狐の孫
▼25.狐の孫と狐の孫
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お姉様がおじ様を出産したら私は死ぬ覚悟です。
だっておじ様の存在は認めたくない。それは、私も同じ。
同じ、今じゃない人。
でも私は欲深い。まだ生きたいって願ってる。
ううん、中学校卒業して、高校行って、大学行って…。
生き抜きたい、ちゃんと。
だからお姉様、ごめんなさい…─
* * *
『千、もっと早く移動できる?』
「はい!」
なにか、危ない気がした。
鬼童丸が、本気。そうなんだと思う。
「やや!お主はさっきの」
「狐の孫か!!」
「リクオ様の御学友に失礼ではないか!!」
─…狐の孫
「どうかなされましたか?」
狐の孫。そう言われた瞬間、足が動かなくなった。
思い出した。
『神社にあった花の名前…狐の孫だ……!!』
目の前を何かが過った。狐の孫だ。
何本も、何本も。私の上に降ってくる。
まるで、私の場所を示してるみたいに。
捕まる前にリクオ君のところに行かないと。
『飛ばすよ千』
「はい!!」
いつの間にか、狐の孫は降ってない。
じゃあどうしたら降るんだろう。
さっきは何が…。
「さっきの狐の孫…お嬢様の畏れですよ」
『畏…れ?』
「舌を噛まないようにお気を付け下さい。あの花を思うときっと降ってくるのでしょう。なぜならお嬢様とあの花は」
『一心同体だから』
「さすがです、お嬢様」
もうすぐ、リクオ君と鬼童丸のところ。
きっと戦ってる。
狐の孫で…2人の気を逸らすことはできないかな。
そう思った途端、遠くの方に狐の孫が見えた。
狐の孫と狐の孫
( 私の登場…? )
( 確かに狐の孫の中からお嬢様が現れたら素敵ですね )
◎狐の孫って目立たないけど、凛としてて可愛くて、素敵な花だと思う。
20120102
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