狐の孫 | ナノ

狐の孫

29.2+9=11

29/32






お姉様はいつも通りの制服姿になった。
私はずっとこの後ろ姿を追いかけてたのに、もう私の憧れたお姉様と違うんだね。




『守れ…か』




今ならおじ様の復活を止められる。
おじ様は私の足元なんだから。
ただし、私は確実に死ぬ。

でも本当は、私もおじ様もここにいないはずなんだ。

だったら………。




「のぅ、百紅」

『…なんでしょう、お姉様』

「尾が11ある妖狐は強いと思うか?」

『!?』




今お姉様はなんと言った?
11ってことはお姉様の持つ尾以外に2つ。
私の尾の数も、2つ。

お姉様は私の肩を抱く。
振りほどきたいけど、身体が動かない。




「勘が良いのぅ、百紅は。お主の身体、借りるぞ」




私の中に何かが入り込んでくる。
お姉様…羽衣狐の本体だ。

私の声が聞こえる。




『鬼童丸、依代を保護しておけ。妾もいつまでもこの身体に居られるほど力を持っておらぬ』




私の声なのに、私じゃない。もどかしい。
身体が言うことを聞かない。

奴良組の力に、なれない。




『余興じゃ』




私の声は弾んでいた。







2+9=11

( 私は結局足手まといなんだ )




◎まさかの29話っていうミラクル\(^^)/
20120317




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