この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ


▽ 私はどうしたらいい?

『つーらら、大丈夫?
さっきから浮かない顔してるけど。』


牛鬼が占める山に来たと気付いて以来、つららはソワソワしている。まぁ、リクオを護らなくちゃって焦ってるんだろうけど。


「いえ…青を連れて来たら良かったなって。
山の中だから電波が繋がらないんですよ〜。」

『そっか…つらら、何かあった時はリクオをよろしくね?』

「もちろんです!何としてでも若はお守りします!もちろん、鯉菜様もお守りしますからね!」

『ふふ、その気持ちだけで十分よ、私は。
今回はちゃんと護身刀に鉄扇に銃も持ってるから!だから私の弟をよろしく頼むわよ』


そう言えば渋々了承するつらら。
まぁ、ぶっちゃけ銃の使い道はまだ分からないんだけどね。でも私は大丈夫だろう。向こうの狙いはリクオなんだから。
ふぅ…それにしても、夜はどうしようかな。
リクオと一緒に行くか、温泉に残るか。


『んぅ〜〜〜!……………ぁっ』


山登りで痛む腰を伸ばせば、偶然にも馬頭丸と目が合った。慌てる馬頭がワタワタするため、つられて化原先生もワタワタしている。操ってるのがバレちゃうぞ。…そういや、馬頭丸と牛頭丸には昔よく遊んでもらったなー。
仕方ない、助けてやるか!
木の上で慌てる馬頭丸が若干可哀想になり、大丈夫という意味を込めてウィンクした私はとても親切であろう。…誰だ今オッサンがウィンクするななんて言ったのは!


『中身はおっさんでも、見た目は女の子なんだからね!』

「…姉ちゃん、誰に怒ってんの?」

『…脳内の敵?』

「…ごめん。ちょっと分からないや。」

『大丈夫。私も言ってて分かんなかった。』


こんなアホな会話してるけど、周りは微妙な空気が流れている。というのも、巻と鳥居が帰りたいと言い出したからだ。しかし、それを許さないのが妖怪大好き人間清継である。


「待ちたまえ!暗くなった山を降りる方が危険だ!それにほら、僕の別荘があるじゃないか!セキュリティも抜群だ!」

「姉ちゃん…妖怪にセキュリティって…効くかな?」

『あっは!効くわけないじゃん。陰陽師の結界をすり抜けたり壊す妖怪も居るんだから。』

「そうよ!奴良姉弟の言う通りよ!」


しかし、ここまで言っても自信満々に、心配しすぎだと切り捨てるのがこのワカメ君だ。ワカメのくせして何でそんなに芯が強いんだよ。ワカメはふにゃふにゃなのに、お前は強すぎるぞ。


「ハッハッハ…いうても牛鬼も伝説じゃから。
あの爪も作り物かもしれんしの〜」


そう言いながら帰る準備をする何とか先生。
…もう名前忘れた。


「じゃあ、ワシはそろそろ山を降りるよ。」


ワシの役目はここまでだから、と意味深なことを呟きながら去ってゆく。もちろん、
「夜は危ないから、絶対に出ない方がいい」
という、ワカメ君を刺激するような言葉を忘れずに残して…。



あの汚いジジイと別れて、別荘に入った私達1行。何だここ、すげぇキラキラしてる。金持ちって本当すげぇな。にしても、この別荘って牛鬼組の妖怪達に公認されてるの?お手伝いさんは妖怪を見かけたこと無いって…。うーん…まぁいいか。


「女の子たち!先に温泉に入るといいよ!」


その言葉に、巻を筆頭にして女子が温泉に行く。
残された私はリクオの隣に行き、小さな声で耳打ちした。周りに聞かれたら困るし。


『リクオ、私はどうしたらいい?』

「…え?」


何をそんなにびっくりしてるんだ、リクオは。


『? 清継と島は多分、今から外に探検しに行くんじゃない?妖怪探しに。』

「!確かに…やりそう。」

『だから私は?私も一緒に行こうか?それとも女子達と一緒に残っておいた方がいい?』

「…僕は清継くん達と一緒に行くから、姉ちゃんには女の子達を任せてもいい?」

『ん、了解。』

「それじゃ、若!行きましょう!」

「え!?つらら!?
つららは姉ちゃんと一緒に…!」

『ダメ。
つららはリクオの護衛にまわってもらうわ。私は大丈夫だから。護身刀とかあるし、それに…陰陽師さんに守ってもらうわ。』


ニヤッと笑いながら、二人の背中を押す私。最後に、気を付けてねとだけ言って別荘に戻る。
向かう先は…女神たちがいる温泉だ。





(『…紗織ンのナイスバディに心を打ち壊されそうだな。心して入ろう。』)




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