ぬら孫 | ナノ

やっと幸せ*





『まさか梅若丸がまだ生きてるとは思わなかったよ』


「その言葉そのままお前に返そう。それから牛鬼だ」


『…私もお前じゃないよ』











川のほとり。
水がさらさらと流れる。




それを手で遮る。





『ほら、ちゃんと洗って。大丈夫?』


「…大丈夫、ちゃんと目も見える」





先ほど、梅若丸は目に怪我をした。




そんな彼に手当てをするのは幼なじみの世名だ。
ここいらでは評判の女子である。




この2人は小さい頃に約束をした。




“ずっと一緒にいる”




ちゃんとした意味なんかは知らない。




ただずっと隣にいよう。
それだけだ。




これは今までちゃんと実行されていた。




ちゃんと、梅若丸の隣には世名、世名の隣には梅若丸がいた。




ずっと続くと思っていた。
世名も梅若丸も。









『梅若丸が…消えた?』


「あぁ、逃げたんじゃねーの?」


「此処じゃ虐められるからなぁ」





言いながら彼らは笑う。




虐めたのは貴方たちなんでしょ。




そんな軽い顔してよく笑ってられる…。




……気に食わない。




そして彼女も妖怪となる。




気に食わない彼らを殺すために。











『今思えば本当に馬鹿馬鹿しい。梅若丸の為に妖怪になったなんて』


「…嫌だったか?」





世名はクスクスと笑う。





『全然。寧ろ光栄。馬鹿馬鹿しいけどね』





2人が笑っている光景は家族みたいでなんとも微笑ましい。




牛鬼の笑顔も、どことなく柔らかい。





『今度私から逃げたら承知しないからね』


「…わかってる」









やっと幸せ

(照れてる牛鬼が本当に可愛かったです)




◎めい様リク
110719



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