ぬら孫 | ナノ
なんだ?*
『リクオー!』
言いながら抱きついてくる世名は本当に可愛い。
しかしやっぱり気になることがある。
「世名…」
『ん?どうしたの?』
「何があった?」
『昨日喋ったじゃん』
「は?」
んなまさか。
♪
リクオの彼女である相川世名は大の妖怪嫌いだ。
世名自身、衝撃的すぎて出来事しか覚えてないのだが、妖怪に襲われたことがある。
有名な話だが、下校中のバスで妖怪が襲ってきたというやつだ。
あの出来事以来、必要以上に妖怪を嫌う。
家長カナとは仲が良い為同じ部活を希望していた。
―――が、妖怪が嫌いということで帰宅部となっている。
じゃあ何故奴良リクオと付き合うか。
ただ単純に昼の彼が好きだからだ。
リクオが妖怪だということはもちろん知らなかったが、それを受け入れての交際だ。
絶対に奴良家には行かないし夜のリクオにも会わないが。
そんな世名に向かってリクオは言った。
「夜の僕にも会ってくれない?否定…されてるみたいだから」
それで1回目、世名は悲鳴をあげ夜リクオを殴って出ていった。
2回目は泣いてしまい、夜リクオがひたすらあせった。
そのリクオはレアだった為雪女がしっかりムービーに収めている。
なんだかんだで付き合い始めてから1ヶ月経ったのが昨日だった。
♪
『私…夜のリクオ君と喋る』
「今日?」
首をゆっくりと傾ける。
いつもと違う様子に少し疑問を覚えたが、嬉しいことには変わりない。
部屋に案内すると、ちょうど夜の姿になることが出来たリクオは世名に何もしない。
1回座ってからはビクともしない。
地蔵様と拝められる固まりっぷりだ(と、世名は感じたらしい)。
『リクオ…くん』
「なんだ?」
『だ…だし!』
「は?」
『は…歯みがき粉?』
「…は?これって…」
『手巻きずし…?』
いや違うだろ!?
冷たい汗が頬をつたう。
もしかしなくてもこれは“しりとり”だ…!
「し…。島根」
『猫?』
「粉」
『な…し?』
狙ったのと違かったのでリクオは舌打ちをしそうになる。
「さっき俺が言ったなんだ?にしとけ」
『え?な…なんだ?』
「大好きだ、世名」
『っ///』
真っ赤になった世名は何も言えなくなった。
家に居てもらっても仕方がない。
帰ってもらった。
♪
「お前…しりとりで?」
『喋ったには変わりないじゃん』
ふわっと笑う。
リクオにとっては天使のようで思わず抱き締めたくなる。
なんだ?
(なんだ?って言って)
(……なんだ?)
(大好きだよ、リクオ!)
◎玖桜マシロ様リク
110903