薄桜鬼 | ナノ
優しい風邪薬
『…しんどい。』
「だから無理するなっつったろ?これだからお前は…。」
♪
朝起きたらしんどかった。
それだけの話。
なのに大好きな土方歳三は心配して世話をしてくれている。
申し訳ないと思う。
でも嬉しいには変わりない。
『としー。喉乾いた。なんかちょうだい。』
と、歳三は深いため息をつく。
「どこのお嬢様だ。人に物を頼む態度か?それは…。」
『んー?だってたまにはワガママ言わないと。』
勿論、本音ではない。
熱がそうさせている。
そういうことを歳三もしっかり解っている。
「たく…。水でいいか?」
『うん、ありがと。』
熱で顔の赤くなった彼女はなんとも言えない。
可愛すぎる。
でもそれはいつもの彼女じゃないから。
「石田散薬…。ついでに飲めよ。」
『…うん。』
心の中でそっと願う。
早く元気になれよと。
心の中でそっと思う。
いつもありがとうと。
優しい風邪薬
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110603