薄桜鬼 | ナノ

真面目なんて仮面でしょ?





親友の千鶴とは幼稚園のときからの幼なじみ。

双子の薫ともまぁ交流はあるけど、所詮男と女。
大きくなるにつれて、話す機会も減っていった。


それになんか好きになれない。理由ははっきりしてる。

薫は風紀委員やってて賢い、いわゆる真面目キャラをやってる。ルックスも良い。
先生からも女子生徒からもお気に入りだったり憧れだったりする真面目。

でも私はそう思わない。
薫は真面目じゃないはずなんだ。




 * * *




「修学旅行について話します。まず…」




今回、何を思ったのか修学旅行実行委員までしてる薫。
どんだけ先生に気に入られたいんだか。もう十分でしょ?


で、薫が「〜してください」って言う度に上がる「はーい!」って黄色い女子の声。

薫人気も馬鹿にできないっていうか…。

黄色い声なんて私は無縁。だから余計かもしれないけど正直ウザイ。
薫がそんないい男とは思えない。

アイツの表情はいつも作った笑顔だ。




「あぁ、相川さん。話あるから来てくれる?」

『…私は話ないし面倒だし嫌だ』




……クラス中の女子を敵に回した気がする。
視線が痛いんだけど。あ、薫の視線も痛かった。

行きたくないけどなぁ…。




『……行けばいいんでしょ行けば』

「じゃああとで」




場所言ってないし。
とか思ってたら体育館裏とかってメール来てた。

よっぽど難しい話なんだろうか。面倒極まりない。


スルーしたら何言われるかわかんないなとか思って、しょうがなく体育館裏に向かった。
時々後ろ確認してる私は怪しい奴だけど、薫と何話してたとかで呼び出されたくない。

そもそも呼び出しが嫌だ。




『(…来てないし)』




呼んどいて来てないとか真面目の風上にも置けない。




「なんなの?相川は…」




後ろからした声に少し驚いた。
さっきからひどい、なんか。




『何って?』

「気付いてるのはお前ぐらいだよ。千鶴だって気付いてないんだよ?」

『……だから何が?』

「俺が……」

『俺が?』




俺がなに?言いたいこと言えないなら呼び出す必要ないじゃん。
私からしたらいい迷惑。

教室戻ろうとか思って、薫の横を真顔で通ってやった。
…………つもりだった。




『何?腕痛いんだけど』




前触れもなく普通に腕掴まれた。
男子なんだなやっぱり。普通に、痛い。




「なんで…お前は俺が真面目じゃないって判ってんの?」

『………一応幼なじみでしょ』




まだ、薫の腕の力は弱まらない。
目的が判らない。こんなこと聞いて何になるんだろう。

私は…薫の気持ちを知ってる。




「双子の千鶴でさえ判ってないんだよ?なんでお前なんかに…」

『絶対そうじゃん。薫の笑顔はいつも作り笑い。私は薫の本当の笑顔を見たことあるだから…!!』




一気に言った自分が見苦しい。

私じゃない、こんな感傷的になるなんて。可笑しい。
それはやっぱり…私は昔の薫が好きだから?

今の薫に魅力なんて何も感じない。だって…。全部偽物なんだから。
そんな薫に魅力を感じてるクラスの女子は馬鹿だろうしそんなことしてる薫もやだ。


私は………。




「…俺が不真面目だって判ってるんだよね」

『だから?』

「遊びで付き合ってみる?」

『は?』

「ほら、俺不真面目だから。遊びたいんだよね」




不真面目、ね。




『……いいよ』

「ふーん…よろしくね、世名」






真面目なんて仮面でしょ?

( 本当不真面目 )
( 私知ってるんだから )
( 私のこと好きなのに遊びって言っちゃうとか )




◎薫はシャイがいい←
20111207


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