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▼ 五条とお泊まり

完全に失敗してしまった、としか言いようがない。同じ部屋にいる五条のイライラしたような貧乏ゆすりと深い溜め息が響く中で、わたしは五条の部屋に置かれたままの場違いなぬいぐるみを抱きしめて縮こまる。

「……ごめんね、五条」

「ハァ?謝るくらいならそんくらい自分でなんとかしろよ」

返す言葉もなかった。今日の任務でわたしがトチって呪霊にマーキングされた。補助監督の説明によれば、同じようにマーキングされた人たちはみんなその日の晩に身の回りの異変を訴えて、翌朝には大怪我をしているらしい。死人は出ていないので精々二級の任務としてわたしがあてがわれたのだが、呪霊には対峙したものの、準一級だったその呪霊にマーキングされた上、逃げられてしまったのだ。その呪霊は特定の場所に特定の時間しか現れないため、今日中に他の呪術師を派遣して祓うことも不可能だった。腕につけられた生々しく赤い手形のような痕。一般人には見えないそれが呪力を纏っていることは呪術師であれば誰が見ても明らかで、この呪力を辿って呪霊がやってくるのであろうことも予想できた。任務に失敗したわたしが高専に戻ってすぐ、五条がわたしを指差して笑い始めた。

「ぶひゃひゃひゃひゃ!ボディペインティングかよ!だっせぇ!」

「……うるさいんですけど」

「それ大丈夫なの?」

「うーん、このまま行くとわたしは明日大怪我するらしいから硝子ちゃん治してね…」

ひー、と苦しそうにお腹を抱える五条を無視して心配してくれる硝子ちゃんに明日の治療を一足早くお願いしておくと、まず怪我しない方法を探しなよ、と至極真っ当な指摘を受けた。窓の人が被害者の付近で呪霊を目撃しているのでマーキングされた本人にしかわからない類の呪いではないことはわかっているが、冥さんや夜蛾先生含め、一級術師は今晩みんな出払ってしまっているから、戦闘要員ではない硝子ちゃんや一回取り逃がしているわたしではわたしの元にやってくる呪霊を祓うことは難しいだろう。これからどうにかしようにも、時計の針はすでに21時を回っていた。わたしの身の回りに異変が起こるのもそろそろかもしれない。

「悟の部屋に泊まったらいいんじゃないか」

「……は?」

「あー、確かに。私となまえで無理でも五条なら祓えるでしょ」

もう仕方がない、と腹をくくった時にされた夏油の突然の提案で、五条が間抜けに口を開けて固まった。それに硝子ちゃんまで乗ってくるものだから、わたしも眉をハの字に下げるしかない。

「なんで俺なんだよ。その条件だったら傑でもいいだろ」

「私でも構わないが、悟の目があった方が確実だろう」

「だったら硝子も含めて全員で同じ部屋にいればいいじゃん」

「私なんの役にも立たないからやだよ」

「硝子もこう言っていることだし、男2人に一晩囲まれていたらさすがのなまえも心が休まらないんじゃないか」

あくまでわたしのために言っているように聞こえるが、わたしは知っている。夏油と硝子ちゃんは明日朝早くから任務が入っているのだ。なるべく早く布団に入ってゆっくり眠りたいのだろう。こんな押し付け合いをされるくらいならひとりで頑張るんだけど。任務前に硝子ちゃんに治療してもらうことになるが、そのくらいは大目に見てほしい。体よく五条に押し付けようとする夏油にわたしひとりで大丈夫、と伝えると、夏油がふむ…と顎に手を当てて考えるようなポーズをとった。

「まあ悟がどうしても嫌だというなら仕方ない。悟はなまえが大怪我するよりも部屋に泊まられる方が嫌だというなら、私の部屋に泊まるかい?」

「すごい言い方に含みがあるけど、本当に大丈夫だよ。死ぬわけじゃないし」

運よく自力で祓えるかもしれないし、と限りなく低い可能性に苦笑すると、あー!とぐしゃぐしゃ自分の頭を掻きまわした五条が、泊めればいいんだろ!!とわたしの腕を掴んで五条の部屋へと引っ張っていく。背後から風呂は覗くなよ、とかけられる夏油の声に苛立った様子の五条がうっせえ!!と怒声を返した。そして五条の部屋に連れ込まれたところで、冒頭に戻る訳である。マーキングされていつ襲われるかわからないわたしを押し付けられて迷惑なのはわたし自身よくわかってるし、五条にはわたしを守る義務もない。やっぱり自分の部屋戻るよ。そう言おうものなら、ますます機嫌が悪くなったようにわたしを睨む五条に身を縮ませた。

「……オマエ、風呂は」

「エッ、入ってきていいの?」

「任務でボロボロになったままで俺の部屋で寝る気かよ」

「今日はさすがに徹夜の構えだったんだけど…」

それでも確かに、いくら寝ないにしても他人の部屋に任務帰りにそのまま居座るというのはどうなのだろう。でも、もしシャワー浴びてる間に呪霊がやってきたらどうしよう、と考えてしまう。裸で大怪我してるところを誰かに…特に五条に救出されるというのは、年頃の女の子としては耐えられるものではない。五条の迷惑になるのは避けたいところだが、どう転んだところで五条に迷惑がかかってしまうと察して抱えていたぬいぐるみに顔を埋めた。

「見張りしてりゃいいんだろ」

「いやさすがにお風呂の中までついてこられるのは嫌だよわたし」

「中まではいかねぇよ。風呂の前で待機してればあとは気配でわかる」

いざと言う時のためにバスタオルをすぐ身体に巻きつけられるようにしておけば、恥ずかしさはあってもわたしもシャワーが浴びられるという作戦である。でもそれでは、わたしがシャワーを浴びている間、五条はお風呂場の前で待っていなければならないし結局迷惑になってしまうのではないだろうか。うじうじ悩むわたしに腹が立ったのか、五条が着替え用のスウェットとタオルを押し付けてきた。女子寮には行けないから五条の着替えで我慢しろということらしい。押し付けられたスウェットからは部屋に置かれたぬいぐるみよりも濃く五条のにおいが染みついていて、つい赤面してしまう。ここまでされては断るのも逆に迷惑になってしまうから、重たい腰を上げる。本当は着替えもお風呂セットも女子寮に取りに行きたいところだけど、さすがの五条も女子寮に入ることはしないから難しいだろう。下着については今晩一晩くらい我慢するしかない。先に五条が男子寮のお風呂場に誰もいないことを確認して、女子寮と大体同じだろうけど、と使い方を説明してくれる。珍しく優しいんだけどイライラしてたさっきと今で何か心境の変化でもあったのだろうか。

「シャンプーとかはこれ」

「ぎしぎしにならない?」

「ならねえよ。俺の髪はいつもさらさらだろ」

「五条の髪がぎしぎしだから心配してるんじゃん」

「さっきまでのしおらしさどこ行った」

五条のお風呂セットの中にオールインワンの化粧水が入っていたのを見つけて思わず五条の顔を見上げてしまった。この男、ちゃんとこういうとこ気にしていたのか。5分で上がってくるように言われてさすがにそれは無理だけど出来るだけ急がねば、と勢いよく服を脱ぎ、五条のお風呂セットを手にシャワーを浴びる。わたしがいつも使っているのとは違って甘さのないシャンプーやボディーソープの香りに、嫌でも意識してしまう。迷惑をかけている立場なのだから、邪な気持ちは捨てないと。シャワーを一回冷水に切り替えて頭を冷やす。冷水にさらされた五条のシャンプーで洗った髪は、やっぱりいつもよりぎしぎしと軋んでいた。自己最高記録でシャワーを終え、髪を拭くのもそこそこに五条のスウェットを身につけて化粧水を塗りたくり、五条が待つお風呂場の外に出る。

「ご、ごめん、お待たせ…」

五条のスウェットは当然であるがわたしには大きすぎて、思い切り裾を引きずってしまっていた。でもさすがに下をはかないなんて選択肢はないので申し訳ないけれど引きずったままのわたしを五条がまじまじと見て、チビ、とだけ吐き捨てる。そりゃ五条に比べたら女子はみんなチビでしょうよ。わたしが五条の部屋に遊びに来るのはいつものこととはいえ、お泊りを他の人に見つかる前に早く五条の部屋に戻った方がいい。五条に突っかかる前にすたすた歩いていくわたしの後を五条が歩く。何も言わない癖に視線だけやたらと感じて、五条の部屋に到着してすぐ、なに?と怪訝な顔で五条を見上げた。

「さっきからずっと見てるよね」

「出た、自意識過剰」

「さすがに!この距離の視線は気付くから!」

「あーハイハイ騒ぐ前に髪ちゃんと拭け」

肩にかけたままのタオルを使い、ガシガシと乱暴な手つきで頭を拭かれる。痛い痛い。頭皮がやばい。五条の手を引きはがそうとして手を掴むと、上から被せられたタオルの隙間から、思いのほか距離が近い五条の顔が覗く。視線が合って、息をのんだ。髪も、身体も、服もすべて五条のにおいに包まれていて、こんな近くに五条がいる。そんな関係じゃないのは誰よりもわたしがわかっているのに、まるで彼氏の家に泊まりに来た、みたいな状況だと他人事のように考えてしまう。これは、だめだ。急いで話を逸らさなければ。

「ご、五条はお風呂入らないの?」

「……明日の朝入るからいい。オマエとちがって汚れてねーし」

いつものことではあるが、一言余計である。ふーん、とお風呂に入る前と同じようにぬいぐるみを抱えてベッドに座った。お風呂には入らないけれど、部屋着に着替えるという五条に背中を向ける。どうしよう。不謹慎なのにこの状況が嬉しいし、ドキドキしている。もし何かあったらどうしよう、なんてハプニングを期待している自分がこの状況に酷く浮かれているのがわかった。

「んで?とりあえず呪霊が来るまではどうすんの?」

「えっ?どうしよう…ゲームとか?」

「映画だとおやすみ三秒のやついるからな」

「だから!それは五条のセンスが悪いんだってば!」

着替え終わった五条がいつも通りだから、はしたないことばかりを考えていた自分が恥ずかしくなる。スマブラしようぜ、とゲームを用意し始める五条の手伝いをするためにベッドから立ち上がると、引きずっていたズボンの裾を踏んづけて、身体が傾いた。踏ん張ることもできず、そのまま倒れこむ先には五条の背中があって、後ろから抱きつくような形で密着してしまった。さすがにブラジャーはつけているので生乳ということはないが。むにゅ、と胸が五条の背中に当たるのを感じて赤面する。わたしの体重を受け止めて、五条は少しつんのめったくらいで倒れこむことはなかったが、その背中が醸し出す空気が不穏だった。

「……………オイ」

「ご、ごめん!裾踏んづけちゃって……!」

「いいから早くどけよ」

五条の肩に手を置いて慌てて起き上がる。今日はもうずっと失敗続きで、段々と情けなくなってきた。こんなに迷惑ばかりかけてるのにわたしは浮かれポンチだし、一体何をやっているのだろう。ぺち、と自分の頬を叩く。五条が渡してきたコントローラーを手にとって、頑張らなきゃ、と呟くと、ゲームにどんだけ本気だよ、と若干引いた目で見られてしまった。そうじゃない。いつもは白熱するゲームも、今日は集中を欠いてしまっていて盛り上がらず、早々にやめてテレビをつけた。深夜のバラエティを適当につけるが、どんな話題にもわたしも五条もまったく笑うことなく、ただただ沈黙が部屋を支配する。もういっそ今すぐ呪霊きてくれないかな。その件さえ片付けばすぐ自分の部屋に帰るのに。すごく緊張していたはずなのに、逆にその疲れからなのか、急激に瞼が重くなってくる。

「寝てれば」

かく、と思わず首が下がるのを見た五条が沈黙を破ってわたしに寝るように勧めた。

「………でも、わたしのミスで五条に迷惑かけてるし」

「そんな今にも寝そうな状態のやつの相手する方が面倒だっつの」

確かに呪霊が来た時にこの状況では、逆に足を引っ張ってしまう可能性がある。だったら完全に寝ていた方が扱いが楽だと言いたいのだとは思うが、わたしがやらかしたのに五条にだけ寝ずの番を任せるわけにはいかない。眠気でぼんやりする頭でかおあらってくる、と立ちあがると、またスウェットの裾を踏んづけてつんのめった。すかさず五条が腕を引いてくれたので堅い床とちゅーすることは避けられたが、五条に抱えられるような体勢になっている。

「オマエもう余計なことしようとすんな。寝ろ」

半分くらいキレているような顔でわたしを床に転がし、深い深いため息を吐いた五条が、わたしの髪を梳くように撫でる。それが気持ちよくて、わたしが完全に睡魔に負けるまで、そう時間はかからなかった。


 * * *


目が覚めると見覚えがあるようなないような天井が見えて、何故か五条のにおいで包まれている。しばし考えて、がば、と飛び起きた。まって、もう朝なんだけど。五条のベッドを占領してがっつり寝てしまったし、呪霊はどうなったのだろうか。慌てて腕を確認するとシャワーを浴びても落ちなかった赤いマーキングは跡形もなく消え去っており、五条の部屋は昨日より若干散らかっているようだった。わたしが寝ていたベッドに寄り掛かるように座っていた五条が、朝からうるせえよ、と低い声で唸る。

「ご、五条、呪霊が、マーキングが…」

「なまえが寝た後に雑魚が部屋に入ってきたから祓った。そしたらマーキングも消えた」

なんであんな雑魚相手にへますんのか理解できん、と言われて、襲われてたのに爆睡していたわたしは言い返すこともできずに縮こまった。結局全部五条に解決してもらって、わたしは五条の部屋で寝ていただけだなんて、しばらく五条の言うことに絶対服従くらいのペナルティがつきそうなものだ。朝日が差し込む部屋で、五条の顔にくっきりと浮かんだくまを見て、思わず手を伸ばした。親指でくまをなぞるようにすると、驚いたらしい五条が慌てて身を引く。

「なんだよ!」

「ご、ごめん!だって、ちゃんと寝れてない…よね?」

「どっかの誰かにベッドとられたからな」

「わたし昨日床で寝たと思うんだけど寝呆けてベッドに移動しちゃった?」

まったく記憶がないんだけど、と付け加えるが、五条はなんとも言えない顔をしてタチ悪…と呟く。寝呆けたわたしはよほど酷かったのだろう。本当に頭が上がらない。人生でこんなにも五条に申し訳なさを抱く時が来るとは思わなかった。とりあえずいつまでも五条の部屋に居座っているのもどうかとおもので、部屋戻るね、と伝えると、その格好で?と呆れかえったように言われる。今わたしは当然のことではあるが、昨夜のまま、五条のスウェットを身にまとっている。ぶかぶかだし裾を引きずっている状態で、昨夜も二回転んだものだ。

「女子寮戻る前に5回は転びそうだから着替えてけば」

「さすがに5回は転ばないけど…じゃあちょっとお風呂場で着替えてくる」

「馬鹿も休み休みに言えよ。俺が部屋出るからここで着替えればいいだろ」

「わざわざ五条に出ててもらうのも悪いし」

「基本図太いくせにいきなり下手に出られると気持ち悪ィ」

五条と違って図太いつもりはないしわたしはそれなりに色々わきまえているつもりなのだが、五条から見たらそうは見えないらしい。確かに迷惑かけるだけかけて爆睡したあたり図太さに関する反論はできない。自分で自分の神経を疑ってしまう。五条が部屋を出てくれたので、急いで昨日着ていた制服に着替えた。しかし、脱いだスウェットはどうしたらいいのだろうか。洗濯して返すべきだと思うけど、わたしの使ってる柔軟剤で大丈夫かな。スウェットを畳んで、扉を開けて五条を呼ぶ。そして今度こそ部屋に戻ろうとスウェットを持って立ち上がった。

「俺のスウェット持って帰んなよ」

「や、さすがに洗って返す」

「………………………毛玉だらけにすんなよ」

「洗濯くらい!普通にできるから!!」

少し気になる間はなんだったのだろうかと思いつつ、スウェットを洗ってくるのには異論がないようなのでそのまま後でちゃんとお礼するね、と言って部屋を出た。五条は眠いのか、床に寝転がっている。寝るならベッドで寝たらいいのに。スマホで時間を確認しながら女子寮に戻る。まだ6時過ぎだし、朝早い任務とはいえ、今の時間なら夏油と硝子ちゃんはまだ出かけていないだろう。女子寮に戻ると、顔を洗っていたらしい硝子ちゃんが洗面所から出てきた。硝子ちゃんは挨拶もそこそこにわたしを上から下まで見て、怪我がないことを確認すると、うん、と満足そうに頷く。

「で?五条と何かあった?」

「うっかり寝ちゃって起きたら全部解決してた…」

しかも五条のベッドを占領して、と付け加える。うわぁ、という顔をしている硝子ちゃんに五条にどうやってお礼すればいいかな、と相談するが、硝子ちゃんは何もしなくていいんじゃん、とわたしに近づいて髪のにおいを嗅いだ。いつもとちがうすっきりとしたメンズ用のシャンプーの香りに、硝子ちゃんが眉を寄せる。本当に何もされなかったの?一体なんの確認だろうか。昨晩から今朝にかけてを思い返してみるが、やはりいつもより優しかったことしか思い当たらない。いや、いつもに比べたらちょっと優しすぎたような気はするけど。

「どこも違和感とかない?」

「硝子ちゃんはなんの心配をしているの?」

「一応何かあったら出るとこ出ないと困るでしょ」

「怖いこと言うのやめてよ!」

むしろ迷惑料として出すもん出さなきゃいけないのはわたしの方だと言うのに、硝子ちゃんは五条のことをかけらも信用していないようで、念入りにわたしのボディチェックをし始めた。思う存分確認したところで、いつもとの違いがシャンプーのにおいと抱えているスウェットだけだと納得したらしい。

「五条が意気地なしでよかったね。むしろ残念?」

にやり、とからかうように口角を上げた硝子ちゃんに、ようやくなんのチェックをされていたのか思い当たり、ぶわ、と全身が燃えるように熱くなった。付き合ってるわけじゃないんだから、何もあるわけないのに!任務の準備のためか、ひらひら逃げるように部屋に戻っていく後ろ姿に硝子ちゃん!と声を荒げた。しかし、朝早くにこんな大きな声を出したら他の人を起こしてしまうかもしれないことに気づき、慌てて声を落とす。その間に自分の部屋に逃げ帰ってしまった硝子ちゃんを大きく溜め息を吐いてから自分の部屋に戻ったわたしはその後、五条に借りたスウェットを洗濯するための洗剤と柔軟剤とにらめっこすることになるのだった。


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