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from:佐々木さん

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なまえたんとメール出来て
嬉しいお☆☆☆

お仕事頑張ってネp(^^)q

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……本当にこのノリでメール来たァァァ!
しかもあの小さい体で一生懸命携帯ポチポチしてるのかと思うと……………

やばい。可愛すぎて悶えるわ。



仕事の合間合間に私の携帯電話に来るのは、他でもない佐々木さんからのメールだ。

昨日は彼のご機嫌取りとして携帯電話を買いに行ったのだが、三次元でのエリート様も、流行りのスマホより昔ながらの携帯…所謂ガラケーがお好みのようです。

すごい勢いでスマホ拒否してたなぁ……なんて思い返していたら、ガクリと突然視界がぶれ、柄にもなく小さな悲鳴をあげてしまった。



「ちょっと、何携帯見ながらにやついてんのよー!」

「っ……ビックリした…!!」



後ろからタックルをするかの如く抱き着いてきたのは、同僚の柴ちゃん。
いつもいつも行動が突発的で、驚かされるのなんかしょっちゅうだ。



「べ、別に何でもないですぅー」

「絶対嘘ですぅー。……あ、もしかして佐々木さんからのメールでにやけてたとか?」

「………………」

「……アンタって本当わかりやすくって好きだわ」



呆れたように笑う柴ちゃんをジトリと睨む。
あぁ……誤魔化しや嘘が苦手な私は、何て損な人生を歩んでいるんだろう。



「あ、そういえば。なまえ、明日の飲み会、佐々木さんにも帰りが遅くなるって伝えときなさいよー」

「…飲み、会……?」

「忘れたの?田中くんの業績を皆でお祝いするって言ってあったでしょー!?」

「………あぁぁぁーーっ!?」






―――――わ、忘れてた……。






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「…………これは……」




目の前の大きな画面が映し出した文章に、小さな男は眉間に皺を寄せた。





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from:なまえたん

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佐々木さん、
すっごく申し訳ないんだけど…
明日の夜、飲み会へ行くことに
なりました。

帰ったらきちんと説明するね。

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明日の夜……飲み会……。
この文面からして、恐らく会社の同僚達と仕事を終えた後の飲み会なのだろう。

…とにかく、彼女にこういった付き合いがあるのは仕方ないことだ。

しかし………、



「……その飲み会、田中くんとやらも来るんじゃないでしょうね…」



モヤモヤとした感情をありのまま吐き出せば、一層膨れ上がる腹の底の黒い何か。

しかし、言葉にしてふと気付いた。
自分は何故、見知らぬ男にこんなにも不快感を感じているのだろうか。

……やはり、持ち主である彼女を取られ、自身の居場所を再び無くしてしまうことが恐いのだろうか。


いろいろと考え込んでいるうちに、携帯電話から電子音が鳴り響く。
驚いて画面へと視線をやれば、“メール受信中”の単調なアニメーションが流れており、なまえから飲み会についてまだ何かあったのだろうかと少し警戒気味に届いたメールを開いた。





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from:なまえたん

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佐々木さん!

さっきと話変わるけど、
柴ちゃんに美味しいプリン
もらっちゃったー(*^∀^*)
今日のデザートは、
とろける牛乳プリンだよ!

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先程のメールとは打って変わって、明るい様子の彼女からのメール。

なんて切り替えの早さだろうと少し呆れたが、プリンを貰って真っ先に浮かんだのが自分と一緒に食べることだという事実に図らずも胸が熱くなる。



「なまえさんはプリンがよっぽどお好きなんですね……しょうがないので、一緒に食べてあげますよ」



自然と持ち上がる口角に気付かないまま、返事をゆっくり打っていく。


……田中くんの存在はやはり気になるが、飲み会のことは口出しせずにいよう。
彼女が自分の存在を受け入れてくれて、傍にいられるだけで十分幸せなのだから。



「………明日の分も含めて、今日は早く帰って来て下さいね」





















「あ、メールだ…………………ふふっ」

「ちょっとー、またメール見て笑ってるしー」

「い、良いでしょ別に…!」




小さな彼から届いたそのメールは、どういう訳か普段の彼とメールでの彼が入り乱れており思わず吹き出した。



(もしかして……照れ隠しでこうなっちゃったのかな…?)




完璧さに隠れていた彼の人間らしさを垣間見た気がして、迷うことなくそのメールを保護した。









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from:佐々木さん

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プリンも貴女の帰りも
楽しみにしていますので、
なるべく早く帰って来て下さい。

…じゃないと、
寂しくて死んじゃうお。

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