この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ


▽ 夜の逢瀬?いいえ、違います。

『リクオ、具合は大丈夫?』


夜になり…まだ10時だがもう寝るというリクオにオヤスミのチューをしに行く。
いや、嘘だけどね?
中学にもなってそんなことしないからね?
ジョークだよ。


「うん、大丈夫。だいぶ熱も下がったし、これなら明日は学校行けると思う!」

『そっか!もし夜中キツくなったら呼んでね?』


部屋はすぐ近くだから、多分大きい声で呼んでくれたら聞こえるだろう。でも爆睡して気付かなかったらごめんねー、と笑いながら部屋を出る。そろそろ私も寝ようかな…一部怪我が痛い所もあるし。
自分の部屋に向かって歩いていると、向かい側から牛鬼がやってきた。…偶然、ではないだろう。


『…こんばんは、牛鬼。
今日は本家に泊まってくの?』

「えぇ、明朝に帰る予定です。」


そっかーとお互い笑みを浮かべてたわいもない話をする。


「ところで鯉菜様…会議で言っていたことは真でございますか?」


真剣な表情に切り替わり、空気も重くなる。
いや、重くしてるんだ…牛鬼が。
威圧感がすごい。


『…そうね。
言った通り、知ってる上で放っとくわ。
だから私も共犯ね。』

「…!」


ニヤッとして言えば、わお、あの牛鬼が…!
鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしているぞ!おじ可愛い!内心ニヤニヤ、表向きキリッとした表情で私は牛鬼の次の言葉を待つ。


「…何故、」

『ん?』

「何故三代目を…継がない。鯉菜、お前ならリクオより…上手くやれるのではないか?」


敬語抜きの牛鬼もアリだな…萌える。
じゃなくて、頑張れ私。暴走するな私!


『…覚醒したこともない私が三代目になれるもんですか。』

「それは…ゆっくり待てばいい!
覚醒できずとも、皆を率いる力があれば…!」

『私に…皆を率いる力があるとでも?』


そう聞けば、ゆっくりと力強く頷く牛鬼。
嘘でも褒められれば、嬉しいものだ…。


『…牛鬼。もし本気でそう思ってるなら、あなた、見る目ないわね。』

「何故そこまで自分を卑下する?」

『…卑下? ハッ、そんなことしてないわ。
ただ…私だったら、私みたいな奴の下につきたくないって思っただけよ。それにさ…』


自嘲しながら、自室の戸を開ける。
牛鬼と私が長話してるところを見られたら不味い。会議のこともあり、牛鬼が犯人だと簡単に見破られるかもしれない。
そろそろこの話を終わりにしよう。


『リクオは私にはない大切なものを持っている。
皆を率いるのに大切な…ね。』


最後におやすみと言って戸を閉めた。
牛鬼が今ので納得したかどうかは甚だ疑問だが…まぁ、取り敢えず原作に支障が無ければ問題ナッシング!
明日の準備をして、布団に入ろう。先程のことで頭が興奮してなかなか寝付けそうにないけど。頭の中は週末のことでいっぱいだ。




(『どーすっかなー…にしても眠れない。』)


(「鯉菜になくて、リクオにあるもの…?」)




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