薄桜鬼 | ナノ

優しい風邪薬





『…しんどい。』


「だから無理するなっつったろ?これだからお前は…。」









朝起きたらしんどかった。



それだけの話。



なのに大好きな土方歳三は心配して世話をしてくれている。



申し訳ないと思う。
でも嬉しいには変わりない。




『としー。喉乾いた。なんかちょうだい。』




と、歳三は深いため息をつく。




「どこのお嬢様だ。人に物を頼む態度か?それは…。」


『んー?だってたまにはワガママ言わないと。』




勿論、本音ではない。
熱がそうさせている。



そういうことを歳三もしっかり解っている。




「たく…。水でいいか?」


『うん、ありがと。』




熱で顔の赤くなった彼女はなんとも言えない。
可愛すぎる。



でもそれはいつもの彼女じゃないから。




「石田散薬…。ついでに飲めよ。」


『…うん。』




心の中でそっと願う。
早く元気になれよと。


心の中でそっと思う。
いつもありがとうと。









優しい風邪薬




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110603


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