ぬら孫 | ナノ
やっと幸せ*
『まさか梅若丸がまだ生きてるとは思わなかったよ』
「その言葉そのままお前に返そう。それから牛鬼だ」
『…私もお前じゃないよ』
♪
川のほとり。
水がさらさらと流れる。
それを手で遮る。
『ほら、ちゃんと洗って。大丈夫?』
「…大丈夫、ちゃんと目も見える」
先ほど、梅若丸は目に怪我をした。
そんな彼に手当てをするのは幼なじみの世名だ。
ここいらでは評判の女子である。
この2人は小さい頃に約束をした。
“ずっと一緒にいる”
ちゃんとした意味なんかは知らない。
ただずっと隣にいよう。
それだけだ。
これは今までちゃんと実行されていた。
ちゃんと、梅若丸の隣には世名、世名の隣には梅若丸がいた。
ずっと続くと思っていた。
世名も梅若丸も。
♪
『梅若丸が…消えた?』
「あぁ、逃げたんじゃねーの?」
「此処じゃ虐められるからなぁ」
言いながら彼らは笑う。
虐めたのは貴方たちなんでしょ。
そんな軽い顔してよく笑ってられる…。
……気に食わない。
そして彼女も妖怪となる。
気に食わない彼らを殺すために。
♪
『今思えば本当に馬鹿馬鹿しい。梅若丸の為に妖怪になったなんて』
「…嫌だったか?」
世名はクスクスと笑う。
『全然。寧ろ光栄。馬鹿馬鹿しいけどね』
2人が笑っている光景は家族みたいでなんとも微笑ましい。
牛鬼の笑顔も、どことなく柔らかい。
『今度私から逃げたら承知しないからね』
「…わかってる」
やっと幸せ
(照れてる牛鬼が本当に可愛かったです)
◎めい様リク
110719