狐の孫
▼29.2+9=11
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お姉様はいつも通りの制服姿になった。
私はずっとこの後ろ姿を追いかけてたのに、もう私の憧れたお姉様と違うんだね。
『守れ…か』
今ならおじ様の復活を止められる。
おじ様は私の足元なんだから。
ただし、私は確実に死ぬ。
でも本当は、私もおじ様もここにいないはずなんだ。
だったら………。
「のぅ、百紅」
『…なんでしょう、お姉様』
「尾が11ある妖狐は強いと思うか?」
『!?』
今お姉様はなんと言った?
11ってことはお姉様の持つ尾以外に2つ。
私の尾の数も、2つ。
お姉様は私の肩を抱く。
振りほどきたいけど、身体が動かない。
「勘が良いのぅ、百紅は。お主の身体、借りるぞ」
私の中に何かが入り込んでくる。
お姉様…羽衣狐の本体だ。
私の声が聞こえる。
『鬼童丸、依代を保護しておけ。妾もいつまでもこの身体に居られるほど力を持っておらぬ』
私の声なのに、私じゃない。もどかしい。
身体が言うことを聞かない。
奴良組の力に、なれない。
『余興じゃ』
私の声は弾んでいた。
2+9=11
( 私は結局足手まといなんだ )
◎まさかの29話っていうミラクル\(^^)/
20120317
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