この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ ギリおは。

『…11時…だと??』


皆さん、ギリおはようございます。略してギリおは。寝坊しまくりな鯉菜ちゃんどぅえっす。何で寝坊したのか、まずは昨日のことを思い返しましょうか!
……あぁ、そうだ。
狒々の所に行って、なんやかんやで倒れたんだ。え、ぶっ飛び過ぎだって? 気のせいだ。


『昼登校でもしますか…』


身の支度をして、台所に向かえばお母さんがいた。どうやら既にお昼ご飯の準備をしているらしい。


『おそよう、お母さん。』

「おそよう! あら、今から学校行くの?」


鯉菜は学校が大好きね〜!って笑顔で言われるが、そんなことない。ぶっちゃけだるい。でも午後にはクソ嫌いな数学があるから行かなければならないんだよ。一回でも休むと、授業に付いていけなくなる自信100%!!
 

『んじゃ、行ってきます。
お父さんと鴆にお礼伝えといてくれる?』 


2人とも私の手当してくれたみたいだからと頼めば、はいはーい!って了承してくれた…と信じる。頼んでおいてなんだけど…今の返事、ちゃんと忘れずに言ってくれるか不安だな。帰ったらちゃんと自分の口からも伝えとこう。


「あれ…お嬢、学校に行くんですか?」 

『おそよう、カラス天狗。
真面目ちゃんだから今から行ってくるよ。』

「しかし、護衛を付ける者が…」


雪女と青だけじゃなく、首無や黒、河童、毛倡妓もリクオの護衛に家を出たとのこと。


『いーよ、護身刀とかあるし。
護衛なんて要らん要らん。んじゃ!』


後ろで鯉菜様ぁぁーーーー!!と叫んでいるミニ黒バードを無視して、いざ出発。
そう、護衛を付けずに家を出た筈なんだが……

所変わって駅…


『何で居るんだよ、コラ』


私の目の前にはいるのは牛頭と馬頭。ちなみに2人とも洋服姿だ。


『つーかアンタ…私より可愛くね?
ショックなんですけど。』

「な…可愛くなんかないよ、ボクは男なんだぞ!」
 

ムキーッと言ってくるのは…女の子の格好をした男の娘、馬頭だ。超絶かわいい。


「ちょっ、男の娘じゃなくて男の子!!」

『勝手に人の脳内を覗くな。』

「口に出てたっつーの。」


パシンと牛頭に頭を叩かれたけど、
おまっ、私一応二代目の娘だからね?
私の頭叩いておきながら無事なのは私のおかげなんだからね?


『まっ、いいや。
じゃ、行ってくるね、護衛ありがとう!』


なんやかんやで学校に着いたため、2人と別れて校門をくぐる。ちなみに、二人の洋服姿はスマホにこっそりと保存しといた。うぇーい、マジ可愛い。新しい癒しゲーッツ。

そんなことを思いながら教室へ向かっていれば、前方からガヤガヤと見覚えのある人物がやってきた。
…あっ、目があった。


『あららのら?
リクオくんではございませんか。』 

「姉ちゃん!? 学校来たんだ…」

「お具合は大丈夫なんですか!?」

『大丈夫大丈夫〜』


今は昼休みだから時間もタップリンだ…。
昨日の惨事がまるで嘘のように平和な学校。そんな平和を噛みしめながら、ほのぼのと話していれば…


「おっ、何だ何だ。奴良姉弟じゃねぇか。」


急にひょっこり現れたのは私の担任の坂本先生だ。ちなみに数学を教えており、リクオの数学の先生でもある。


「奴良姉。今日も遅刻だな…今日はどうしたんだ?また酒浴びか?」

『いえ、昨日夜にフィーバーしてたら寝坊しました。』

「なにフィーバー?」

『妖怪フィーバーです。』


その言葉にムンクの叫びみたいな顔をするリクオ。お前はいつも私の期待を裏切らないなぁ、愛してるぞぅ!!


「ふーん、何の妖怪だ?」

『ぬらりひょんです。
人の家に侵入してご飯食べます。』


あわあわと慌てているリクオ達を無視して会話をすすめる私と先生。リクオの反応も好きだが、この先生との会話も飽きなくて楽しい。


「…ぬらりひょんか。そういえば、昨日俺が食べようと思ってたプリンがなくなってたんだが。」

『ごちそうさまでした。またお願いします。』

「一昨日、いつの間にかなくなっていたポテチもお前か。朝起きたら1キロ太っていてびっくりしたんだぜ? 驚かせんなよな〜!」

『それは先生が無意識のうちに食べただけです。』

「げっ、マジかよ。ちなみに特技は?」

『姿を認識できなくすることができます。』

「つまり、透明人間か?」

『はい。教室に私がいないように見えるのも、実は技のせいです。本当はちゃんと出席してますので。出席扱いでお願いします。』

「それは無理な頼みだな。
あ、俺からも頼んでいい?」

『何です?』


…どうせアレだ、ろくでもない頼みだろ。


「技を使って俺を女子更衣室に連れ…」

『冗談は顔だけにしてください。』


悲しきかな…本当にろくでもない頼みだった。


「えっ。何それどーゆーこと? 奴良さん。」


俺ってイケメンの方だと思うんだけど…と言って窓ガラスに映る自分を見る坂本先生。腹立つが確かにコイツは顔の造りがいい。イケメンだ。
チラっとリクオを見れば、何が何だか分からないという顔をしている。窓ガラスに張りつく変人坂本先生を隙に、リクオがコソコソと話しかけてくる。こら、ひそひそ話は駄目だぞ〜。


「ちょ、姉ちゃん…あんなこと言って大丈夫なの!?」

『大丈夫でしょ。
ジョークだってちゃんと信じこんでるから。』


ケロッと言う私に、ポカーン状態のリクオとつらら。ちなみに、倉田は途中でどっか行った。去り際に「仇を打つ」って言ってるの聞こえたから、多分暴走族関係だろう。…私よりも人間社会に溶け込んでね?


『ぁ、チャイム鳴った…。
じゃあねリクオ。時間が合えば一緒に帰ろう?』


分かったと言って去っていくリクオ達を見送り、私も教室に向かう。


「あれっ、奴良ちゃん? 何で置いてくの? 今から数学でしょ? 俺の授業でしょ?」

『でしょでしょウッセーので黙りやがって下さい、でしょ先生。』

「またまた〜そんなこと言って! そういう君も今の台詞で3回もでしょ言ったよ? でしょさん。」

『ハハハうぜー(棒読み)』


いつもの日常だが…、この光景を偶然見た生徒により「坂本先生と鯉菜先輩が痴話喧嘩していた」という噂が広がるのはまた後のことだ。





(「鯉菜様・・・凄いですね」)
(「うん・・・本当の事をあんな冗談っぽく言って・・・。全然違和感なかった。」)




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