等身大の彼は、私の想像していた以上に… フェミニスト且つ天然たらしのようだ。
「なまえさん、顔が赤いですよ。大丈夫ですか」
「……佐々木さんは何も気にしないで下さい。一時的なものなので」
こちらを不思議そうに見つめる彼から視線を逸らす。
だって、だって、 あんなこと言うから…恥ずかしいんだよ!
―――……私には、貴女がいますから……
大好きなキャラクターに、しかも物凄く真剣な表情であんなこと言われたら… ドキドキしてしまうのはしょうがない。
例えそれが……人形だとしても。 そう、彼は人形なんだ。彼は人形彼は人形……
「そうだ……佐々木さん、人の時はお風呂も入りますよね?」
「入っても宜しいのでしたら是非。朝には人形に戻ってしまうので、無理にとは言いませんが」
「いやいや。入ってもらうのは全然構わないんですが、着替えをどうしようかなぁと思いまして」
「あぁ……」
エリート様には申し訳ないけど、とりあえず今日は大きめのスウェットがあったからそれを着てもらおう。
あ……部屋着以外にも必要だよね?
人になってる時に出掛けることもあるよね?
「佐々木さん、明日お買い物に行きましょうか!人形の姿なら鞄に隠れられるし」
「買い物?何を買うんですか?」
「等身大佐々木さんの部屋着と、出掛ける時用の着替えを何着か」
そう伝えれば驚いたようにこちらを凝視する佐々木さん。 え、やめて、見つめないで。 まださっきのこと引きずってるんですから。
「なまえさん、出掛ける時用って……私、人の姿で外へ出ても良いんですか?」
「モノクル外して普通の服着れば、外出しても全然大丈夫ですよ?」
「…………貴女と一緒に出掛けても…?」
「も、もちろん良いに決まってますよ!」
またこの人は……何なんですかそれ?一緒に出掛けたいってことですか? 一体どれだけ私を惑わせれば気が済むの…!
赤くなる顔を見られたくなくて俯けば、ふわりと頭を撫でられる。 驚いて彼の方へ顔を向ければ…何とも優しげな表情がそこに。
「…本当に不思議な方ですね………なまえさん、貴女に拾われて良かったです…… ……どうもありがとうございます」
「………っ…!!」
彼の微笑みに、心臓は大きく跳ね上がり 堪らず私はそっぽを向いた。
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