それは儚く | ナノ

それは儚く

09.嘘は無数

9/12

なんというか……なんなんだ?




「おい風間。貴様いつまで居座るつもりだ?」

「さぁな」

「………」




別に奴がいて問題があるわけではない。
ないのだけれど……。



今までに私の部屋が煩くなることがあっただろうか。
正確に言えば、部屋の周りだ。
遊女たちが群がっているのがどうにも気に食わない。




「風間様は姫さんの兄上なんでしょう?」

「さすが番人の娘、可愛らしい子とは思ってありんしたけど…」

「兄上様も凛々しいお顔でありんす」

「美男美女とはよく言ったもので」




……………。

姉上は何処へ行ったのやら。
今私が働けと言っても、聞く耳を持たないだろう。
それほど彼女たちは舞い上がっている。

すべては目の前にいる風間千景という厄介な男の所為だ…!!
私に風間を追い出すだけの力があったら……




「千春」

「なんだ風間」

「貴様は人間…か?」

「なにを言う。姉上と同じような鬼、などの妄言はよせ」




そうか、と淋しげに風間は呟いた。


……ちょっと待て。
なぜ腹違いの兄である風間が、私に人間かと問う?
そんなの私より詳しいはずだし、人間であることが普通じゃないか。

ここは、私を化け物だと仮定しよう。
その場合母と父の両方、もしくは片方が化け物となる。

…………やめよう。非現実的すぎる。




「……貴様もただの人間だろう?」

「違う、と言ったらどうする」




思わず口角が上がった。




「ただの虚言だ」




嘘は無数

風間は人間じゃない、なんて
なんとなく判ってたんだ




◎2人にはもうしばらく兄妹ほのぼのライフ(!?)を楽しんでほしい…
20120428




  back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -