▼ みんなで焼肉
久しぶりにみょうじと二人でごはん食べに行こうかという話になって、防衛任務終わりに本部の廊下を歩いていると、角を曲がったところで太刀川と出水と会った。
「ミョウジ発見!」
「なまえさん見っけ〜!」
そういうなり二人に捕獲されて一緒に焼肉に行くことになった。頼むからもっと普通に誘ってくれ。確かに絶対嫌がるけれど。こうなったら何を言っても無駄なので、おとなしく着いていくと、途中で風間さんと諏訪さんに会って、そのままボーダー行き着けの寿々苑の前で遅い、とぷんぷんしている二宮と合流した。席に着くなりみょうじと出水を連れて隣のテーブルに座った二宮はとても満足そうだ。
「二宮も誘ったの」
「だってあいつ酔わせると面白いじゃんよ〜」
そういうことだと思ったよ。ただもう思惑がばれているのかテーブル別れて座られたけどな。どうせ向こうのテーブルは飲めないし、と仕方なくこちらのテーブルに、太刀川と風間さんと諏訪さんと座って各々すきなものを頼み始める。お肉とお酒とおつまみを頼んで乾杯する。待てよ、これレイジさんいないし私が焼かなきゃいけないやつじゃん。隣のテーブルでは二宮が焼肉奉行になっていた。みょうじと出水がおとなしく従っているのを見て、いつもこんな感じなのかなと悟る。むしろあの二人と一緒に焼肉行きたかったんだろうなぁと見てとれた。こちらもタンから焼いていく。
「なぁミョウジそれおれにくれ」
「いやおれだろ」
「ちょっと待って!私食べてないんだけど!」
うるさい太刀川と諏訪さんから催促されるのを制しながら風間さん諏訪さん太刀川私の順番にお皿に入れていく。なんなの絶対私食べれないやつじゃん。もうあとは適当に乗せるから勝手に取ってくれ。お肉とお酒が進むうちに太刀川が酔ってきて、絡みが更にめんどくさくなる。絡み付いてくる太刀川を振りほどき、逃げるようにお酒を持って隣のテーブルに移動した。
「お邪魔しまーす」
「何故きた」
「いやほらね、そろそろみょうじの胃袋が限界かと思って」
みょうじはお皿にたくさん乗ったお肉をちびちび摘まんでいるが、基本野菜系しか食べれていない。
「みょうじこれちょうだい」
「もう無理食べて」
「ありがとう〜」
因みに私の分は残念ながら他の三人の胃袋の中である。
「ナマエさんって太刀川さんと仲いいよな」
「まぁ仲いいというか腐れ縁というか…」
「絡まれてるの良く見る」
「確かに君たち3馬鹿がみょうじに絡むのと同じ位は絡まれてる。なんとかしてよ出水」
「いやおれには無理っす」
「くそ使えねーな。そういや二宮さ、こないだのグループ発表大丈夫だったの?」
「…太刀川のことはもう諦めた」
「二宮も太刀川と組まなきゃよかったのにねぇ。絶対苦労するの目に見えてんじゃん…」
「ちょっとナマエさん!!」
みょうじに言われてあ、やべ。と思った時には遅かった。二宮が黙りこんでしまった。地雷を踏んだかもしれない。組める人他にいなかったんだね。
「次になんかでグループ発表あったら私と組もうよ!太刀川よりは役に立つよ!」
なんとかフォローをしてみると考えておく、とぼそりと言われた。これ以上機嫌を損ねる前にお邪魔しました〜と言ってテーブルを離れた。
テーブルに戻ると追加のお肉が丁度きたところで、すきなように焼いている最中だった。
「諏訪さん私にもちょうだい」
「おまえさっきあっちで食ってきただろうが」
「こっちで食べてないじゃん」
「諏訪、焼いてやれ」
「ありがとうございます〜!」
太刀川はつぶれていたが、二人は大して酔っていないようだ。風間さん酔うと面白いもんな。ポストと戦っているのを見たのはあまりの衝撃で忘れられない。
「太刀川つぶしたんですか?」
「こないだのレジュメの件で風間に説教されてた」
「当然だ。こいつはもっと危機感を持たないと確実に進級できないぞ」
私が二宮の地雷を踏んでいる間に太刀川は風間さんに完膚なきまでに叩きのめされていたらしい。いい気味だ。そう思いにやりと笑うと、テーブルに突っ伏していた太刀川がのそりと起き上がった。
「おいミョウジ、おれとイッキしよう」
「は?いやだよ。八つ当たりは良くないよ太刀川くん。やりたきゃ一人でやれば」
完全に八つ当たりである。私だってお酒はすきだけどそんなに強くない。しかも何が悔しくて風間さんの前でイッキなんてしなくてはならないんだ。そう思っていたのに、風間さんの前だからって可愛い子ぶってんじゃねーよ、小さい声でぼそっと言われてカチンときた。
「よし、やってやろうじゃん!そこのジョッキ!早く!」
「お!さすがだな!やるか!」
おいおいやめろよ、と言う諏訪さんの制止を振り切って、スタートをかけようとする私たち。
「おまえたちいい加減にしろ」
降ってきたのは風間さんの冷たい視線とお言葉だった。そこから二人で正座でお説教をされた。隣のテーブルでみょうじと出水がにやにやしてたし、二宮は冷たい目をしてたし諏訪さんは笑ってるし。次のこいつのレポートは絶対に手伝わない!!私は心に誓ったのであった。