡止水〈桜火龍〉!! つららを導け。』


盃から２匹の龍が出て、つららの元に向かう。


「なっ!! 火の妖怪!?」

『えっ、ちょっ、』


うそーん。つららに勘違いされて凍らされそうになっとるやん2匹とも。やめてー。


「!? 待て雪女、あれは鯉菜様のだ!!」

「……え!? これ2匹とも!?」


サンキュー首無、気づいてくれて助かったよ。
つららの行く手を邪魔するものを次々と焼き尽くしていく２匹の火龍。


「…っリクオ!!」


お父さんの叫び声にリクオを見れば、あの刀に刺されている姿があった。近くに夜雀がいることから、きっと目が見えなくなったところを玉章に刺されたのだろう。夜雀の羽根は視力を奪うから…。


『……ッ!!』


遠くにいるリクオ達を見ていれば、突如寒気に襲われる私。違和感を感じて横を見れば、玉章を睨みつけているお父さんがいた。あんなに怒った顔…見たことがない。ピリピリと痛いのは殺気のせいだろうか。


『…間に合え……つららっ!』


熱ぃぃと言いながらも、火龍の作る道を歩んでくれる雪女に感謝する。もう少しだ、もう少しでつららがリクオの元へ行く。
一方、
遠くにいるため何と言っているか聞こえないが…会話をした後、ボロ刀をリクオに振り下ろそうとしている玉章。だが、それはリクオに届くことはなかった。


『……良かったァ!』


つららが間に入り、玉章の刀を氷の矛で受けたからだ。凄いな…相手の刀まで凍らしたよ。これでもうリクオは大丈夫だ。
……にしても……


『前回どーやって止めたっけ。』


火龍の消し方が分からん。
雪女を案内し終わって、どうすればいいのか分かんない。さっきからぐるぐる同じ場所を回ってるよ。


「…よく考えたな。その技。」


（意識が）帰ってきたお父さんはホ〜と感心して火龍を見ている。


『ま、中学からずっと隠れ厨二病やってますからね。』


しかも前世の中学からだ。どやぁ。


「ふーん……?」


厨二病が良く分からないのか、適当に流すお父さんは…｢んで、止め方が分かんないのか?｣と聞いてくる。よく分かってるじゃないか。


「お前がもういらねぇって思えば消えるんじゃねーの？」

『あ、そんなもん? …ホントだ、消えた。』


火龍を消し、辺りを見渡す。おや、あれは青田坊じゃないか。手洗い鬼を空にぶっ飛ばしている。


『わーっ、ナスカの地上絵だー!!』


地上に落ちた手洗い鬼は道路に見事な芸術作品を作ってくれた。勿論、スマホで写真を取ることを忘れない。


「鯉菜様…何やってんですかい」

『青田坊、見てたわよ。やっぱ力持ちで凄いわね。頼りにしてるわ。』


ニコっと笑顔で言えば、元気１００倍アンパ…じゃなくて青田坊。精を出して尚更暴れまくる青を見送り、またもや辺りをキョロキョロする私。　


『……針女もついでに助けとくかー。』


確か…玉章が仲間を殺し始めた時、針女も殺された筈だ。犬神となんか仲良さそうだし、案外良い奴っぽいから助けよう。
そう思い、辺りを見回しながら針女を探す。
するとー


「玉章様…!! おやめください!!」


見つけた…! 声のする方を見れば、仲間を裏切り殺している玉章に、勇敢にも立ち向かっている針女がいた。だが、今の玉章に何を言っても無駄だ。
現に、玉章は今…針女に向かって刀を振り下ろそうとしている。


「仲間になにをな…」

『っぶねぇ…!! さっさと逃げろ!!』


玉章と針女の間に入り、玉章の持つ変形した気色悪い刀を受け止める。
ちなみに針女は邪魔だったので蹴り飛ばしちゃいました…後で謝っておくか。


『くっ…! 本当、憎たらしい刀……っ』

「奴良鯉菜…君は殺さないでおいてあげるよ。治癒の力を持つからね…特別にボクの後ろに立たせてあげよう。」

『はっ! そんなの…願い下げだねぇ!!』


刀で玉章の攻撃を弾き、懐から銃を取り出す。


『…練習台になってもらうよ!!』


妖力を込めて撃つ。
だが、近くに居た妖怪を盾にして避けられた。


「ギャァアアアアア」

『うぁ…っ!?』


小型の銃にも関わらず反動が強い。しかも…妖力か畏か…ゴッソリと何かが抜き取られたような気分だ。ちなみに、ぬらりひょんが炎を扱うからか…敵は燃えている。


「ふん…大人しくしていればいいものを。
殺しはしないが、大人しく寝ていろ!」


そう言って再び刀を振り下ろす玉章だが、それは私に当たることはなかった。


『首無! 毛倡妓! ……ありがとう!!』


首無が私を紐で玉章から遠ざけてくれたのだ。しかも毛倡妓は髪の毛で針女も避難させてくれていた。本当、良いコンビだ。


「大丈夫かい? 鯉菜……」


駆け寄ってきたお父さんに、大丈夫だと頷く。


『むしろ……ここからが、正念場だよ。』




（『牛頭の話だと･･･あれは蟲術の刀』）
（「斬れば斬る程、力を増す刀･･･か。」）
（『リクオ･･･大丈夫かな』）



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