薄桜鬼 | ナノ

克服?





「…今何て言った?」


『だから、馬鹿な攘夷をズタズタにしてきた』


「…姉貴さ、いい加減…ふざけるの止める気になんねぇ?」









彼女は藤堂平助の姉であり、新撰組唯一の女隊士である。
美人なので女に飢えた隊士達の目の保養にはなるが、それ以上は望めない。




「世名さん」


『それ以上近寄らないで。貴方死ぬわよ』




驚異の男性拒否性と脅威の戦闘力によって平助以外は近付けない。



土方にも、「その男性拒否性をどうにかしてくれ、せめて単独行動を止めてくれ」とよく言われる。
まぁその単独行動が今回みたいなことで…。




「姉貴さ、もし大怪我したらどうするつもりなんだよ」




と、弟に説教される始末である。




『武士だもの、潔く死ぬわ』




ただ、効果があった試しはない。



誰か…姉貴のこと説教してくんない?









「だから、世名さんが怪我すると皆困るんです!」


「俺なんか普段からヒヤヒヤだよ。単独行動ばっかしてるから」


『…ご心配どうも。でも大丈夫よ、私強いから』




平助は、よく考えた。
…男はダメだけど女は大丈夫ってことで千鶴なら…!




「もし風間とかに会ったらどうするんだよ」


『鬼を相手にするつもりは無いから』


「答えになってませんよ…」




意味もなく悪戯に時間だけが過ぎていく。



そんな中、ある意味で救世主が現れた。




「世名、団子食いに行かねーか?」


『え、今話し合い中なんだけど』




と、原田左之助の手が世名の肩に触れる。



平助はあ゛ー!と濁った悲鳴をあげた。
奇声のが正しいだろうか。



しかし、平助の思いとは裏腹に何も起こらなかった。




「いいじゃん、行こうぜ」


『え、えぇ…』




平助と千鶴2人揃って口を開ける。



遠くから聞こえた声。




「もう単独行動すんなよ?」


『…うん。…左之と一緒にいる…』




余計に口が塞がらなくなった。







克服?

(千鶴…今の…)
(……原田さんと世名さんって)





◎原田さんはきっと誰とでも話せるはず!
110712


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