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▼ 突撃☆お宅訪問

防衛任務を終えてみょうじと一緒に隊室を出ると、念入りに周囲を確認する。私たちは二人でルームシェアをしているのだが、それがばれてからは遊びに行かせろとうるさいやつらが多々いるのだ。女の子なら大歓迎だが、何が悲しくてむさ苦しい男どもを自宅に招き入れなければならないのか。そもそもばれたのだって、ラウンジでいつものように駄弁っている時に、みょうじから電話がきて、

「もしもし?あ、そう!洗剤なくなりそうなの。ありがとーよろしくー、じゃまたあとでね。はーい」

という会話を勝手に勘違いして、太刀川と出水と米屋と諏訪さんに肩を掴まれながらおもいっきり揺さぶられた。

「ナマエさん一人暮らしじゃなかったのかよ!!」

「同棲してるなんて聞いてねーよ!!誰だよ!!」

「おまえ風間さんのことすきなんじゃなかったのかよ!!」

「そんな女に育てた覚えはねーぞ!」

あらぬ誤解をかけられて自分より背の高いやつらにこんな威圧的に囲まれるなんてどういうことだ。むしろなんで男と同棲なんて話になるの。しかも諏訪さんに育ててもらった覚えはない。なんて可哀想な私…。みょうじ。私が発した言葉に全員が?マークを浮かべる。

「だからみょうじとルームシェアしてるの!!男じゃないし!!わかった!?」

そう捲し立てると、なんだよ〜びっくりさせんなよ〜と口々に言われるが、勝手に勘違いしたのはどっちだ。とりあえず誤解が解けてほっとしていると、なぁ遊び行ってみようぜ、と太刀川が言った。全員が賛成しているが却下と一言告げて、その日はその場を後にしたのだが、それからは誰かしらが私たちの家を調べようとしている。勿論みょうじには謝って、おまえのせいじゃねーか!と厳しいツッコミの後にしょうがないなぁとお許しをもらえたが、みょうじも私と同意見でやつらを家を教えるつもりもないし、あげるつもりもない。だからこうやってこそこそ帰る日が続いていた。私たちの家は警戒区域からさほど遠くない場所にあるアパートで、お互いに一部屋ずつとダイニングキッチンのある2階の角部屋だ。私たちはオタクだが大体のものは隊室にあるし、入り浸っていることも多いため、アパートは割りと普通の女の子の家である。つけられていないことを確認しながら今日の出来事などを話しているとにアパートに到着した。お互い部屋に入って着替えようかと思っているとインターフォンが鳴った。宅急便かな?私かみょうじ何か頼んでたっけ?と思いながら着替えようとしていた手を止めてはーい、となんの疑いもなくドアを開ける。

「よぉ」

開けた瞬間目に入ったのは太刀川のにやけ面だった。急いで半開きにしたドアを閉めようとするが、必死の抵抗も虚しく足をドアに挟まれる。

「なんで!?なんでいるのあんたたち!!」

そこには太刀川出水米屋諏訪さんに迅まで揃っていた。みょうじ!みょうじ助けて!早くきて!!そう叫ぶ私に何事かと部屋から出てきたみょうじも状況を確認するとこの世の終わりのような顔をしていた。

「とりあえず入れてくれ」

「やだよ!」

「△△さん、ここで騒いだら近所迷惑じゃないの〜」

くそが!正論かよ!むしろ帰れよ!そんな私たちの願いも虚しく一切帰るつもりのない男どもを、本当に近所迷惑になる可能性を考えてみょうじの許可をとり仕方なく玄関に入れた。

「なんでうちがわかったの…」

「ナマエさんとなまえさんの帰るのつけてきた」

「ねぇ知ってる?それストーカーっていうんだよ。警察呼んだら捕まるんだよ」

「しかもなんで迅までいるの」

「本部でみんなに会って着いてくと面白いことが起こるっておれの副作用がいってたから。あと確認はしっかりしといた方がいいよ」

私たちの正論を無視し、なおかつ面白さを求めてやって来たこいつらに頭が痛くなってくる。迅の意味深な一言が気になるが、とにかく後回しだ。周りをキョロキョロしている男どもに、2分ここを動くなと目の据わったみょうじが伝えて私たちは全力で部屋に戻り、とりあえずダイニングの見られちゃまずいものだけ部屋に持っていく。無事ざっと片付けて仕方なく5人を呼びに行くがいない。探検しようぜーという声に走って行くと、出水と米屋と迅がみょうじの部屋を開けていた。

「なんかの抱き枕ある〜!」

「つーかこの人形ハゲてね?」

「みょうじちゃんっぽい部屋だね〜」

ぎゃはは!と響く笑い声に冷や汗をかく。私は決して冷や汗担当ではない。やめろ抱き枕はともかく人形のハゲには触れるな!

「メテオラで亡きものにしてやる」

後ろから聞こえる物騒な声にびびって振り向くとみょうじがトリガーを構えていた。早く!早く謝ってリビングいけ!家なくなっちゃうから!私の必死の叫び声に悪かったって〜、ごめんごめん〜と悪びれもなくいう3人をリビングに追いやって、なんとかみょうじを宥めて、落ち着いたらおいでと声をかけてリビングに向かう。いや待てよ。あと二人いないじゃないか。嫌な予感がして自分の部屋に行くと、予想通り、太刀川と諏訪さんがいた。

「おまえの部屋の方が面白かったわ」

「この俳優、風間と全然ちげーじゃねぇか」

私の部屋は割りとシンプルだが、すきな俳優さんのゾーンがある。風間さんとタイプが違うのは重々承知だが普通にすきなので、そこは突っ込まないでほしい。ぶっころすぞ。

「やめろ!勝手に写真集開くな!触んな!」

写真集を手に取る太刀川から奪い取り、背中をぐいぐい押してリビングに向かった。リビングにつくと腹減ったーなんかないのーと騒ぐこいつらに勝手に来たくせに本当に何を言っているのかと更に頭が痛くなった。

「つーかなんか意外だよな。もっとオタクっぽい部屋だと思ってた」

米屋の一言に、全員が頷く。漫画もゲームも大体それっぽいものは隊室に置いてる。私たちだって年頃の女の子だから化粧品とか服について話もするし、勿論買うのもすきだ。本当に失礼なやつらだと思い、いくら近所迷惑だからと言って入れるんじゃなかったな、と思いながら、みょうじになんかお菓子あったっけー?と声をかけつつキッチンに向かう。確かクッキーがあったはず、と言いつつ探しに来てくれたみょうじと一応人数分お菓子と飲み物を用意してリビングに戻る。

「おまえらって意外と抜けてるよな。そんなんで大丈夫なのかよ」

諏訪さんに言われてみんなが集まっている方を見ると、下着が干しっぱなしになっていた。迂闊だった。たぶんお互いに一番先に片付けたものだと思っていて完全に頭から抜けていた。迅の意味深な一言はこのことだったのかと後悔するがもう遅い。とにかくグラスホッパーでも使っているかのようなスピードでみんなの間を縫って二人分の下着を抱え込み、恐る恐る振り向きながら聞いてみる。

「みた?」

「ばっちり」

にやにやしながらこちらを見ている全員に殺意が芽生える。

「つーかやっぱなまえさんのブラでかいよな〜」

「思ったとおり」

「ミョウジ意外とかわいいブラつけてんじゃーん」

「思ってたよりあったな」

「おいおまえら完全にセクハラだぞ!!」

「失礼だな!!」

確かに出しっぱなしにしていた私たちが悪いが、なんて仕打ちだ。みょうじの胸が大きいのは見ればわかるしかわいいブラをつけていたところで、普段の服装からしても想像がつくだろう。でも私はかわいい系の服を着るのは躊躇われるので、下着は割りとかわいいものを好んでつけていた。それがこんな形でバレてしまうとは…そう思い頭を抱えた。

「大丈夫だよナマエさん。おれおっぱいよりおしり派だから」

「風間もセクシーなやつよりこっちの方がいいと思うぞ」

「うるさい聞いてねーよ」

慰めようとしてくれているのか知らないが、迅と諏訪さんのその一言にも苛っとする。むしろ私が風間さんに下着を見られる可能性なんて0に近いのではなかろうか。そんな私たちのことを無視してそのまま男たちはおっぱい談義を始めた。太刀川と出水は巨乳派で、米屋と諏訪さんは美乳派。いやまじで聞いてねーよ、外でやれよ帰れよ。しばらく勝手に話してそろそろ帰ろうか、面白いものも見れたし。という迅の一言で帰っていったやつらに、もう二度とくるなと伝えて、次からは絶対に誰かを確認してからドアを開けるようにしようと心に誓った。みょうじはしばらくの間、この面々と口を聞かなかったらしい。ざまあみろである。


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