この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ お見舞い

『先生、昨日言ってた司会の件についてですが。』

「おう、結局どうするんだ?」


私は今坂本先生と話している。
内容は明日の生徒会立候補者演説の司会についてだ。


『やらせてください。』

「分かった。じゃあ司会はお前に頼むぜ?」


ニヤッと笑う坂本先生に、ふとお父さんの姿を思い出す。


「ん? どーした奴良。ボーっとして。」

『……ぁ、いや、先生と私の父が少し似てるなって思って。』

「何だったらお父さんって呼んでもいいぞ」

『お父さんって呼ばれたいなら早く結婚して子供産んだらどーです?
…あっ、すみません。彼女欲しくてもできないんですよね、そんなだから。』

「奴良お嬢様、今俺のHP残り10です。」

『まぁ、大変。私とした事が…ポーションもフェニックスの尾も持ってないわ。』

「ケアルお願いします。」

『MPは数学の時間で使い果たしました。自分を回復するのに。』

「おまっ、
どんだけ俺を殺したいんだよォォおおおお!!!」

『さようなら。私、先生の事直ぐに忘れます。』

「…俺お前に何かしたっけ?」


特に何も。これが私の愛情表現だ!!


『じゃ、私はそろそろ帰ります。先生、さようなら。また明日会えたらいいですね!』

「笑顔で怖いこと言わないでくれる!?」


坂本先生と別れて下駄箱に向かえば、リクオ達がいた。


『ごめん、待った?』

「ううん、そんなに待ってな…」

「お姉さん、遅いですよー!!」

「……ごめん、姉ちゃん。」

『気にしないで。何となく分かってたから。』


清継はアレだな。
必要以上に馬鹿正直だな。


「よし!全員揃ったことだし、鳥居くんのお見舞いに行こうではないか!!」


その言葉に、皆でいざ病院に向かう。
作りかけの千羽鶴を手に持ちながらー。






「やぁ、鳥居くん! 元気だろうね!?」

『何だその挨拶。』


普通、大丈夫? とかだろ。
ぞろぞろと皆で鳥居の病室に入る。鳥居は顔色も良く、元気そうだ。…むしろ巻ちゃんの方が死んでないか?めっちゃ魘されてるぞ。


「見たまえ!!
千羽鶴…は1日じゃ無理だから165鶴だ!!まっ、数は問題じゃなーい。込めた想いが重要なんだ!!だから、君は物凄く早く治る!!」


清継にしては珍しく良いことを言ったな。


「ありがとう、私もそう思う。私、千羽鶴に助けられた気がするの。ほら巻、千羽鶴!!」


その言葉に、巻ちゃんが勢いよく起き上がる。
おーい、涎垂れてんぞ。


「ちょっ、まさか私を千羽様に行かすんじゃないわよね!?」


その話に食いつく皆…特に妖怪大好きなワカメ。巻と鳥居が昨日あったことを話せば、案の定、興奮する清継。


「ぜひ参ろう! その千羽様にお礼をしに!!」

「いやよっ絶対いや!!
あそこ超こわい妖怪出んだから〜!!」

「それこそ聞き捨てならん!
む、まさか君達…あのお方に会ったのではないか!?どうなんだトリー!」

「んー…清継君の言う人には会ってないけど、別の人なら見たよ」

「別の人? 妖怪かい?」

「さ、さぁ…あまりよく覚えてないけど、笠を被った黒髪の男性と……」


黒田坊のことか。
漫画見てて思ったけど、鳥居って黒田坊に恋してたんかな?


「あと、黒髪の着物を着た女性も助けてくれた気がする……。」


ーん?


「あ、それ私も見た。医者を呼ぶように言われたんだよね。…あの人誰だったんだろう。」


おっふ……すっげぇ隣から視線感じる。


「あれって……姉ちゃんのこと、だよね?」


コソコソと話しかけてくるリクオに、その言葉に反応するつらら。


「へ? 鯉菜様のことなんですか!?」

「多分…。昨日姉ちゃん覚醒したんだよ。僕とは違って黒髪だったし……」

「ええ〜私も見たかったです!
今夜見せて下さい!!」

『まぁ……気が向いたらね。』

「君達、さっきから何をコソコソ話しているんだね!? 僕の話を聞いていたのか!?」


ずっとヒソヒソと三人で盛り上がっていれば、清継に突っ込まれる。うわお、皆こっち見てんじゃん。


『すいまっせーん、聞いてませんでした。』

「な、なんだとぉ〜!?」

「ちょっ、清継くん!
一応お姉さん、先輩だから!」

『一応ってなんやねん。』


病院にも関わらずワイワイと騒いだ後、各自自宅に帰る。ちなみに、帰る前に看護婦さんに注意されたのは言うまでもない。



(『・・・まさか街の人を襲うとはね。』)
(「うん・・・早く手を討たないといけない。」)




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