クラスメイトのドヤ顔に腹が立った15の秋
▼10.最終回
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誰かが私を呼んでる気がした。気のせいだと思ったのも自分。
私は…どうなった?
* * *
「先生!」
「沖田……!」
「世名は大丈夫ですかィ…!?」
「…一番ノリだぜお前やっぱ世名のこと好きだろ」
「ふざけないでくだせぇ!!!」
ふざけたくなんか…ねーよ。
沖田には皆が揃ってから話すと言って、病院を出た。
イライラしてんのかタバコが吸いたくてたまんねー。
あのバカ野郎。無理しすぎだバカ。もうバカとしか言えねぇ。
世名の病状は重いものではなかった。
だが手術が必要で、手術をするにはまずある程度体調を整える必要がある。その後だって軽くリハビリがあるはずだ。
医者は銀魂付属中学の生徒として世名を見ていて、そのまま高校に行くと思ってる。
つーか受験なんて論外だとよ。
俺はどうすればいい。世名になんて言えば…。
「こんなとこにいやがった」
「高杉か」
「揃ったぞ」
「そうか…」
コイツらにはさっきの話をしっかりした。何も言わねえ。
いや、言えねぇのか。
「世名さん…ずっと勉強してましたよね」
「休み時間だってしてたわ」
「この前なんか走りながら暗記カード見てたアル」
「…そういやバンドの練習中は楽譜にも単語を書いてたっけか」
「この前ミントン誘ったんですけど、片手で暗記カード見ながら相手されました」
「結果は?」
「………負けました」
「はっ、天才か」
この様子を見てると、土方は多分狂ってる。
絶対気にするとこ違うからね!!
「……アイツが目覚めたとき俺はなんて言やいいんだよ」
「先生…」
と、沖田が居ないことに気が付いた。
「沖田は…「世名!起きなせェ」沖田お前…」
病室から沖田の声が聞こえた。入ったらため息つかれた。
どんだけ頼りないんだ俺。
「一番辛いのは世名でさァ…。俺ァせめて…側にいたい」
「沖田……」
「……」
「……」
「世名!早く起きなさい!」
沈黙を破ったのは猿飛だ。
命令形かよ。でも…。
「そうアル世名。あとカッコつけてんじゃねーヨドSが」
「世名ちゃん、起きましょう?世名ちゃんはこんな弱々しくない」
「…起きたらマヨネーズくれてやるから起きろ」
次から次へとうるせぇ連中だな、たく…。
「世名…起きろ」
『ん……銀…時………?』
「「世名!!」」
『…沖田と銀時がハモってるの初めて見た』
「…案外元気ですねィ」
全くその通りだ沖田。
まぁマヨラーとハモんのと比べたら全然いいからね。もちろん。
良かったんだよ…な。
「「「世名(さん)!!」」」
『え、何これ此処何処?』
「病院」
『へぇ…』
「とりあえず世名にも話すから」
『受験無理なんでしょ』
「!!!!」
わかるよそのくらいと言いながら世名は嘘っぽく笑った。
『いいんだよ、もう』
「世名…」
『だってさ、こんなに優しい仲間に囲まれて…ワガママなんだよ私』
「…………」
「世名大好きアル!」
「私もよ」
どいつもこいつもなんなんだよ。
俺もとか私もとか言ってんじゃねーよ。そんなこと世名は判ってる。
『銀時もまぁ好き…だよ?』
「俺もだ世名」
* * *
結局私は銀魂高校行き。
でもそれでいいの。もう。
だって大事な友達だっているし。
『おはよー』
「世名!退院おめでとネ」
馬鹿ばっかだけどそれでも…こんないい奴ら多分いないから。
仲間自慢の相川世名
( 世名のドヤ顔初めて見たアル )
( どうだった? )
( 可愛かったわよ )
( …付き合ってくだせぇ世名! )
( ありがと妙。総悟は考えとく )
( !!!! )
◎20111114