ぬら孫 | ナノ

なんだ?*




『リクオー!』




言いながら抱きついてくる世名は本当に可愛い。



しかしやっぱり気になることがある。




「世名…」


『ん?どうしたの?』


「何があった?」


『昨日喋ったじゃん』


「は?」




んなまさか。











リクオの彼女である相川世名は大の妖怪嫌いだ。



世名自身、衝撃的すぎて出来事しか覚えてないのだが、妖怪に襲われたことがある。
有名な話だが、下校中のバスで妖怪が襲ってきたというやつだ。



あの出来事以来、必要以上に妖怪を嫌う。
家長カナとは仲が良い為同じ部活を希望していた。
―――が、妖怪が嫌いということで帰宅部となっている。



じゃあ何故奴良リクオと付き合うか。
ただ単純に昼の彼が好きだからだ。



リクオが妖怪だということはもちろん知らなかったが、それを受け入れての交際だ。



絶対に奴良家には行かないし夜のリクオにも会わないが。



そんな世名に向かってリクオは言った。




「夜の僕にも会ってくれない?否定…されてるみたいだから」




それで1回目、世名は悲鳴をあげ夜リクオを殴って出ていった。



2回目は泣いてしまい、夜リクオがひたすらあせった。
そのリクオはレアだった為雪女がしっかりムービーに収めている。



なんだかんだで付き合い始めてから1ヶ月経ったのが昨日だった。









『私…夜のリクオ君と喋る』


「今日?」




首をゆっくりと傾ける。
いつもと違う様子に少し疑問を覚えたが、嬉しいことには変わりない。



部屋に案内すると、ちょうど夜の姿になることが出来たリクオは世名に何もしない。



1回座ってからはビクともしない。
地蔵様と拝められる固まりっぷりだ(と、世名は感じたらしい)。




『リクオ…くん』


「なんだ?」


『だ…だし!』


「は?」


『は…歯みがき粉?』


「…は?これって…」


『手巻きずし…?』




いや違うだろ!?



冷たい汗が頬をつたう。
もしかしなくてもこれは“しりとり”だ…!




「し…。島根」


『猫?』


「粉」


『な…し?』




狙ったのと違かったのでリクオは舌打ちをしそうになる。




「さっき俺が言ったなんだ?にしとけ」


『え?な…なんだ?』


「大好きだ、世名」


『っ///』




真っ赤になった世名は何も言えなくなった。



家に居てもらっても仕方がない。
帰ってもらった。









「お前…しりとりで?」


『喋ったには変わりないじゃん』




ふわっと笑う。
リクオにとっては天使のようで思わず抱き締めたくなる。









なんだ?


(なんだ?って言って)
(……なんだ?)
(大好きだよ、リクオ!)




◎玖桜マシロ様リク
110903



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