この手に掴んだ幸せを(ぬら孫) | ナノ

▽ ゆら選手、行きます!

「あ、こっちにいたんだ、花開院さん」

『久しぶり、ゆらゆら』

「奴良くん、先輩…」


ゆらゆらって何やねんというツッコミは無視だ。


『修行? 偉いねぇ…こんな暑い中よくやれるよ。
まじリスペクトだわ〜。』

「姉ちゃんはもう少し頑張ろうか。暑いからって怠け過ぎだよ。」

『リクオ、私は〈頑張る〉とか〈努力〉って言葉が嫌いなんだよ。頑張りたくないから。』

「もう手の施しようがないね! 少しは花開院さんを見習いなよ!」


私は至極真面目に言っているのに、何故か頭をパシンとハリセンで叩いてくるリクオ。
…おい。今変な文字が見えたんだけど。「ハリセン2号 鯉伴作」って書いてあったんですけど。何でお前までお父さんに作ってもらってんだよ。


「一人でこんなに修行するなんて…誰にでもできることじゃないよ! 本当、すごいなぁ…尊敬するよ! ……あっ、憧れっていう意味でね!?」


自分はまだまだだと卑下するゆらに、リクオは尊敬すると言う。うん、私も尊敬するよ。私とか昨日今日でハーゲンダ〇ツを7個も食べちまったよ。美味しゅうございました。


ぐぅぅううう


すげぇだのなんの話していれば、突然ゆらのお腹が鳴る。赤面しちゃって…可愛いなぁ! ご飯も食べずに修行だなんて…流石少年ジ〇ンプだね!!


「…はい、これあげる!」


良かったーお菓子持ってて、と言いながらゆらにチョコをあげるリクオ。
…ふっ、甘いな。


『ゆらちゃん。私の方がたくさん持ってるよ、全部プレゼントfor you.』

「最後だけ無駄に発音がいいな! しかもどんだけお菓子持ち歩いてんだよ!!」


はい〜またハリセンで叩かれました。ほらみろ。お前がハリセンで叩くから、その振動で小さい駄菓子がボロボロ手から落ちていくじゃないか! 逃げないで! お菓子ちゃん!!
落としたお菓子を皆で3人で拾っていれば…


「ゆら」

「…お兄ちゃん?」


現れたのは黒い衣服で身を包んだ二人の男…
確か竜二と魔魅流っていう人だ。
てゆぅか…ち、ちっさ! 本当に小さいな、お前の兄ちゃん。夜の私と結構いい線行くんじゃね? 知らんけど。


「ゆら…そいつらは何だ?」


連絡を寄越せだの話していた竜二が私達の存在に気付く。…気付くの遅いくせに、チラミングしただけで妖怪ってバレたよ。アイツの目はすげぇな。目つきも凄いけど。目からビームできるんじゃね?


「な、何って…クラスメートと先輩や」

「違うだろう、ゆら…そいつらは妖怪だぜ? 教えただろう…妖怪は絶対悪だ。滅するぞ、ゆら。」


そう言って構える竜二。
そんな竜二に、リクオは私にどうするかと意見を求める。


「姉ちゃん…!」

『陰陽師が3人も揃いやがりましたねぇ…』


どうすると聞かれるが…これはもう成り行きに任せるしかないっしょ。そもそも考えてる暇もない。
早くも竜二がこちらに攻撃してくるが、


「…ゆら、何のつもりだ。」


ゆらが護符で庇ってくれた。ゆらが待ってや!とお兄ちゃんに言い、タンマなぅ。今のうちに逃げちゃいたいわ…ってか、そこはちゃんと妹を待ってあげてくれるのね。
そんな事を脳内で考えていると、ゆらがクルッと私達の方を見て話しかける。


「奴良くん達は…妖怪やないやんな?」


ゆらの目を見れば、疑心に満ちた色をしている。それでもなお、私達が妖怪ではないと言う事を待っている目だ。


「…うん、僕たちは人間だよ!」

『あなたの敵じゃないわ。』


……嘘じゃない。私達は確かに妖怪になれるけど、今は人間だもんね! 敵じゃないもんね!


「ほらみぃ!
奴良くん達は人間や! それでも滅すって言うんなら、私がお兄ちゃんを倒す!!」

「……倒す?
ゆら、自分の言葉には責任を持てよ。」


そしてゆらと竜二の戦いのゴングがなる。





(『・・・どっちが勝つと思う?』)
(「・・・どっちって・・・」)
(『ゆらちゃんに勝って欲しいところだけど、お兄さんに千円。』)
(「・・・・・・・・・・・・・・・」)
(『痛いいはいいはい!!!ほへんははい(ごめんなさい)!!ほっへひひへふ(頬っぺちぎれる)!!』)




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