たまたま通り掛かったゴミ捨て場に、銀魂一番くじ、J賞ちびきゅんキャラ…佐々木異三郎の人形が、何故か組み立て済みの状態で捨てられていた。
喉から手が出るほど欲しかったそれを、みすみす見過ごす私では無い。
「佐々木さん…今助けます!!」
人目も気にせず人形を拾うと、ダッシュで家まで帰った。
――― ――
家に着くなり佐々木さんを綺麗に拭き、まじまじと見つめる。 …うん、可愛い。可愛すぎる。
嬉しさの余り、顔が緩むのを止められない。 人形を床に置くと、その前に正座をして深々と頭を下げる。
「佐々木さん…私、みょうじなまえは、一生貴方を大事にすることを誓います!!」
「……是非、お願いします」
ん…? 何か今、聞き覚えのある声が……
そろりと頭を上げれば、ちびきゅんキャラの佐々木さんがこちらを見上げている。
……見上げている!?
「な、なな…何で!?動いてる?!」
「えぇ、私、動けちゃうんです。所謂いわくつきという物です。……お陰で捨てられてしまいましたがね」
「え…えぇ〜〜……本当に動いてる…」
「……気持ち悪いですか?」
「まさか!動くなんて嬉しすぎます!!ただ、何か夢みたいで信じられなくて…」
「“嬉しい”……ですか?」
「はい!“嬉しい”です!」
来てくれてありがとうと笑いかけると、ぽかんとこちらを見上げる佐々木さん。 ……変なこと言ったかな…?
「えと…佐々木さん。さっきも言った通り、一生大事にします!なので…これからもよろしくお願いしますね」
「……えぇ。こちらこそ」
小さな彼と、奇妙な生活の始まりです。
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