この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ 腕組み

電気も付けず、薄暗い部屋の中で円になって座る。リクオ、お父さん、牛鬼、木魚達磨、カラス天狗、そして私で話し合いだ。


「内にあっては反勢力、外にあっては他の百鬼夜行の侵攻。内憂外患とはこのことですなぁ」


腕を組み、そう言う木魚達磨。


「無策のようにふるまい、見方にも手の内を見せない。そんなとこですかな、リクオ様の考えは」


同じく腕を組みながら言う牛鬼。
…何で皆腕組んでんの。儀式なの? それ暗黙のルール? 私も腕組もうかな。


「まさか内通者がいると?」

「そこまでは言ってないよ」


カラス天狗の言葉にそう返すリクオ。
はっきり言ってリクオの考えていることが分からない…。内通者がいるって思ってんじゃないのか?


「…鯉菜はどう思うんだい?」


お父さんに振られ、少し考える。
余計な事を言葉にすれば一気におとされる…ここにいるのはそういう面子だ。
間違いは、決して許されない。


『私は…内通者がいると思うよ。』

「なにゆえそう思うのですか?」

『敵は遠く地の離れた四国の奴ら。奴らは、奴良組を落とすために土地神を狙った。奴良組の畏の基盤を…何故やつらが知っている?』

「確かに…隠しているわけではないですが、おおっぴらにしているわけでもない。四国の奴らがそれを知っているのも、不自然ですなぁ。」

「なるほどな…誰かがその情報を漏らしたって訳かい。」

『仮にその内通者が本家にいるとする場合、リクオの判断は正しい。策がバレないのだからね。』

「今後の動きは…あの二人が帰って来次第ですな。」


内通者がいると予測はしても、それが誰なのかは一切手掛かりがない。これ以上は話し合いをしても無理だろう……
そう意味を込めて言った烏天狗の言葉に、話し合いを終えて解散する私達。 


「姉ちゃん」


部屋に戻ろうとすれば、リクオに呼び止められる。


『何?』

「姉ちゃんは…覚醒した時の記憶、あるの?」

『あるよ。』

「…いつからできたの?
皆は姉ちゃんがついに覚醒したって喜んでたけど…前からできてたんじゃないの?」


こりゃビックリ。リクオは鋭いな……。
てっきりリクオにはバレてないと思ってたのに、あまりの驚きで目から眼球がポロリって落ちそう!!


『どうしてそう思ったの?』

「…よく分からないけど、夜の姉ちゃん見てそう思った。姉ちゃんは…昼も夜も変わらないよね。」

「…確かにな。姿は変わるが、中はリクオみてぇに変わらねぇな。」


どうして、と目で訴えてくるリクオに何て説明しようかなぁと悩む。


「あっ、はぐらかさないでね。
あと、嘘つくのも無しね。」


ハッハッハ、先手必勝か〜!!
いやぁ…こりゃ手強い相手が生まれたもんだ。


『確かに私は夜の姿になれる。
でも、内は昼の私のままなの。』

「そんなことできるんだ…でも、どーして?」

『…夜の私が出たがらないから、としか言いようがないな。理由は私にも分からないんだけど。』


めんどくさいって言うけど、それだけじゃないと思うんだよね。


「そ…か。だからあんまり変わった気がしないんだ。でもどーして隠してたの? 覚醒できること。」


もう許してください。
これ以上の追求は辛い! だって理由なんて1つだよ!? 原作ではリクオが継ぐからだよ!? そんなこと言えるわけねーじゃん!!


『んー…リクオに継いで欲しかったからかな。
それ以上も以下もないね。てわけで私行くねぇ〜。リクオもあんま無茶しなさんなよ、顔色が悪い!』


逃げるだ!
チキンハートなオイラは逃げるダァ!! 姉ちゃんと私を後ろで呼ぶ声がするが無視だ!




(「姉ちゃんはどうして継ぎたくなかったの?」)
(「さぁな・・・昔っからその話になるとアイツははぐらかすからな。」)
(「何か・・・隠し事があるのかな。」)
(「・・・〈隠し事〉・・・ねぇ。」)




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