▽ ゆら、京都に帰る
「いやぁ! いやや!
なんで妖怪なんぞに治療されなアカンねん!」
「こ、こら! 私も嫌です! でも若の御命令なんだから仕方が無いでしょ!!」
おー…これはこれは…面白い組み合わせだな。あんなに陰陽師のこと怖がってたのに、つららがリクオの命令で何とかゆらを治療しようとしている。
「にしてもスゲェ嫌がりようだな」
ハハハと笑うお父さんと一緒に、部屋の外から見守る。
『…あ、楽しいこと思いついた。』
「…お前が楽しいことって言うとロクなことじゃない気がするけどな。」
一言多いっつーの。まぁいいや。
『つらら、私がゆらを治療するよ。』
そう言ってつららと場所を変わってもらう。
「ええっちゅーに! 誰がやっても妖怪に越したことはないねん!! そもそも妖怪のクセにアンタらイケシャーシャーと学校来て…! 滅し…」
『ゆーらーちゃんっ』
札を構えるゆらの両手首を掴み、そのまま押し倒す。下にいるゆらの顔はりんごのように真っ赤な顔をしている。
「な…ななな! 何するんや!!」
「お嬢っ!? 何して……」
『クスッ…大人しく治療されるのと、今から私に襲われるの…どっちがいーい?』
ゆらの両手首を片手で押さえつつ、もう一方の片手でゆらの顎をクイッとする。
「な……やややややめい!!」
『答えないなら……食べちゃおっきゃあぁ!!』
「…お前さんもそんな女の子らしい悲鳴が出来たんだねぇ。」
『なっ、ちょ、普通女の子のケツを蹴る!?』
「ケツじゃなくてお尻と言うのが女の子だ。」
『それもそうだ。』
ゆらちゃんが照れて慌てる様子を楽しんでいれば、お父さんにお尻をドンと蹴られました。
『イイところだったのに…』
「お前は一体何がしたいんだ?」
『…さぁ? 取り敢えず可愛い良い子ちゃんはからかって苛めたいかも』
「お前はいつからそんな変態になったんだ?」
『お父さんの子に生まれた時点で変態になるのは必然的運命でしょう?
…痛い痛い痛い! あれ? やっぱ痛くないかもっ、あっ、やっぱ痛い!』
本当のこと言っただけなのに!! 関節技のタブルリストロックをかけられる。いってぇー!!
「ん? どーするんだ? 鯉菜ちゃんよォ…このまま次の関節技に移っても…」
『ごめんなさい! 嘘です!! 事実だけど嘘だからやめて!』
「いや、それ謝ってねぇだろ。」
『にゅぁぁあああ!!!?』
「ええかげんにせいっ! もうええっちゅーねん!!
……何してるん?」
関節技をかけられていれば、ゆらが勢い良く庭に出てきた。…どうやら氷麗の治療の途中で逃げてきたようだ。いかんなぁ。
『…取り敢えず陰陽師さん。私にさっきから関節技をかけてくるこの極道親父を滅してくれへん?』
「……自分で何とかしい。
さっきの仕返しや(ボソッ)」
うっそーん。正にハートブロークン……。
「…残念だったな、りーな☆」
『……てへ☆』
覚悟はいいなという言葉と共に、私の悲鳴が響きわたる…しかし助けてくれるものは誰もいない。なんてこった。
ちなみに、
一方のゆらは夜リクオと対峙している。
「納得できんかったら撃つ。
奴良君らは人間? 妖怪?」
おいこらロックマン。
…ん? ゆらは女だからロックウォマンか。なに人の弟にコイキングを向けてるんだ。
「昼は人間だが妖怪だよ、今はな。」
「同一人物……なんやな」
「納得いかねーかい。別人みてーだからな…」
「いや、納得いったわ…あんたが私を助けるってことが繋がらんかったんや。あんたが奴良君やったら全部…繋がるんや。妖怪は悪いことするから妖怪。奴良君やったら納得できる。
何度もありがとうな…優しい奴良君。」
言い終わると同時に、リクオに蹴られて池に落ちるゆら。…女の子に何してんねん親子揃って。
「何するんやー!! あんた最低やなー!!」
「さっさと帰れ京都に……」
……照れ屋だなぁ、リクオは。カワユス。
「…今のは悪行やで!
帰ってきたら…今の分滅したる!!」
「へぇ 楽しみにしとく」
『ゆらちゃん。』
ズカズカと去っていくゆらを呼び止める。
「何や! …ってアンタらいつまでソレしとるん?」
『知らんがな。それより…コーラの中に飴とか入れちゃあ駄目よ? 面白いことになるから。』
「「「は?」」」
リクオとお父さん、そしてゆらが綺麗にハモる。お父さんはハモらなくていいから早く私を解放して下さいな。
『そんじゃ、気をつけて帰ってね。』
「…う、うん、悪行したらアカンで!?」
『大丈夫。ゆらちゃんにしか悪行しないから。
愛を込めて。』
「いらんわ!!」
ーーーーーーーーーーーー
電車の中にて・・・
(「・・・なんやて!?この飴をコーラん中に入れるだけでええんか!お兄ちゃんもいいところあるやん!!って、ぎゃあああああああ!!!!!」)
結局鯉菜の助言は虚しくも…ゆらを助けることは出来なかった。
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